日々記 観劇別館

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『M.クンツェ&S.リーヴァイの世界〜2nd Season〜ミュージカル・コンサート』DVD簡単感想

本日、『M.クンツェ&S.リーヴァイの世界〜2nd Season〜ミュージカル・コンサート(東京国際フォーラムキャスト版)』、略してウィーンミューコンのDVDが無事わが家に届けられました。
一般発売は6月20日ですが、公演時の劇場先行販売で購入したので、言わばフライングゲットです。

DVDの収録対象は、3月25日の東京国際フォーラム公演がメインです。特典映像のパトリックさんの歌のみ、梅田芸術劇場での収録だそうです。
まだ全編通しで聴けていませんので、以下は、Disc 1, Disc 2の山口さんの出演部分とDisc 2の終盤(具体的には「私が踊る時」〜キャスト挨拶)のみの感想です。
ぴかぴかの禅さんや安定の土居さん、そしてスペシャルなパトリックの歌声は、後日改めてじっくり聴いて素晴らしさを噛み締める予定です(^_^)。

さて、このコンサートの山口さんの歌声は、近年最大の絶不調だった時の収録です。以前もこちらに書いたように(該当記事)、自分自身としては、山口さんの進化も劣化も変身もみんなまとめて堂々と見届ける覚悟はできていますが、一方で、このDVDを聴かれる方に、この歌声=山口祐一郎の現状の全て、と思われるのは正直辛いです。
と言いつつ、確かに「ILLUSION―或いは希望」の高音の掠れ等カバーしきれない所はあるものの、音声を客席に届けつつ録音としても成立させる音響さんの技術力と、不調を凌駕するだけの山口さんの歌唱力の凄さを改めて思い知っています。例え声量が落ちていたとしても、常に現在進行形で磨き続けられている、ゴールドの輝きが薄れることは決してないのだと思いました。

個々のナンバーでは、やはり一路さんとの「私が踊る時」と井上くんとの「闇が広がる」に聴き応えがありました。
しかし、これはやや中日劇場で聴いた者の身贔屓が入っているかも知れませんが、「私が―」は収録映像よりも中日劇場楽の時の方が鬼気迫っていたような気がします。何しろ一路さんの地元凱旋とパトリックの楽日という熱気の二大要素が加わっていて、歌い終えた後に一路さんとのハグまでありましたし。

「闇が広がる」は、やはり井上くんと山口さんの声は融け合いづらい、と改めて感じました。
ただ、聴きながら思わず、山口さんの声を消しちゃって井上くんうるさーい!とTwitterで思い切り暴言を呟いた所(酷い)、井上くんの声は硬質なので浮き上がりやすいだけではないか?というご意見を、井上くんファンの方からいただきました。うん、言われてみればそうかも、特にトートが歌うのは下の音だし、と思い直しております。
例えるなら井上くんの声が硬く凛としたダイアモンドだとすると、山口さんの声は柔らかくて重厚なゴールド。2つは決して融け合いはしませんが、セットになると、それはそれは豪華な宝物に仕上がる、ということなのではないか?等とつらつら考えています。……あまり分かりやすい例えにならなくてすみません。あと、聞こえ方は、再生する音響機器の調整にも若干依存しそうです。

また、音声はともかく、この曲を歌っている時の山口さんのポーズや表情が、一つ一つ舞台上で格好良く見えるよう計算されているのが分かって良かったです(^_^)。山口さんの不調な歌声なんて痛々しくて聴きたくないわ!という場合も、この綿密にプランニングされた格好良さだけは是非見て欲しいです。

それから、今回DVDを観て初めて、中日劇場かフォーラムで、井上くんともハグまたは握手してくれても良かったんじゃないかな?と少し思いました。闇広の舞台でのフォーメーションだとトートはルドルフの背後にいるだろう、と。

前後しますが、意外にも、と言ったら失礼になるでしょうか。瀬奈さんの「愛と死の輪舞」と「最後のダンス」が良かったです。男役瀬奈さんって格好良かったんだ、と更に失礼なことを今ごろになって思っています。
実は瀬奈さんのトートは、姿月さんや春野さんと比べると宝塚的にそんなに「上手い」という評判を聞いたことがなく、勝手に食わず嫌いしてきた所がありますが、何だ、悪くないじゃない、と思った次第です。以前『エリザベート』の感想でも書きましたが、瀬奈さんを見ていると「こう歌いたい」「こう動きたい」という理想像がはっきり結ばれていると感じられ、今回のDVDでもその印象は変わりませんでした。

ラクリモーザ」は本編の歌ももちろん良かったのですが、土居さんと井上くんのアフタートークは、他劇場の公演、特に中日劇場楽(参照記事)を観ていると、より一層感慨深いものがありました。

ラストナンバーの「影を逃れて」では、演奏前の「禅さんと井上くんを謎の手振りで仕切る山口さん」の姿がしっかり収録されていました。ちょっと嬉しい(^_^)。
曲の途中で井上くんと育三郎くんのWヴォルフがユニゾンで歌う場面があったのですが、井上くんの声量が完全に育三郎くんを圧倒(^_^;)。おー、後輩を潰しにかかるかの如く圧倒してるね、とちょっぴり黒い視点で眺めてしまいました。

DVDには全曲終了後のカーテンコールでのご挨拶も収録されていましたが、ここにも小さな見どころが。
まず、女性陣、育三郎くんを経て、井上くんが自分の挨拶を終えた後、山口さんの前を腕で通り越して禅さんにマイクを手渡し。まだクリエの千穐楽でのトラウマが残っていたのか、急いでマイクを受け取る禅さん。それを目にして、何と山口さん、「にゃんにゃんにゃん」と抗議(?)のポーズを取っているではありませんか。
……そこの55歳男子にお願いです。あまり可愛くして、ファンを溢れる萌えで倒れさせないでください(///)。ちなみに、本日は宝塚歌劇団卒業生公演にお越しいただき云々、というおとぼけ系ご挨拶もしっかり収録されていました(^_^;)。

個人的には、パトリックの特典映像を付けるなら、中日劇場楽での井上くんとの「闇が広がる」も是非入れて欲しかった、と贅沢を申し上げておきます。ついでにあの山口さんの、中日劇場のスタッフさん、パトリック、そして一路さんをリスペクトしまくりの、粋で素敵で笑いと涙に溢れたご挨拶も入っていたら、もっと感涙にむせんでいたかと思います。

以上、DVDのごく一部についての簡単な感想でした。次回また時間を作って、Disc 1から通しで観てみるつもりです。山口さん関係以外にも、もう一度聴きたいナンバーはいくつもありますので。