日々記 観劇別館

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『エリザベート』感想(2010.8.12マチネ)

キャスト:
エリザベート朝海ひかる トート=山口祐一郎 ルイジ・ルキーニ=高嶋政宏 フランツ・ヨーゼフ=石川禅 ゾフィー寿ひずる ルドルフ=田代万里生 少年ルドルフ=小宮明日翔

今季初の東宝エリザベート』観劇に出かけてまいりました。
エリザとしての初日は8月9日でしたが、マイ初日は8月12日マチネ。山口トートの初日、ということでチケットを確保しましたが、後からこの日がエリザ800回記念公演であることが判明。これは特別カテコがあるに違いない、と期待しつつ劇場入りしました。

まず、1幕で山口トートが登場してすぐ、ヅラが変わっていることに気づきました。最初は蜂蜜っぽい金髪?と思いましたが、2幕で再度見直した所、バーントアンバーと暗めのブロンドが半々に混じったような感じでした。ちょっと頭が大きく見えるような気がしますが、許します。
衣装は『レプリークBis』にも載っていたとおり、新衣装がありました。気づいた限りでは「最後のダンス」などで着ているベール付きの衣装と、あと革命ダンス(トートダンサーときちんと揃って踊っていました!)などで着ている衣装。腰の辺りにドレープが入って、以前よりゆったりした感のある衣装でしたが、その分やや足の長さが強調されない、と思うのは所詮ファンの贅沢でしょうか(^_^;)?
お歌は、絶好調だったと思います。「最後のダンス」が軽くショーストップ状態でした。感情や場面に合わせて声色が自在にコントロールされ、しかも聴いていて心地良い声。まさに生きた楽器。
1幕の「闇が広がる」で切なげにシシィに歌いかけた声と、シシィが立ち去った後に観客席に向き直った時のきっ、とした目つきのギャップが素敵です。因みに2幕の「闇が広がる(リプライズ)」でルドルフをたらし込む時にも同じ目つきをしていました。

以下、朝海さん(コムさん)ファンの方ごめんなさい。

1年8ヶ月ぶりに聴いた朝海シシィの歌声は、音程が以前よりは安定したように思います。かなりレッスンを重ねたと推測。
但し、彼女の声で陶酔するには残念ながらまだ道は遠そうです。ソロはまだ良いのですが、「私が踊る時」や「夜のボート」などのデュエットだと不安定さが目立ちました。特に激しい感情の応酬が求められる「私が踊る時」は、上擦りがちなシシィの声にトートが懸命に呼吸を合わせて引っ張っていく様子が丸わかり。あと、頼むからエンディングでトートに迎えられる大事なシーンの初っ端のソロで盛大に音を外さないで欲しかったです。

厳しい言い方をしますと、音程を合わせることに専心しすぎて、自分の声がどういう音色で観客に伝わっているかまで気が回っていないように聞こえました。もちろん、演技や声のトーンはシシィの年齢に沿って細かく変えようとしているのは分かります。それだけでなく、観客に取って心地良い声、あるいは悪声であっても演じる人物の魂が込められた声で歌ってくれれば良いのに、そういう声を出し切れていないのです。

歌から離れましょう。朝海シシィの人物描写は、一路シシィに似てきたと感じました。否、もっとエゴイスト度合いが強いかも。自分がいかに思い通りに生きるかしか見えていない。その代わり誰にも甘えない。弱みは自分の心の写し絵でもあるトートにしか見せない。そんな感じ。シシィ像として、十分あり、と思いました。

以上、朝海シシィの感想でした。

他に印象に残ったキャストとしては、シシィママの阿知波さん。他の演目でも思ったのですが、歌詞や台詞が聞き取りやすいです。磨き上げてきたヘレネではなくシシィが選ばれても堂々と受け止める肝っ玉母さん。
なお、春風ママはミルクやHASS!で踊ってますが、阿知波さんはこれらの場面には出ていなかったと思います。

新ルドルフの万里生くん。実はそんなに期待していませんでしたが、歌も踊りも意外に聴かせて・見せてくれて好感度アップ。「闇が広がる(リプライズ)」では軽くショーストップになっていました。歌の途中や、馬車に乗せられていても「やめてー!」と激しく抵抗して戸惑っている、割と熱めのルドだと感じました。あ、ちびルドの明日翔くんも可愛かったです。
禅さんや寿さんら続投キャストは流石の安定感。禅さんルドルフやらないかなあ、あの若者から爺様まで演じきる演技力ならできるよ、とまだ言ってみたり。

新エルマーの岸さん。演技の雰囲気がちょっと今さんを彷彿とさせます。個人的にはカフェの場のオーストリーに味方がいる♪はもう少し重く歌ってくれても良いとは思いましたが、全体に熱いエルマーでした。

あと、大司教様の『PQ』や『レベッカ』にも出ていた中山昇さん。上手いこと俗物感を備えていて、この大司教様ならこそこそ娼館に行きそう、と思いました。
それからちびルドを鍛える伯爵が何か怖かったんですが、後でキャスト表を見たらレミゼなどにも出ていた近藤大介さんでした。

エリザ800回記念カテコは村井パパの司会でフル出場キャスト7名(高嶋兄、治田さん他)からご挨拶。その後初演からのキャストにして本日初日の山口トートからぽわぽわオーラを放ちつつ、台風まで来てる中をありがとう、幸せです!と大声のご挨拶あり。最後は演出家小池さんとリーヴァイさんも登場し、にぎやかなカテコでした。