日々記 観劇別館

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『パイレート・クィーン』前楽感想(2009.12.24ソワレ)

グレイス・オマリー=保坂知寿 ティアナン=山口祐一郎 エリザベス1世涼風真世 族長ドゥブダラ=今井清隆 ビンガム卿=石川禅 ドーナル=宮川浩

『パイレート・クィーン』前楽を観ての大雑把な感想はこちらにも書きましたので、以下、補足のみ記させていただきます。

グレイス

保坂さんの歌の安定感は抜群だと思いました。高音が綺麗というよりは押しが強く時に凄みがあるので、好き嫌いが分かれそうですが、自分はOKです。ダーナルと訣別する時のドスの利いた声とのギャップがまた楽しかったりします。演技の方でも、娘時代からエリザベスと対等に語り合うラストまで、それぞれの年代のグレイスの演じ分けが分かりやすかったです。

ティアナン

そう言えば、千穐楽も入れて計5回しか観ていないからかも知れませんが、ついに一度も作詞していませんでした。TdVの時は公演期間が2ヶ月と長かった上、ソロが何曲もあり、更に歌詞が難しすぎたからかも知れませんが、二度三度と作詞にお目にかかったというのに。

エリザベス

涼風さんは変わらず美声でしたが、高音域のお声がややお疲れ気味に聞こえました。耳の錯覚でなければ初日辺りはもう少し楽に高音を出していたように思います。

ドーナル(ダーナル)

表記上の役名は「ドーナル」だけど舞台上では専ら「ダーナル」なのでこっちの方がしっくり来ます。休憩時間のトイレ待ちの際に宮川さんについて、
「昔は王子様系だったのに、ここ何年かで汚れ役、というか制服系(の優等生)じゃない役を演じるようになって……」
と語られている昔からのファンらしき方の声が聞こえてきました。と言っても私はアクの強い役柄の宮川さんしか知らないのですが。

ドゥブダラ

今井さんは歌上手・貫禄抜群・踊れる・性格良さそうの四拍子揃っている上、ドゥブダラにはマント属性まであります。
今まで別に萌えなかったんですが、1幕で剣を振り回して一所懸命イギリス軍と格闘して追い詰められる(そしてグレイス&ティアナンに助けられる)姿に少し萌えました。あの貫禄ある体型なのに山口さんより敏捷に見えたのは気のせいということにしておきます。

ビンガム卿

前の感想からの繰り返しになりますが、マントの翻し方からエリザベスとの台詞の応酬まで、かなりオーバーアクションになっていました。その分、小物感も3割増し位になり、この作品におけるビンガム卿という人物の位置づけが分かりやすくなった気がします。
今回一つ思ったのは、彼がエリザベスに見限られたのは、部下達の狼藉もさることながら、アイルランドを征服しようがティアナンやグレイスと対話しようが、全くと言って良いぐらいアイルランドの国や人々に対する態度が変わらなかったのが原因ではないか?ということです。それが厳然たる階級社会に生きてきたイギリス貴族・ビンガム卿の限界だったのかも知れませんが、グレイスとエリザベスが会談、和解してもなお現実を受け入れられず暴れてしまったらそりゃダメだろう、と思いました。全く憎めない、むしろ愛すべき人物なのですけれど。

というわけで千穐楽の感想に続きます。