日々記 観劇別館

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保坂さんのこと

保坂知寿さんと言えば、元劇団四季の看板スターにして、昨年からは山口祐一郎さんの事務所所属の役者さん。更に言えば、昔山口さんと何か色々あったらしい方です。
自分にとって山口さんは、ひたすら一方的に鑑賞して時に賞賛し、時には萌え死に(何だそれは(^_^;))、たまにはらはらさせられたりもする対象ですので、舞台であの存在感たっぷりの姿にお目にかかれさえすれば、それだけで幸せな気持ちになれる、それ以外のことは割とどうでも良い……筈なのですが、時々はその彼が、昔から名コンビを自認している彼女のことも気になるのは否定できません。

それでも前々から、彼女のことは、素人があえて生意気な口を叩きますと「実力」で評価したいと思っておりました。しかし昨年の移籍後初出演作『デュエット』は演目自体に食指が動かず観劇を見送ることに。そして、『スーザンを探して』でやっと観られた彼女は、確かにかつて四季の看板を張っていらしたことが大いに納得できる役者さんでした。
だってあんなに細くて小さくて、お顔立ちも超絶美人タイプとは言えないのに、あの決して音響が良いとは言えないシアタークリエで綺麗に高音の歌声が突き抜けるのだもの。まあ、今回はドスの利いた声質の真琴さんが共演ということを差し引くとしても、少なくとも宝塚系統の役者さんとは全く違う歌い方をされていました。
これは決して宝塚と四季の優劣ではなくて、多分レッスンのメソッドが全く違うのだと思います。劇団四季と言えば「四季メソッド」が有名だけど、それだけではないような。もちろん他にも四季(あるいは元四季)の女性の役者さんを観たことがないわけではありませんが、何か耳に新しかったです。歌だけでなく、軽やかでほとんど体重を感じさせない動作も良し。
何故山口さんが彼女をご自身の事務所に迎え入れられたかが、少しだけ分かるような気がいたしました。ファンの間に異論はあるかも知れませんが、今から今年11〜12月の『パイレート・クィーン』でお二人のデュエットが聴けるのを、かなり心待ちにしています。

1つだけ惜しいのは、今回観た『スーザン』のロバータの人物像が必ずしも万人の共感を得られるタイプではなく、また華やかさにも欠けているということ。未見ですが前作の『デュエット』のヒロインも、タイプは違えど反発を喰らってしまいやすい人物像だったようです。そうした役どころを演じられるのは実力をお持ち故だと分かってはいるつもりですが、東宝で2連続そういう引っかかり、というか苦みのある人物を演じられているので、次の作品(『パイレート・クィーン』?それともその前に何かある?)ではもう少し手放しで観られる役柄で拝見したいぞ、と願ってやみません。

……うーん、書き始めた時はこんなにほめちぎるつもりじゃなかったんですけど(^_^;;)。どうしよう。
「山口さんは好きだけど保坂さんはちょっと」という方も少なからずいらっしゃると思うのですが、自分は今の所そこまでは考えられないようですので、もしお気に障る方はスルーしていただけるとありがたいです。