日々記 観劇別館

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『Yuichiro & Friends -Singing! Talking! Not Dancing!-』感想(2024.01.21 13:00開演)

シアタークリエにて、通称「祐友」コンサートを三たび観てまいりました。今回は自分にとってマイ楽、そして唯一の前方席(しかも最前列)でした。

後半日程の1月18日から一部曲目が変わるという話でしたが、1幕、2幕のオープニング、エンディング、そしてアンコール曲は一緒でした。

ゲストのうち綾ちゃんと浦井くんを観るのは初回でしたが、今回の公演で禅さんと浦井くんは楽日。しかも知寿さんと綾ちゃんの組み合わせも大阪を含めて最後だそうです。

綾ちゃんの1幕ソロ曲は、まあこのメンバーならこの曲を入れてくるだろう、と納得。ご本人曰わく、該当演目の1幕ラスト曲なので「カロリー消費の激しい曲」だそうです。

禅さんと知寿さんの1幕ソロ曲には変更なし。改めて『雪の華』を聴きましたが、禅さんの声、この曲との親和性がとても高いと思います。

浦井くんも今回が楽日なので曲目を書いておくと、アニメ『クラシカロイド』の『六弦の怪物』というギターサウンドにのせたロック曲でした。初っ端に本日の公演の大入り袋を下手階段途中の祐一郎さんのポートレートにかざす、というパフォーマンスがありました。どこからその発想が? そして全員登場で案の定ホストな方に「浦井健治のロックコンサートへようこそ!」と煽られる浦井くん……。

以下、楽日だった方の話題を中心にお伝えしますが、若干のネタバレはありますのでご注意ください。

綾ちゃんと浦井くん、意外にも共演経験は知寿さんもご出演の『ブロードウェイと銃弾』のみだそうです。この『ブロ銃』について、綾ちゃんが自身の役を「パッパラパーで大根女優なので殺されてしまう役なんです!」ということで、断末魔で水に沈んだ時のブクブクする音を唇に指を当てて出した、というエピソードを実演付きで披露。あっ、口紅で指が……となった瞬間、祐一郎さんがそっとあぶらとり紙もしくは紙ナプキンを彼女に差し出すという気遣いを発揮し、綾ちゃんにいたく恐縮されていました。

今回、非常に珍しいことに、ご自身の楽日ということでネタを色々仕込んできたと思しき禅さんが語りまくり、また、全方位からいじられまくっていました。ほぼ禅さん回。またいじる全員が禅さん大好きなのがひしひしと伝わってくるのですよ……。

その禅さん、◯ォー◯ーズで有名なショートブレッドのレシピを材料の分量からすらすらと誦じながら紹介されていました。聞くだけで美味しそうで、若手2人からはなぜこの流れでここに持ってこないのか、と突っ込まれ、祐一郎さんはよだれを堪える事態に陥っていました。浦井くんによれば前日の別作品のお稽古場でもレシピを一所懸命覚えていたとかいないとか? なおレシピですが、知寿さんかどなたかの「これ2幕最初の歌で爆笑したら忘れるよね」という呪いの言葉どおり、カルディで買える小麦粉を使うという以外のことは記憶にございません。

現在お稽古中の作品の稽古場でも、当日の楽屋でも一緒。しかし楽屋が同じことを劇場入りした禅さんに忘れ去られ「うわっ!」と驚かれたという浦井くんからは、『エリザベート』で祐一郎さんからは褒めて伸ばされましたが禅さんからは叱って伸ばされた、というお話が。しかし禅さんの証言では、日生劇場の神棚の真下でルドルフの台詞「ママも僕を見捨てるんだね」をぶつぶつ練習していたために寿皇太后様がお参りできず困っていたので「どいてくれない?」と声がけしたのが真相だとか。それ普通に「浦井が悪い」だよね😅、と思いながら聞いていました。

浦井くんは1幕で綾ちゃんと、じゅうたんが出てくる某演目の曲をデュエットしていましたが、なぜか歌いながら綾ちゃんを舞台下手に追い詰めるモードに。後のトークでの釈明によれば、どうも相手により「じゅうたん」が変わるらしく、どういうわけか綾ちゃんの場合は某ランプの魔人のじゅうたんになってしまったようでして。禅さんも知寿さんから「稽古場で台詞全体のスピードを上げて演じてみるレッスンの時にも自分の台詞ペースを崩さないほどマイペース」と突っ込まれており、その陰に隠れていましたが、やはり浦井くんも相当な大物であると思います。

