日々記 観劇別館

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『My Story―素敵な仲間たち―』(Streaming+配信)視聴感想(2020.9.17 13:00開演/2020.9.18 17:00開演)

無事に帝劇にて見届けた9月18日昼の『My Story』。それ以外の3回分は、17日夜の回(ゲスト:加藤和樹さん、平方元基さん)を観るのはスケジュール上まず無理でしたが、残りの17日昼の回及び18日夜の回はどうにか配信で視聴することができましたので、それぞれ簡単に感想を記しておきます。


まずは17日昼の回(ゲスト:保坂知寿さん、浦井健治さん)から。
祐一郎さんはウェービーヘアに青いロングジャケット、白Tシャツというカジュアルなスタイルで登場。次回の舞台『オトコ・フタリ』の主人公の扮装だそうです。
初回なのでトークショーの筋を保つためのルールや台本に囚われすぎている? と感じた一方で、皆さま、特に祐一郎さんは囚われることを楽しんでいる印象もありました。観ている側としては、わちゃわちゃ感を味わいつつ、ハラハラドキドキしているうちにあっという間に時間がきてしまった感があります。
東宝での知寿さんとの初共演作でアクション満載だった(主にワイヤーアクションなど派手にやっていたのは知寿さんだったと記憶しますが)『パイレート・クイーン』の時は祐一郎さんが今よりも12kg太っていたという話や、10代の頃祐一郎さんがバンドをやっていて吉祥寺のディスコに(ダンスが目的ではなく、恐らく生歌・生演奏の仕事で)行った話なども貴重でしたが、お三方とも、やっぱりお芝居絡みのエピソードが面白かったと思います。
ほぼ新人だった知寿さんが『オンディーヌ』の代役を3日間で通し稽古をこなせるレベルまで仕上げた話。『エリザベート』で浦井ルドルフがあまりにもズボンのお尻を破くので、衣装さんがストレッチ生地を使うなどの対策をするも、やはり動きの激しい独立運動のシーンで裂けてしまった話。そして「好きなセリフは?」と訊かれた祐一郎さんが、好きなセリフを選んでしまうと次の舞台でもっといいセリフが出てきた時に「私のこと好きって言ったわよね?」と元のセリフに恨まれることが怖いという話、等々。どのエピソードも、それぞれお三方の個性と魅力に満ちていました。
あと、浦井くんは多分最初は「大先輩方の前だし、僕がしっかりしなくては」と心に言い聞かせて登壇したと思うのです。祐一郎さんのボケに余裕のツッコミを入れたり、好きなコーヒーの話で、祐一郎さんが「ホットとアイス両方注文して交互に飲む」という話から「僕は韓国に祐さんと『笑う男』を(仕事で)観に行った時に現地のコンビニで飲んで美味しかったコーヒーをお取り寄せしてます」というそれぞれのほっこりこだわりエピソードに持ち込んだりしたまではまだ普通でした。
しかし「僕、緊張しないんです」と語り、先輩お二人に驚愕された浦井くん、「萌える異性の仕草は?」で「髪をかき上げてふとかかとに触れる」という謎仕草にジェスチャー付きで言及した辺りから徐々に綻びが。「おすすめのストレッチ」では喉に良いという舌ストレッチで、ついに帝劇の舞台で可愛いベロ出し顔を披露する事態に😅(だがそこがいい)。
なお浦井くんの萌え仕草は、翌日夜のトークショー中川さん回では「靴ずれ?」の一言で片づけられておりました……。
『オトコ・フタリ』のビジュアルはこの日に初公開。祐一郎さん演じる主人公は抽象画家、知寿さんは彼の家に6年勤めるベテラン家政婦、彼らの生活に突如乱入する、母を探す青年に浦井くん。この設定だけでかなりわくわく感があります😊。どうか12月に何事もなく初日を迎えられるよう、ひたすら願っております。


