日々記 観劇別館

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『レディ・ベス』感想(2014.5.6マチネ)

キャスト:
レディ・ベス=花總まり ロビン・ブレイク=加藤和樹 メアリー・チューダー=未来優希 フェリペ=古川雄大 アン・ブーリン和音美桜 シモン・ルナール=吉野圭吾 ガーディナー石川禅 ロジャー・アスカム=山口祐一郎 キャット・アシュリー=涼風真世

ベス3回目、観てまいりました。
……しかし!前日夜遅くまで部屋の片付けに励んでいたのがよろしくなかったのか、1幕途中から激しい睡魔と戦う羽目に!
それでも、例えば1幕ならアスカムとベスの対話場面やフェリペの登場場面、それからキャットのソロ、2幕ならルナール閣下とガーディナー猊下の陰謀デュエットと言った「見どころ」だけは決して逃すまい、と頑張って目と耳を開いていました。
そんなわけで、記憶のない場面こそありませんが、何となくクリアでない頭で観てしまいましたので、今回の感想はあまり書くことがなかったりします(-_-;)。
とは言え、多少の軽いネタバレはありますので、未見の方はご注意ください。

今回印象に残ったのは、古川フェリペとガーディナー猊下でした。
まず、古川フェリペ。前回観た時よりもいけ好かない格好良さ(誉めています)が増していたように思います。そして王族らしいクールな黒さも。クールでありつつも癇性な面がチラ見えるのもまた魅力です。
それから、ガーディナー猊下。前回以上に余裕綽々、派手に仕掛けてきていました。2幕のルナール閣下とのデュエットで、踊り終えた後に「しんどい!」と叫ぶのは前回もやっていましたが、以前はあんなに二度も三度もゼイゼイしてみせていなかったような?哀れすぎる最期の場面でもたっぷりと間を取り、これでもかとじわじわと精神的に追い詰められて自滅していました。でも倒れるのは、グラスをきちんとテーブルに置いてからという律儀な猊下(^_^;)。
そんな猊下を自国の利益誘導に目一杯利用しようとしつつ、「ちっ、使えねえじじいだぜ」という上から目線を徹頭徹尾崩さないルナール閣下も、観ていて楽しいのでした。閣下が、1幕のフェリペとのデュエットでフェリペの手にあるビリヤードのキューを掴み、かなり高さがある筈のお立ち台に昇り踊る時の、どっこいしょ感0、体重を感じさせない軽やかな動きは、私的に絶対見逃してはならぬ見せ場となっています。
猊下も閣下も、まだまだ進化してくれることでしょう。

未来メアリーは2回目でしたが、徹底的に感情交流を拒絶する吉沢メアリーと比べると、やはり感情表現が強烈だと感じました。吉沢メアリーの心が闇にそびえ立つ氷細工の柱だとすれば、未来メアリーの心は高く燃え盛りながら揺れる黒い炎。やはり甲乙付けがたいです。

あと、初日観た時からずっと心の奥底で気になっていたのは、ベスにとっての父親像と母親像です。
知と信頼に裏打ちされた厳しくも大きな愛で包み込み、星が定めた運命を信じてベスを信じ続けるアスカムと、凛とした優しさでベスの成長を見守り支え続けるキャットは、家庭教師と養育係という役割分担を超えて、素敵な父親役と母親役を果たしています。
しかし、ベスが心に結んでいる両親の像は全く違うレイヤーで偶像化されてしまっているので、二人はどこかでやはり本当の両親には取って代われないわけで……。
ベスの両親像には、どこか違和感を感じずにはいられません。特に父親像。ベスの中では国王である父親の血筋が誇りであり第一義なので致し方ないのですが、姉のメアリーとの確執をもたらしている諸悪の根源の筈の父親への恨みをまるきり隠蔽し、母親のアンに覆い被せているように見えます(これはメアリーも同様です)。
そして、そのアンも、基本は幽霊になっても無条件の愛で娘を見守り続けるお母さん、の筈なのですが、幽霊であるがためにあまり表情がなく心が見えません。あの心の見え無さ加減が、ベスの母親に対する、自らの葛藤を反映するかのような思い―同じ境遇に堕とされて初めて気づいた過去の真実や、お父様と同じようである必要はないと言い、人を愛することを讃えつつも決してアスカムのように未来への道を断言してはくれないもどかしさなど―を象徴しているように感じられました。アン、今回はちょっと恐ろしかったです。
ベスが最終的に自らの使命を自覚して女王としての人生を選び取ったのは、無論アスカム先生とキャットの思いがあってこそですが、ああ、両親代わりがどう悩もうが願おうが、それと関係なく子供は最後は自らの意志で自分の人生を歩んで行くのだねえ、と、寂しさと喜びに満ちた複雑な目線でラストシーンを見守ってしまいました。
この辺り、最近2回連続で観た、貴人が板に付いた花總ベスと、次回観る予定の才気煥発な平野ベスとをもう一度冷静に(「クールヘッド」で(^_^))見比べた時、どのように印象が変わるのか、あるいは変わらないのか、気になる所です。

本編の感想は以上です。
カーテンコールでは、今回はGW特別企画の一環としてプレゼント抽選会(賞品:プリンシパルサイン入り写真パネル等)が開催されました。
5月3日のマチネを観劇していた友人から、「山口さんと涼風さんが拡大鏡を使っていた」と聞いていたので覚悟はしていましたが、今回もやはり山口さん、抽選箱から取り出した半券の席番を読み上げる際、大きな拡大鏡を懐から取り出していました。涼風さんは2つめのスポンサー提供賞品の当選席番読み上げの際にその拡大鏡を借りていました。山口さん、あれはどのタイミングで懐に仕込んでおくのでしょうね?袖でスタッフさんがじっと預かっていて手渡す様などを想像すると面白おかしくて仕方ないのですが(^_^;)。
なお、抽選会の進行はロビンの仲間3人組が務めていましたが、「サイン入り写真パネル」とアナウンスしようとして「シャイン入り写真パネル」と噛んでいました。山口さんがお髭を両手で押さえるようにして天を仰ぎながら「ぷっ」となっていたのが非常に可愛らしかったです(^_^)。ちなみに3人組、2回目のアナウンスの時も「シャシン入り写真パネル」と言っていて、ついに正しい賞品名を一発で言えなかったような気がします。

次回の観劇は少し間が空いて、帝劇前楽(平野ベス、山口アスカム、平方フェリペ、未来メアリーの楽)の予定です。その前に、Amazonで予約した公式ムック(故に帝劇の先行販売は買わずに帰りました)が届く予定ではありますが、ちょっと寂しい……。
それが終わったら今の所は遠征予定もないので、帝劇で予約した7月19日発売予定のCDが届くまではしばらくベスはお預けとなりそうです。