日々記 観劇別館

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『エリザベート』感想(2012.5.19マチネ)

キャスト:
エリザベート瀬奈じゅん トート=山口祐一郎 フランツ・ヨーゼフ=岡田浩暉 ゾフィー寿ひずる ルドルフ=大野拓朗 少年ルドルフ=鈴木知憲 マックス=今井清隆 ルドヴィカ=春風ひとみ

5月19日、身内からマックス公爵のごとくキ印扱いされつつも、『エリザベート』をマチソワしてまいりました。
以下、簡単ですが、まずはマチネの感想です。

山口トートは今日も美しかったです。そして漂ってくる何とも言えない色気。特に「悪夢」でヤスリを構える何気ないポーズでの身体の線が綺麗で、背筋がぞくりときました。別に露出度が高い衣装でも何でも無いのに、下世話な言葉で言えば「着エロ」的な何かを感じ取った次第です。
歌については、毎回祈るような思いで、じっと耳を澄ませて聴き入っています。今回、1幕の「愛と死の輪舞」の途中で少し声が裏返りそうになっていてヒヤリ。しかしその後は終幕まで好調でした。
今回の西野さんの指揮は全体にかなりテンポがじっくり目なのですが、中でもじっくり振っているのが1幕の「闇が広がる」。山口トートの溜めの効いた歌声がシシィにねっとりと絡み付き追い込む感じが、じわじわと伝わってきてぞっとしました。

今回のシシィは瀬奈さん。少女時代のドレスが黄色い方のシシィです。水色ドレスは春野シシィ。
やっぱり高音は伸び悩んでいる感じでしたが、彼女のメリハリのある「私だけに」と、ひたすら突っ張る「私が踊る時」の解釈は好きです。「私が――」で強い瀬奈シシィを山口トートが余裕で受け流して、今はそんなこと言っててもお前は俺から逃れられないのだ、と鼻で笑いつつ見守る構図が良いのです。
そうそう、「私が――」で山口トート、馬車の上で軽くお手振りしていました。聞くところによれば5月17日辺りには既に同じことをしていたようですが、あれは一体(^_^;)。
話を戻しますと、瀬奈シシィは、エピローグで迎えに来たトートの元に、小走りで駆け寄るのが可愛いです。それをどーんとがっちり受け止める山口トート。シシィはトートに魂は委ねてもついに所有権は引き渡さないのですが(変な書き方(^_^;))、それでもそばに来てくれただけでもう感無量、と言いたげな山口トートの表情がたまりません。

岡田フランツは、今回が初見でしたが、歌以外の地の台詞が若干聞き取りづらいと感じました。禅フランツの台詞が明晰なので、尚更そう思わずにいられません。
あと、青年時代、皇帝の地位の重圧で眉間にシワが寄っている顔が、ヤンキーがガンを付けているように見えなくもないです(^_^;)。「皇帝である自分」を受け入れられていなくて、軍服を着るというよりは着られているように見えました。1幕のハンガリーの場面でシシィの機転に助けられる辺りまで、そんな印象です。
また、岡田フランツ、シシィへののめり込み方がとてもはっきりしています。禅フランツよりも「皇帝である自分」を素直に受け入れず葛藤を覚えている分、シシィのような人間を激しく求めるという流れが分かりやすい感じでした。
そして、シシィへの思いの強さと同時にルドルフにはめちゃくちゃ厳しいパパ。2幕の「待て、ルドルフ!」の怒号があまりに凄まじくてビビりました(^_^;)。
「夜のボート」では、意外にも、と言ったら失礼かも知れませんが、瀬奈シシィと声質が合っていると思いました。1幕でも青年と少女の声でデュエットしていますが、こちらの方が2人の低音が生きていて良い感じに聞こえました。

ちびルドは、お久しぶりの知憲くん。甘えん坊だけど意志の強い皇太子。教育係をきっと睨む瞳が印象的でした。

大野ルド。真面目に歌っているのは分かります。でも、「闇が広がる(リプライズ)」で音量を絞られていた気がするのは自分だけでしょうか?
ママの鏡の時に何だか気の毒になり、天を何度も仰ぎながら、
「きみ、もう歌わなくていいから。ここ飛ばして、早くトートにチューされて黄泉に送られていいから」
と心の中で呟いてました。
初見の時(5月12日)は「涙目必死な皇太子」と思って観ていましたが、今回は父上への謀反の強い意志(知憲ルドの瞳と一緒!)で突っ走る皇太子でした。トートの糸の引っ張りに良く呼応する若者。前回の繰り返しになりますが、ビジュアルは本当綺麗です。

カーテンコールはソワレがあるのでやや短めでした。最後のトート&シシィのお出ましで、山口トートの高速お手振りが可愛かったです(^_^)。
というわけで、後程アップする予定のソワレの感想に続きます。