続いて18日夜の回(ゲスト:中川晃教さん)。昼の回を観た後に少しだけ久々に再会した友人と語らい、とんぼ帰りでぎりぎり17時からPCの前に座ることができました。
昼の回では祐一郎さんが先に登場し、中川さんが後から呼ばれて出てきていましたが、夜の回では先に浴衣姿の中川さんが登場。呼ばれて現れた、紺の浴衣をまとった祐一郎さん。とても都や区の方からお風呂の優待券や無料健康診断の券が届く年齢とは思えない麗しさと2人の爽やかさに卒倒しそう……と思いましたが、今にして思えばまだそんなもので卒倒してはいけなかったです。
以前に中川さんが「祐さんとはソウルメイトなんです」と語っていたことがありましたが、「アッキー」「祐さん」と呼び合うお2人、その言葉は伊達ではなかった、と今回実感しました。例えば次のような会話。
ア「祐さんの足、かっこいいですね」
祐「うまいでしょ? こうやってのせてくれるから、20年続いている」
(クリコレでの「闇が広がる」の録音を聴きながら2人でソーシャルディスタンスダンスを踊った後に)
ア「声が良いですよね」
祐「そんなことアッキーに言われると死んじゃう❤️(略)こんなことを20年やってます」
……何なの君たち。どれだけ仲良しなの😅。しかも途中で白玉あずきとわらび餅が壇上でサービスされると大喜びしていますし。
もちろんただソウルメイトの溺愛だけではなく、とてもありがたいことに、舞台のよもやま話もたっぷり披露されていました。
祐一郎さんが若かりし頃、舞台の終演後にそのまま海へと繰り出してウィンドサーフィンに興じた結果、日焼けして身体にできた水疱が翌日の舞台で相手役をリフトした際にプチプチ潰れて「痛ーい♪」となった話。
中川さんの舞台にG(人類に忌み嫌われがちな4文字の脂ぎった昆虫)が出現した小騒動の話と、祐一郎さんが海亀研究者のお友達から「Gがいない空間には人類は生存できない」話を聴き「Gは友達」と心を入れ替えた話。
祐一郎さんが某劇団時代、ロンドンでのJCS公演の際にオケが客席の床板の下に潜ることになり、コンピュータに音楽を録音して流す筈が、本番でデータが飛んでしまい、床下から打楽器の音のみが響きストリングス系の音はほとんど聴こえない状況で歌う羽目になった話。
「M!」の際に中川ヴォルフが山口猊下にカツラを投げつけると猊下股間に百発百中であったために猊下が舞台裏で思わず「野球部?」と訊いた話(そして「あれは演出家がそうなるように仕向けたに違いない」となぜかその場にいない某先生に責任転嫁)……などなど。
また、中川さんが「祐さんのゲッセマネ(の園)を聴きたい」「スーパースターが聴きたい」と粘り強く水を向けており、それは無理じゃないかな? と思っていたのですが、何と英語で、ほんの30秒強ではあるもののゲッセマネの一節が! ありがとう、アッキー!
3.11の話も少しされていました。当時はお2人ともそれぞれ別々の稽古場にいらして(私の記憶によれば、確か祐一郎さんはレ・ミゼラブルのお稽古中だった筈)、中川さんはなぜか「これは絶対東北だ」という直感が働きそれが的中。ほかのメンバーが女性ばかりだったので自分が守らねば、と思っていたそうです。一方祐一郎さんは実は揺れ自体には生まれ故郷の鹿児島での桜島の噴火で慣れていたとか(東京は震度5だったと思いますが桜島の揺れはそんなにすごいのでしょうか?)。
……というような幅広い貴重なエピソードが一通り語られた後、最後に披露されたのは、「好きな異性の仕草は?」について。中川さんの回答は「女性の台所に立つ後ろ姿」。その心は? お母様が結婚して初めて台所に立つのにいきなりカレイの煮つけを作らされて、その結果、お父様が目撃したものは、大きな寸胴鍋の煮汁に泳ぐカレイの姿であった、というエピソードでした。これがシメの話で良いのか、という議論もあるかも知れませんが、この状況に遭遇した際のお父様のお母様に対する冷静で温かい対応と、それを語る中川さんの表情が嬉しそうで、また、聴き手の祐一郎さんの見守る眼差しもとても温かかったので、個人的には全く問題ないと感じています。

こうして2回分の感想を書いてみると、色々な意味でこんな機会はもう滅多にないだろう、と改めて思います。何度も本編中でも繰り返されていたように、コロナ禍がなければ生まれ得なかった企画ではありますが、コロナ禍による通常ではない状況、舞台芸能に対する逆風がまだまだ続きそうな中、つかの間の幸せな時間を堪能させていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
なお、以上2回を配信で観た際のその場の雰囲気やリアルな感想については、下記のTwilogの方がまとまっていると思うので、よろしければこちらもどうぞ。