日々記 観劇別館

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『スーザンを探して』感想(2009.1.25マチネ)

ロバータ保坂知寿 スーザン=真琴つばさ デズ=加藤久仁彦 ジェイ=吉野圭吾 アレックス=コング桑田 マリア=藤林美沙 ティナ=馬場徹 クリスタル=小此木麻里 レスリー杜けあき ゲリー=山路和弘 演出・翻訳・訳詞=G2

今年初のシアタークリエで観てきました。
全体的な印象は、いかにもアメリカ製サスペンスコメディーだな、という感じでした。色々ドラマは起きるけど最後は明るくニコニコ、でも少し毒が含まれていて。イーストウィックとかウェディングシンガーとか、あの手の笑いが受け入れられる人はOKかと。あと、吉野さんのファンは何を差し置いても観るべきと思います。
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生の舞台では初見だった保坂さんのお歌は、ああ、四季の人だなあ、と思いました。声量があるのに力みが全くないとでも申しましょうか。声質も聴きやすいし、決して美人タイプではないのだけど、私的にはオーライな役者さんです。
ただ、彼女が演じたロバータですが、多分私自身とは最も等身大なキャラクターであるにも関わらず、バッチリ共感できるには至りませんでした。ひとたび決めたらすぐ行動に移す所は好きなんですが、まずアナタその元凶になったジャケをさっさと脱げよ、とか、そのタイミングでデズを置いてロフトから逃げるなよ、あと確かに夫のゲリーはアホンダラだけど、そんなけんもほろろにしなくても、とか細かい所がどうも気になってしまいまして。
逆に、スーザンは可愛いし、かなり非常識だけど憎めなくて初めから本能に忠実だしで、思い切り共感できたんですが、あれを友達や彼女にするのはかなりエネルギーを必要としそうなので、ごめん被りたいです(^_^;)。
その振り回されるけどちゃっかりスーザンの尻馬に乗って楽しんじゃうお友達で、ちっちゃいマジシャンアシスタントのメガネっ娘クリスタルをどこかで見たような?と思ってたら、小此木麻里ちゃんでした。スーザンとのでこぼこコンビはなかなか良かったです。
スーザン役真琴さんは、きつい面差しの美人さんで、スーザンの猪突猛進な強さを前面に出していて素敵です。Wキャストの香寿さんだともう少し柔らかい雰囲気になるのかな?と想像しながら観ていました。
スーザンの恋人ジェイは吉野さん。ツンツンヘアのロックヴォーカリストの出で立ちが大変に似合ってました。歌う場面での発声も、他の演目とは異なりロック仕様にしていたように聴こえ、へえ、こういう歌い方もできるんだ、と思わず聴き入ってしまいました。
ジェイは美味しい場面も盛りだくさんでした。格好良かったのは自分のバンド「マミーズ」で熱唱する場面に、1人ギターを爪挽いて作曲に励む場面。そして色っぽくて可愛らしかったのは、スーザンとの複数回のキスシーン。特に2幕で久々に会った(と言っても精々1、2日の筈ですが(^_^;))時の「(キスが)足りねえー!」はかなり萌えツボにはまりました。
残りの主要なキャストについても少しずつ。ジェイの友人で彼女に捨てられたばかりの映写技師デズは狩人兄こと加藤さん。デズがあまりにも良い人過ぎて、良いのか?そんなにゴー・ストレートなロバータ(はっ、実は本質的にスーザンと同類?)を簡単に受け入れちゃって?とちょっと心配になりましたが、まあ、ロバータはこの人なら大幸福とは言わないまでも、少なくともゲリーといた時みたいに精神的不満蓄積状態にはならないだろうな、とひとまず納得。
ロバータの夫ゲリーは山路さん。実はアメリカでダンス修業の経験があり踊れると聞いていたので楽しみにしていましたが、期待に違わぬダンスを見せていただきました。いかにもアメリカな「仕事もそこそこできて小金はあるけど、それだけで家族も幸せと思い込んでいるアホンダラなリーマン」をマンガチックに演じられていて、かなり可哀想なラストを迎えるのだけど観ていて楽しかったです。
大浦さんの代役として出演の杜さんも初見。ゲリーの妹レスリー役でしたが、こういうコメディエンヌな役もできる方だったのですね。爽やかな美女でしたが、この役、ぜひ大浦さんでも観てみたかったな。イーストウィックの堅物女ボスと対極にある役柄ですし。過激な言葉を吐く場面でももっとドカンと笑わせてくれたんじゃないかな、という気がしてなりません。
脇の方ではあと、マリア、ティナ、それからマジシャン役の方が印象的でした。
カーテンコールは毎日必ずキャストの誰かが挨拶する決まりになっているようです。きょうはホテルの給仕役の男性でした。また観に行くかは考え中。