最近とある場所で昔の四季の舞台録画映像等のさわりを見る機会がありまして、そこに昔の山口さんの映像等も混じっていたりするわけですが、それを見て、山口さんが普通に踊ってる！と驚いています。
考えてみたら四季に在団中は、『CATS』や『コーラスライン』と言ったダンスが肝になるミュージカルに普通に出演されていたわけで、そりゃあの生存競争が厳しそうな劇団の中で、「歌唱力」と「容姿端麗」だけでは生き残れないと分かってはいるんですが。
それでも、『オペラ座の怪人』でクリスティーヌをリフトしてたり、『コーラスライン』で開脚ジャンプして高々と足上げてたり、『CATS』でジェリクルソングを歌いながら群舞してたり、はたまた火の精役でグラン・パドゥシャグラン・ジュテ（と言うらしい）してたりする姿は、歌唱に重きを置いた現在の彼しか知らない立場からするとあまりに新鮮です。
まあ、振付通りに踊れる＝動き滑らかな美しいダンス かと言うと必ずしもそうではないわけですが(^_^;)。何人の方にご理解いただけるかは分かりませんが、山口さんのダンスを見ていて、川原泉さんの往年の名作漫画『銀のロマンティック…わはは』のヒロインのバレエを連想しました。優れた運動神経を有していてもそれがダンスの芸術的センスに直結、とは残念ながらならないのです。
とにかく、それらの映像を見る前からも、山口さんは歌の人ではあってもダンスの人ではない、踊っていたとしてもそれは過去のことだ、という頭があったので、今年のエリザ中日劇場公演でトートダンサーズのセンターに立って激しくダンスしているのを拝見した時には、妙に感動してしまいました。仮にも四季の看板を張っていた人に対し、自分は何て失礼なんだ、と思いつつ。
と思っていたら、『レプリークBis』で演出家の小池修一郎さんが「革命の踊りも今回一生懸命踊っていらして」（太字はこちらで指定）と、捉えようによってはもっと失礼なことを仰っていたので（今回だけ一生懸命なのか？とか、一生懸命にならないと踊れないというのか？とか、突っ込みどころは色々あります(^_^;)）、ああ、自分以外にも失礼な感慨を抱いている人はいたんだ、とちょっと安心（？）しました。
更に失礼極まりないことを申しますと、自分が永遠に観ることはない、お若い頃から追いかけているベテランファンのみの特権であるとすら思い込んでいた「激しく踊る山口さん」というシチュエーションに、最新の舞台で出会えたことを本当にありがたく思っています。言えば言うほどに墓穴を掘りそうなので、このくらいで止めておきますけれど。