あとは2幕だったと思いますが、TdVの教授とアルフの掛け合いで、本来は、
ア「3番目と4番目の間!」教「何の?」ア「肋骨です!」教「正解!」
となる場面でうっかり教授が、
ア「3番目と4番目の間!」教「正解!」
と台詞を飛ばした時、某I三郎アルフが「肋骨ですね!」とナイスアシストしたお話や、浦井アルフが自分の楽日のお墓シーンで「飛びます!」とマフラーを回し始め「飛べませんでした」で落としたお話などをされていました。教授とアルフでは遊びを入れすぎて演出家氏(今回のコンサートの演出も担当)にお叱りを受けたとか。そして初代教授の存在を言葉のアヤでうっかり過去形にしてしまい、先輩男女2名からいけないんだー、みたいにいじられる禅さんでした。

なお禅さん、
「芸術座という劇場が、昔ここにあった東宝のビルの4階にありました。初代の水谷八重子先生も立たれていた劇場で、それが今のクリエの前身。祐さんがとあるお腹を召された先生と出会ったのが、その先生が亡くなる前の年の1969年(別の公演日にこのお話が出ていたそうです。以前、林真理子さんも対談の後書きで少し言及されていた覚えあり)。芸術座ができたのがその12年前の1957年なんです。深いご縁を感じました」
ということを仰ってましたが、私にはそのご縁の深さがあまり良く分からないままでした(汗)。もしや干支が一回りして一緒、と言うことだったのでしょうか?

そんなわけで今回祐一郎さんはそんなにたくさんはお喋りしなかったのですが、「ここだけの話(今だから言える話だったかも)」テーマで少し長めに語られていました。仔細は避けますが、ざっくり、芸能界に身を置く者は社会的に大事が起きている時には、報道で代わりにスケープゴートにされて新聞などの紙面を埋める立場だから覚悟しておきなさい、と演出家の山田さんが大学の学生さんにお話ししていました、というような内容だったと思います。もしかしたら昨今のスキャンダルに何か思うところがあったのかも知れません。

音楽の話題に戻りますと、前回までは祐一郎さんのソロにジャズナンバーが3曲入っていましたが、今回はそのうち1曲が某閣下の曲に入れ替わっていました。これが、軽くジャズが入った別アレンジで聴くと、いつもとは違う方角から心がぐらぐらさせられて、新鮮な感動を覚えました。

また、知寿さんの曲も入れ替えになっていました。この曲の演目は私は未だに生では観たことがなく、CDで聴いたのみなのですが、そのCDで歌われていた現在はもういない方の歌声を、知寿さんの美しい歌声から連想して泣きそうになりながら聴いていました。

浦井くんのソロ2曲目についても書いておきます。曲名を聞き逃したけど、これどこかで確かに聴いたぞ? と思っていたら、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の『ミッドナイト・レイディオ』だったようです。2019年に浦井くんが主演した時の舞台を観ていますが、浦井ヘドウィグの妖艶さよりも初ライブハウスでアウェー感が半端なかった記憶の方が強烈です。

『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』初日感想(2019.8.31 13:00開演) - 日々記 観劇別館

ところでキャストのポートレート抽選会は当たり前のように外れました。くじ運には見放された人生を送っているのでそれは良いのですが、毎回祐一郎さんが、
「あなたの目の前にある番号はあなたの番号ではありません。後ろ(背もたれ)を振り返ったら見えるのがあなたの席の番号です」
と繰り返していて、え、自分の席番が判らない人がいるのか、と疑問に思っていたところ、昨日も間違えた方がいました、と言っていたので、いるんだ! と驚きました。
まあ、自分自身も、前週にまるまる1列座席を間違えて、ごめんなさいよ、と背もたれをまたいで1列上の座席に移動する、ということをやらかしたので、全く人のことは言えないわけですが……。

というわけで、残念ながらこのコンサートを観るのは今回がラストとなりました。あまりにも至福の時であったがゆえに寂しさが募り、さらに現帝劇ファイナルの『モーツァルト!』に果たして猊下は続投するのか? などのもやもやもあったりで、心が落ち着かない日々が続いていますが、ひとまずは禅さんと浦井くんの次の舞台の開幕を待ちたいと思います。