日々記 観劇別館

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『三銃士』感想(2011.8.21マチネ)

(キャスト)
ダルタニャン=井上芳雄 アトス=橋本さとし アラミス=石井一孝 ポルトス=岸祐二 アンヌ王妃=シルビア・グラブ コンスタンス=和音美桜 ロシュフォール=吉野圭吾 バッキンガム公爵=伊藤明賢 ルイ13世今拓哉 進行役/ジェイムズ=坂元健児 ミレディ=瀬奈じゅん リシュリュー枢機卿山口祐一郎

『三銃士』に通うのも残り3回となった今回、初めて母親を連れての観劇でした。

まず始めに、気がかりなことが1つありますのでそれを。
8月18日の東宝公式ブログで、21日の募金活動キャストが吉野さんから今さんに変更、のお知らせが出ていたのが気になり、いや、でもきっと、別のお仕事の都合とかそういうのだよね?と思おうとしていたのですが、吉野さん、どうもやはりケガをされていたご様子です。
とは言え、本編の大部分では、あれ?殺陣やロックン猊下のバックダンスでのロシュフォールの動き、微妙に少なくなっている?と言う程度しか気づきませんでした。しかし2幕のクライマックスで、ダルタニャンとロシュフォールが斬り合いながら上手に捌け、しばらくして再び上手から斬り合いながら登場したかと思うと、そのままセンターで決着。ロシュフォールの階段落ちはありませんでした。
カーテンコールではロシュフォール、最初のお出ましと銀橋上でのご挨拶こそクリアされていたものの、明らかにじっと立っているのが辛そうで、最後の頃にはバッキンガム公とコンスタンスに両手を取られながら歩いていました。
殺陣が無くなったわけではなく、印象としては、動きのハードな部分だけカットしたのみで、きっちり段取りはこなされていた感じです。恐らく初見の方は違和感を覚えなかったと思います。母親も、全く気づいていませんでした。
いつ負傷しても不思議ではない状況であったとは言え、吉野さんの無念さはいかほどばかりかとお察しします。折しも月曜は休演日。帝劇楽に向けて、少しでも療養できていることを願うばかりです。

以下、簡単ではありますが、ロシュフォール以外の感想を。
ミレディーは、今回かなり好調だったと感じました。1曲目で第一声から声が力強く伸びる伸びる。瀬奈さんのミレディーは正直、歌よりもダンスに魅力を覚えることが多いのですが、今回はしっかり歌を聴かせてくれていたと思います。
シルビアさん 、和音さんも安定感十分。女性三重唱のハーモニー、美しかったです。ちなみに母親が幕間に一番最初に名前を訊いたのが和音さんでした。清純さと声量を 兼ね備えたソプラノが耳に心地良いのです。
男性陣は、お盆前後の一時期アドリブ暴走気味とも聞いていましたが、楽が近いためか、あるいはロシュの負傷故か、だいぶおとなしめの印象でした。
しかしそれでも、台詞の端々にはアドリブが。例えば1幕の宝石箱争奪戦の後にジェームズが「閣下はいつも真剣でした……」と1人語りして置いてきぼりにされる場面の締めが「独りぼっちだぁ」と呟いてとぼとぼ立ち去るように変わっていました。以前は「いなーい!」と叫んで走り去っていたと思います。それにしても坂元さん。二役いずれも、アドリブを入れてもキャラが崩れないのは凄いです。
アトスも台詞を変えてきています。2幕でロシュに棒読みで謝る台詞が「さっきは言い過ぎましたぁ」ではなく「さっきはごめんねぇ」になっていましたし。
そのアトスは「クリスタルの天使」で若干喉がお疲れ気味に聴こえました。あのさとしさんならではの笑いを取りつつ決める所はしっかり決めるアトス、結構好きなので楽までテンションを保って頑張って!と応援しています。

そして猊下。アラミス石井さんがブログに、岸さんの言葉として「絶対ブレない」と書かれていましたが、本当にそう思います。
今回はソロ3曲、特に2幕のソロを笑わずに身をいれて聴きました。というより歌の迫力が増していて、笑いが付け入る隙もなく聴き入ったというのが正しいです。それに、「我が心氷にあらず」のダンスも段取りくささがなくなり自然になっていたと思います。素直に猊下の苦悩、自己陶酔、信念の暴走……込められた様々な思いを歌から受け止めることができました。ロックン猊下も格好良かったです(*^^*)。最後の絶叫も決まっていました。
猊下も他のキャストに負けじと細かい遊びを入れてきています。1幕の「私も狩りを楽しむことにしよう!」は明るく満面の笑みで言われるほどに、その後の「狩り」の中身のえげつなさが際立って怖いんですが(^_^;)。
2幕序盤の坂元さんに仮面を突きつけられイナバウアーする場面では、おもむろに起き上がって仮面に顔を激突させて反撃していました(笑)。ああっ、猊下、大事なお鼻が!と1人客席でおろおろ。

……すみません、何だか今回、ロシュの負傷を知った為か、書いていてノリが悪いです。プロなんだから大丈夫!と思っていてもやっぱり心配は心配なのです。
安定を保っているダルタニャンのことももう少し書きたかったのですが、それは次回に持ち越したいと思います。