日々記 観劇別館

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『エリザベート』感想(2008.12.24マチネ)

エリザベート朝海ひかる トート=山口祐一郎 ルイジ・ルキーニ=高嶋政宏 フランツ・ヨーゼフ=鈴木綜馬 ゾフィー初風諄 ルドルフ=浦井健治 ルドルフ(少年時代)=田川颯眞

エリザベート』帝劇公演の山口トート前楽を観てきました。一緒に観劇した連れ合いとお茶してから「光都東京」のイルミネーションを鑑賞したり、ディナーしたりしてから帰ってきたので、今夜の例のドキュメンタリードラマはまだ観られておりません。
さて、本日の座席は1階R列最下手側でしたが、舞台上の声が何だか生声っぽく聴こえてきて、不思議な感触がしました。なのに何故か「最後のダンス」のトート閣下のお声だけ妙にエコーがかかって聴こえたので、ちょっともやもやな気持ちに。山口さんのお声の調子は少なくとも土曜に聴いた時よりずっと良かったと思いますし、トートのほかの曲では全くそんな風には感じなかったのですが、そこだけは違和感を覚えてしまいました。でもでも、山口さんの歌自体は攻めモード全開で、アクションもどうしてあんなに仰け反っていてあの声量が出せるんだ、というぐらい激しくて、本当に良かったのですよ!重箱の隅しかつつけなくなった汚れた自分が憎いです(>_<)。
朝海さんは1ヶ月ぶりに聴きましたが、以前よりだいぶ聴きやすい歌声になったような気がしました。ただ、残念ながら彼女の歌声で感動するまでは至れないのです。……と書いてみても、彼女の歌できちんと感動して帰れるお客さんもいるのだろうと思うと、こんな所で所詮素人がぶつくさ言っているのがバカバカしくなるわけですが。すみません、暴言ですね。
綜馬さんのフランツも久しぶりでした。母上に叩き起こされた上畳み掛けられるようにケチ付けられて戸惑うシシィをなだめようとする時の表情が、実にノーブルで優しい笑顔だったのがツボです。でもシシィには反発喰らってしまうんですけどね。その時の表情が寂しそうでまた良し。
初風さんのゾフィーは、本日は声の響きがやや平坦な感じがしました。でも、今まであまり気にもとめなかったのですが、バートイシュルの場面でフランツに見合い相手の印象を尋ねる時の表情が、一瞬ですが息子を思う穏やかな1人の母親の顔に変わっていたのに気づいて、これもまたゾフィーとして「あり」だと思いました。
少年ルドルフは今回もまた颯眞くんでした。8月に中日で観た時に比べると、歌、上手くなったなあ、としみじみ。

今日観たのは山口トートの前楽でしたが、同時に山口トート&浦井ルドルフの組み合わせの東京楽でもあったわけです。そんなこともあってか、浦井ルドルフが父上様にご挨拶して登場した瞬間から自殺する場面に至るまで、すっかりルドルフに気持ちが寄り添ってしまい、ずっと泣きそうな思いでいっぱいでした。この子はこんなに生きたがっているのに死を運命づけられているのだ、と思うと辛かったです。
「闇が広がる」はまさに2人の歌声が共鳴し合っていて、それでいて適度な緊張感があって最高でした。革命ダンスでのトートのルドルフ投げも、気合いの掛け声こそありませんでしたが力強かったです。
浦井ルドルフについてもう1つ。「悪夢」で上目遣いに勝ち誇るトートを見つめつつ、地べたで群舞する亡霊の皆さまをチラ見していたんですが、イナバウアーポーズの反り具合が浦井くん1人だけ妙に急角度でびっくりしました。浦井くんのダンスの上手さはマイヤーリンクその他で証明済みですが、あの身体の柔らかさ故だったんだなー、と感心*1

ラストでトートがシシィを抱き留める時の表情は、下手側からは良く見えず残念でしたが、がっちりしっかりと受け止めていました。
全員でのカーテンコールの回数は数え忘れてしまいましたが、トート&シシィの2人カテコは合わせて3回あったように記憶します。これでまたエリザとはしばらくお別れ、そもそも次に山口トートの登板はあるのか?という疑問もあったりするので、かなり寂しい心持ちです。と申しましても、今年の観劇納めとしては大満足な本日の山口さんの前楽でありました。

*1:身体は素晴らしく柔らかいのにダンスがアレな某閣下もいらっしゃいますが……ごほごほ