日々記 観劇別館

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『エリザベート』感想(2012.5.13マチネ)

キャスト:
エリザベート春野寿美礼 トート=山口祐一郎 フランツ・ヨーゼフ=石川禅 ゾフィー寿ひずる ルドルフ=平方元基 少年ルドルフ=坂口湧久 マックス=今井清隆 ルドヴィカ=春風ひとみ

2日連続の帝劇詣で。本日は初・春野シシィでした。
春野シシィ、実は事前の制作発表やゲネプロダイジェスト映像の歌声を聴く限り、あまり良い印象がありませんでした。しかし、今日観た限りでは、意外に悪くなかったです。
やはり「私だけに」は声が高く力強く伸びるのが良い、と、今日、春野シシィの歌声を聴いてつくづく思いました。少女時代の歌声も可愛く澄んでいて良い雰囲気です。
ただ、「私が踊る時」だけは、各フレーズを短く切った独白のような歌い方に、あまり感情移入することができませんでした。基本はトートと真っ向から対立して彼の誘惑を突っぱねる歌なので、シシィは強く出て正解なのですが、突っぱね方がちょっと必死過ぎて戸惑ったというのが正直な所です。
人間ではないトートは、シシィの抗いに対して余裕綽々、というのが正しい態度の一つだと思いますし、実際山口トートもそうしているわけですが、残念ながらシシィの歌い方にあまりに必死さがむき出しになりすぎていて、噛み合っていなかったように思います。もっともこれは、私の頭がトロくて歌の解釈を消化できておらず、付いていけていないだけかも知れませんので、歌の話はこの位にしておきます。

春野シシィは、全体を通して瀬奈シシィのように芯から強くはなく、常に人生に対する必死さが溢れていました。ダイエットやミルク風呂で自分の美貌を磨き上げ、虚像を作り上げる行為で懸命に自分をガードし、誰よりも自由な「生」を渇望しながらも、生きているが故に激しい苦痛がもたらされているという矛盾に満ちた存在。そこに、シシィの磨かれる美貌に呼応するかのように美しいトートが絡みつき、隙あらば心に忍び込もうと画策するという構図は、結構好きです。

その美しい山口トートは、昨日よりややお肌が疲れ気味だったかも(^_^;)。それでも、やはり妖しく美しすぎるトートであることには変わりありません。お声も昨日に引き続き好調です。
今回は見るからにパッションに溢れているというわけではありませんが、シシィへの執念深さと、それに由来する鬼神のような振る舞いに、今までの山口トートとまた異なる一面が現れていて胸が躍らずにはいられませんでした。
カツラは、今年新調したらしいですが、前髪が割と多くてわさわさしてます。あまりにわさわさし過ぎて、カフェの場面でポーズを決めた時に前髪が目を覆い隠していたりするので、あれ邪魔じゃないんだろうか?と、つい大きなお世話を焼いてしまいます(笑)。
私的チェックポイントとしておりました、革命場面でのトートダンサーとのダンスでは、やはり前回(2010年)公演と異なり、途中のジャンプはしていませんでした。きっと振付変更ということでしょう。

以下、その他の今季初見のキャストについてです。
寿ゾフィー。凛々しい雰囲気の杜ゾフィーももちろん良いのですが、個人的には雄々しくてどこか肝っ玉母さんな寿ゾフィーが好きです。

平方ルドルフ。顔が小さいです。山口トートと並ぶと余計小顔に見えます。
そしてちゃんと歌えます。いえ、R&Jで観て、歌えるのは存じておりましたが、前日の大野ルドを観た後だと歌えるだけで他はもう何でもいい、とつい条件が甘くなります。
ただ、カツラの髪型を見て、何故かウィーン版エリザのDVDの大仏くんルドルフを思い出しました。あのようなチリチリ頭では全くありませんが、あまり麗しくない髪型だと思います。
そして平方くん、ルドルフとしては、ちょっとキャラ薄のような(^_^;)。あえて分類するとすれば、ひ弱系なルドルフです。ただこれは、本日のちびルド湧久くんが線が細くひ弱な雰囲気でしたので、本人がそう作り込んでいたのかも知れない、と想像しています。

余談ですが、ルドルフを追い詰める時のトートの表情はやはり怖かったです。本日のトート、ピストルを取り出すのに若干時間を要していました。死のキスは本日の座席の位置(H列下手ブロック)の関係で良く見えませんでしたが、昨日の大野ルドより少し時間が長かった(1秒程度ですが)ような気がします。

ちびルド湧久くん。先程も少し触れましたが、子リスのように怯え震えるひ弱な皇太子で可愛かったです。潤んだ瞳がたまりません。

というわけで、エリザに明け暮れた週末となりました。そして次の土曜日もまた、マチソワの予定です。日本版ではお初のマテトートも観ます。加えて、初・岡田フランツ!楽しみです(^_^)。