日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『月刊ミュージカル』2009年12月号

前の記事にも書いたとおり、12月5日の観劇の際に帝劇で入手しました。p8-9に山口さんのインタビューが載ってます。
月ミューの例に洩れず写真はチラシと同じ物(しかもモノクロ)ですが、内容は比較的きちんと正面からインタビュアーの質問に答えていて良い感じです。
「人間じゃない役をやらせて頂くことも多いので、こんな人間的な役をやらせて頂いていいのかな…とも思って緊張しています」
という発言を読んで、やっぱりご本人も「人ならぬ者」が得意ジャンルだということを意識しているのだと良く分かりました。
「(作品の中で)ティアナンとしての立ち位置をしっかりと把握しなくてはいけません」
「一生懸命ティアナンを生きようと頑張っています」
「(経験がないので、作品内での殺陣の所要する)時間が全く読めない」
など、山口さんにしては珍しく必死感の漂う発言が多いので、観客が思っている以上に、海と愛に生きる普通の青年を演じることは大きいチャレンジなのかも知れません。

また、「運命を乗り越える人間の可能性を信じる」という『パイレート・クィーン』のテーマの一つについても触れられています。そんな大層な話だったかな、あれ、とも思いましたが、山口さんはそれを「この作品の楽曲を歌うこと」への挑戦と結びつけて語られていました。
思い返すと、確かに山口さん、「君のそばで」のようにひたすら高音、アップテンポでぐいぐい押していくタイプの曲は、今まであまりなかったなあ、という気がします。あの曲について、観客の、特にお若い方にはもしかしたら、オジさんが無理やり高音で歌っているようにしか聞こえないのかも知れません。でも私は山口さんよりずっと年少とは言えオバさんの端くれとして、澄んだ歌声と綺麗な発音で彼が丁寧に伝えてくれる、曲に込められた心を素直に受け止め堪能したいと思います。

この号には、宮川さん・今井さん・禅さんの座談会も4p程載っています(p10-13)。この内容も結構面白かったです。
禅さんがお話ししていたエリザベスとビンガム卿の考え方のすれ違いを読んでいて、何故か昨年の『篤姫』の時山口さんが仰っていた篤姫島津久光の価値観の違いを連想しました。男性が目的のために厭わない「汚れ」を女性は身勝手なまでに許容せず、その結果があのエリザベスの態度だと思えば、まだ納得できます。
細かい点では、宮川さんが山口さん&保坂さんを「祐ちゃんとちーちゃん」と呼んでいるのが妙にツボにはまりました。今井さんの真面目でちょっと天然が入った温厚なお人柄が伝わってくるのも良いですね。まさに慈父。