日々記 観劇別館

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『レ・ミゼラブル』SPキャスト公演感想(2011.5.15マチネ)

キャスト:
ジャン・バルジャン今井清隆 ジャベール=鹿賀丈史 エポニーヌ=島田歌穂 ファンテーヌ=岩崎宏美 コゼット=神田沙也加 マリウス=石川禅 テナルディエ=斎藤晴彦 テナルディエの妻=鳳蘭 アンジョルラス=岡幸二郎 司教=林アキラ リトルコゼット=清水詩音 リトルエポニーヌ=蒲生彩華 ガブローシュ=鈴木知憲

レミゼSPキャスト公演、見てまいりました。
実はSPキャスト、2007年に岩崎ファンテだけは観ているものの、残りの方は初見なのです。ちょっと今、心のコンディションが万全とはいえない状態なのですが、これは(そしてソワレの玲奈・聖子コンビも)何としても観なければ、と帝劇までやってきました。
座席は2階G列の上手ブロック。舞台までは遠いですが死角の少ない良いお席でした。

1幕の「夢やぶれて」で不思議な体験をしました。
岩崎ファンテの全く押し付けがましさのない歌声がすんなりと耳と心に入り込んで……私の中の今一番苦しんでいる業の深い部分と共鳴したようです。気づいたら涙が溢れ止まらなくなっていました。
私、山口さんの歌声の場合は、あちら側の世界に引き込まれることが多いのですが、岩崎ファンテの歌声は逆にこちらに入ってきたので、自分でも意外で驚きました。何だか、浄化されたような心持ちです。

あまりそういうことばかり書くと、精神世界に突入しそうなので置いておいて。他のキャストの感想にまいります。
とにかく、禅マリウスが可愛かったです(*^_^*)。見た目が若く、沙也加コゼットと並んでも何ら違和感がないというのもありますが(「君を困らせた〜」と門に駆け戻る場面では客席から若干の笑いあり(笑))マリウスの純粋バカ、微妙なヘタレ感が何とも自然に出ていたと思います。しかも声に力があって輝いている。噂には聞いてましたが、私的に最強のマリウスかも知れません。
今井バルジャンも初見でした。山口バルジャンの凛と通る高音を聞き慣れていると、今井さんの篭り気味の歌声は正直物足りない点もありましたが、滑舌良く聞き取りやすいお声でした。山口バルジャンと異なり囚人の時からがっしり体型なのはバルジャンとしてはプラスポイントかと思います。
「彼を帰して」ではこれが噂の原曲キーか、と聴き入りました。祈りというよりは、祈りの言葉を借りた「マリウス、守ったるでー!」という決意表明のようにも見えました。
臨終は、コゼットとの密着度が高いのが良いです。何故山口バルジャンはあれをやらないのかという疑問がふつふつと。確かに膝元どまりの方が神々しく見えるかも知れませんが、ちょっと観て見たかったです。
そして鹿賀さんのジャベール。ああ、何て不器用なジャベールなんだ、という印象を受けました。「星よ」で語り歌う姿が本当真っ直ぐで融通が聞かなそうで、彼が正しいと思ってることは相対的な「正しさ」ではなく彼の絶対的な「正しさ」なんだろうな、このジャベールなら自殺するだろうな、と深く納得させられました。
岡アンジョ。美しゅうございました。歌も姿も。禅マリウスと同様、私的最強アンジョになりそうです。ジャベールの時より似合う、と言ったら言い過ぎかも知れませんが。懸案の砦落ちもごく自然、どっこいしょ感や飛び降り感0で落ちてました。
ああ、時間がない……。かなりはしょります。
沙也加コゼットは前観た時よりは違和感が薄かったです。高音になると聴こえなくなるのはどうにかして、とも思いますが、こういう気の強そうなコゼットは嫌いではありません。
歌穂エポ。やはり押し付けがましくない歌声が気持ち良かったです。歌にも演技にもエポの健気さが行き届いていました。ちゃんと娘さんに見えるのが凄いです。
テナ夫妻。さらっとしているようでいて、凄み、笑いのポイントはしっかり押さえているのは流石だったと思います。岡給仕と鳳マダムの結婚式コントには爆笑しました。
以上、取り急ぎの感想です。では、これからソワレに臨みます。