日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

中日劇場『エリザベート』感想(2008.8.17マチネ)(その1)

エリザベート涼風真世 トート=山口祐一郎 マックス=村井国夫 ルイジ・ルキーニ=高嶋政宏 フランツ・ヨーゼフ=石川禅 ゾフィー寿ひずる ルドルフ=伊礼彼方

1回のみではありますが、ようやく2008年版『エリザベート』を中日劇場まで観に行くことができました。以下、どうしてもトート閣下中心になってしまいますが、感想です。
プロローグの死者復活シーンで、禅さんのフランツがむやみに若作りでキラキラしていてびっくりしました。実は2006年に観た時、綜馬フランツがお気に入りだったのであまり禅さんを熱心に観察していなかったんですが、こんなに力入れて若く見せてたっけ?とそこばかり気にして他のキャストをちゃんとチェックするのを忘れてしまいました(笑)。あ、ちびルドの子役くん(キャスト表はチェックしてませんが、顔立ちから多分、颯真くんかと)は、歌はやや弱めだけど、お人形みたいな可愛い顔立ちをしていました。
今回のシシィは涼風さん。少女時代の印象は「粗野な自然児」。ついでにあまり少女少女しておらず、どこか中性的な感じを受けました。2006年の一路さんが理由あってできていなかった側転も今回復活。
どうしても一路さんと涼風さんを比べざるを得ないのですが、今にして記憶を掘り起こすと、一路シシィは歌い方につけ演技につけ、良くも悪くも押しが強烈だったように思います。涼風シシィにその種の押し付けはほとんどないのだけど、一路シシィの押しに慣れてしまっていた自分としては、エピローグまでずっと戸惑い続けたというのが正直な所です。
涼風シシィで面白いと思ったのは、生まれたままの粗野で素朴で、性的にも未分化なままお嫁入りしてしまい、義母ゾフィーに色々言われてようやくこのままじゃイカン、と自分に目覚め、次に母になり、自らの美貌が武器と気づいた辺りで「女」として開眼する、というのを段階的に見せていたことです。一路シシィは幼くてもお転婆でも、最初から「少女」という名の「女」だったので、そういう視点で見たことはあまりありませんでした。

そしてトート閣下。金髪の鬘を新調したのか御髪がさらさら綺麗になっていた以外は衣装の大きい変更はなし。ビジュアルは、私は写真でしか見たことのない2004年頃程にぷっくりもしておらず、また、2006年に観ていて心配になったほどに頬が削げて激やつれするようなこともなく、程よくすらりとした閣下でした。あの閣下の衣装も、仮にも50代男性が着るにはいい加減きついんじゃないか?と思っていましたが、今回見た限りは全く問題ありませんでした(注:無意識美化フィルタの可能性あり)。顔の造作は言わずもがなとして、頭身もあるし足も長いし。

お歌の方は、土曜日に休み明けで少し弱くなっていたらしい、という話を聞いて少々不安要素がありましたが、本日は全く問題なし。
今回久々にエリザを観て思ったのは、トート閣下のナンバーって、色々と声色を使い分ける技巧的な聞かせ所が満載なんだな、ということでした。「最後のダンス」等、朗々と歌声を響かせるべき場面では、どうだぁー!という勢いで歌い上げて圧倒し、逆に「闇が広がる(1幕の)」や「ママ何処なの?」等、囁きで聞かせる場面ではとことん甘々と語り歌ってくれていました。
それから、閣下のアクションは、まあ、手の運動は変わりありませんが(^_^;)、「愛と死の輪舞」で一瞬見せる流し目が妙に色っぽくて戸惑いました(それはアクションなのか?>自分)。あと、「最後のダンス」のラストで、階段の上段に片足(長い!)を上げて上着の裾を翻す振りが健在だったのは、嬉しかったです。

2006年公演版から、キャスト交代も関係するいくつかの演出変更があったようです。取りあえず、人づてにも聞いていたけど、なおかつ今回実際に目にして許せん!と思ったのは、シシィの姉ヘレネの田舎娘丸出しなキャラクター付けです。衣装も幼い子が描くお姫様のようなコテコテのブリブリドレスで、これは確かにシシィの粗削りな魅力に負けても仕方がないわ、という感じでした。ヘレネはシシィと違って3年間花嫁修業してきたのが売りな筈なのに、修行してこれかーい!?と納得いかず。

長くなったので、続きはまた別記事にて。