日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『レプリークBis』vol.17(2009.12)

本日発売のこの雑誌、それなりの値段はしますが値段なりの内容は詰まっているし、山口さん&保坂さんの記事も載っているしで迷わず購入しました。
メイン特集の歌舞伎は私的には適度に襟を正して臨みたい対象なので、後でじっくり読むことにして、取り急ぎ以下の3記事だけ目を通しましたので、感想を記しておきます。

保坂知寿×山口祐一郎(p48-51)

一応今号最大の目当ての記事です。
お話の内容はこれまでの『パイレート・クィーン』関係の取材記事と比べてそんなに目新しいものはなかったのですが、シェーンベルクさんの曲に関する、
「キャラクターが劇中で感じる葛藤が譜面に表現されていて、必然的に極限状態に追いやられることがあるので、その点でも体力が必要」
という山口さんの発言から、改めて第1声から高音で攻めていくティアナンのナンバーの難しさを感じ取りました。
グラフ写真ではスタンドカラーの上衣をまとった山口さんが、殊の外柔らかい良い笑顔を見せてくれています。隣りに座る保坂さんの表情も、他の記事の写真と比べると硬さや気負いがなくて良い感じです。
それから保坂さん、素顔の写真と舞台での写真を比べると、山口さんと同じく板の上で役になることで大化けする方だというのが良く分かります。
そして、一歩間違えると「ケバく」なりがちな色合いのお洋服を上手いこと着こなす方なんだなあ、と思いました。そう言えば17、8年前の四季在籍時代に別の雑誌に載った山口さんとの対談記事でも、カラフルな柄物のお洋服を華やかに着こなしていらっしゃいました。そしてその記事の山口さんの服装は「日曜日のお父さん」を彷彿とさせる地味さ。今回のハイネック姿はそれに比べるとだいぶオシャレではありますが、本質的には17、8年前と何も変わっていないと思われます(^_^;)。
ちなみに山口さん、他の『パイレート・クィーン』関係取材と同様、今回の記事でもまた「チャーミング」という単語を使われていました(笑)。そんなに好きなんでしょうか、この単語。

タカラヅカOG Special(p55-79)

大ベテランから最近の卒業生、主役格から名脇役、そして役者として活躍される方以外にも演出家の謝先生まで取り上げられていて、結構濃い特集です。最後のページにライターさんの大浦みずきさん追悼の辞があって、それだけでまた泣けました。本当、よりによって何で神様は大浦さんを選んで召してしまったのだろう、と。
あと、春野寿美礼さん(オサさん)が退団されたばかりの頃から随分雰囲気が柔らかくなっていて驚くなど。退団後ある程度時間を経たことのほか、やはりご結婚されたことが大きく影響しているのだろう、と思いながらすっかり「女優」の顔をした写真をじっくり眺めてしまいました。

岡幸二郎の華麗なる舞台裏 第5回ゲスト 石丸幹二(p86-87)

お二人は四季で同期(28期)でいらしたのですね。ついでにどちらも『オペラ座の怪人』のラウル役経験者*1。四季のオーディションを受けた直後に、当時芸大生でミュージカルを観たこともなかった石丸さんが岡さんに「ラウルって何?」と質問して驚かれたという話が面白かったです。
石丸さんの発言の「ゲイの役や脱ぐ役は早いうちに挑戦しておきたかった*2」を受けた、岡さんの「というより、脱がない人のほうが多いよ!」のツッコミを読み、「じゃあ、28年程前にいきなり『(必然性があって)脱ぐ役』でデビューしたあの方は実は貴重なのでは?」とも思ってみたり。
今の石丸さんは四季で出来なかった種類の地味かつマニアックなお仕事を、幅広く貪欲に引き受けてチャレンジされている(そして多分人脈も築かれている)印象が強いですが、お言葉どおり、そのうち王道なミュージカルでもお姿を拝見できる日を心待ちにしています。

*1:15回しか登板しなかった岡ラウルはともかく、ラウルと言えば石丸さんなのに、私はどちらも観たことがありません。残念。

*2:ニュー・ブレイン』のこと。