日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

2019年観劇振り返り

2019年ももうじき暮れようとしておりますので、今年1年の観劇を振り返りたいと思います。

今年の観劇リストは次のとおりです。

観劇は計17回。例によりほとんどが山口さんまたは浦井くんの出演作(『笑う男』はダブル!)でしたが、2月の『パリのアメリカ人』と12月の『ロカビリー☆ジャック』のみ例外です。

『パリのアメリカ人』は何年ぶりかの劇団四季でした。ストーリー的には若干もやっとする内容でしたが、舞台上のパリの風景の鮮やかさとバレエの美しさが印象に残る舞台でした。

『ロカビリー☆ジャック』は本当に馬鹿馬鹿しくて、でも観た後の爽快感がたまらないラブコメだったと思います。もう1回ぐらいリピートしても良かったかも知れません。

 以下、なるべく時系列順に。

レベッカ』は全ての「わたし(Ich)」を観ていて、千弘Ichの成長の細やかさ、平野Ichの臆病さに秘めた強さ、そして桜井Ichの守りたい健気さにそれぞれ惹かれました。もっと観ておけば良かった、と思ったのは平野Ichでしょうか。

ミセス・ダンヴァースについては、涼風ダニーには再演時にあまり良い印象を持っていなかったのですが、今回はレベッカと一体化し過ぎている姿の恐ろしさと、一角が崩れた時の脆さとの二面性とが心に残っています。しかし、知寿ダニーに漂っていた「魔性の女と関わりを持ったが故に普通の人間に芽生えてしまった狂気と妄執」についても捨てがたいところです。

なお、ここまで書くのが照れくさくて書いていませんでしたが、無論山口マキシムのスタイリッシュな上流紳士ぶりと、人間としての弱さ、優しさ、全部まとめて今も愛おしくてたまらないのでした。

『笑う男』。日本初演に当たり、日本向けに脚本や演出にかなり手を加えていたとは聞いていますが、それでもどこかすっきりしない感じの残る演目でした。

とは言え、曲は良いですし、山口ウルシュスと浦井グウィンプレンの義理の父子のデュエット「幸せになる権利」を聴けただけでも、劇場に通い、北九州遠征までした甲斐はあったと思います。ウルシュス父さんの一見ぶっきらぼうで無神経にも聞こえる言葉の裏に込められた、養い子達への太くて深い愛情が良いのです。

『HEDWIG』。ラストでの救済に救われた一方で、「実のところどのような立ち位置で観れば良かったのか?」とか「また、この世に生を受けた身体の性別や服装で違和感なく生きておりロックスピリットにも乏しい自分は、本当にこの物語を堪能できたと言えるのだろうか?」とか余計なことを考えてしまい、肝を今ひとつ掴みきれなかった演目でもあります。ただ、ロックやLGBTを重要なモチーフとはしていますが、物語の大きいテーマはもっと広い意味での人間を抑えつけるあらゆるくびきからの救済と解放であったと解釈しています。

ビッグ・フィッシュ』。初演よりもミニマムな12名出演版による、若干初演からカットされた場面もある再演でしたが、幻想的でありながら地に足のついた感があり品格のある演出は、変わらないどころかブラッシュアップされていて安堵しました。やはり観た後に温かい気持ちになることができて好きな演目です。

そして『ダンス・オブ・ヴァンパイア』。こちらについてはこれを書いている今も今期の上演が継続中です。舞台は生もの、まだもっと現在の圧倒的な存在感の山口伯爵で観たい、と抑えがたい欲望を抱えながら、いずれは主演役者の世代交代も覚悟して観劇に臨んでいます。年明けに大阪公演を見届ける予定です。

明けて2020年は前述したTdV大阪遠征のほか、『シャボン玉とんだ宇宙までとんだ』、『天保十二年のシェイクスピア』、『アナスタシア』のチケットを確保済みです。

山口さん出演作は6月に日本版初演の『ヘアスプレー』、12月に新作『オトコ・フタリ』の上演が予告されています。前者は「え? 新しい劇場の座席、微妙なの!?」、後者は「全く新作なの? これから執筆されるの?」とそれぞれドキドキ要素もありますが、どちらもぜひ観に行きたいところです。

観劇は自分や家族や肉親の体調、そして余暇に割ける時間の確保という条件が整ってこそ実現できる贅沢な趣味なので、2020年もその辺りがぜひ息災でありますよう願いつつ、2019年を見送りたいと思います。皆さまも良いお年をお迎えください。