日々記 観劇別館

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『人情しぐれ町』DVD

5月初めにamazonさんに予約していた、NHKで放送された時代劇のDVD『人情しぐれ町 DVD-BOX』が昨日届きました。狂言回しの松之助師匠と石倉さんの軽妙で歯切れのよい台詞回しも心地よく、江戸の小さな町でささやかに人生を営む庶民のささやかな悲喜劇が味わい深くて、全部通しでも見てみたいと思いましたが、取り急ぎ、山口祐一郎さん演じる所の小間物屋「紅屋」の若旦那栄之助さんが登場する回(第1、2、8、11回(最終回))のみ拾い集める邪道な方法で鑑賞いたしました。

見る前は、あの大きい人のことだから、江戸市井の家屋からはみ出してしまったんじゃないか?と心配してましたが、実際にはあまり大きいとは感じられず、江戸の町並みにしっくり収まっていました。商人の設定なので、中腰でお辞儀しながら顧客の前に現れる等、文字通り腰の低い演技が多いのも幸いしているのだと思います。
栄之助さんは決してどら息子ではなくて仕事も真面目にこなしてるらしい上、女性には手練れっぽい色男なのに、どこかユルくて隙だらけで滑稽味もあって、可愛らしい若旦那でした。
で、栄之助さん、どう見ても妾のおもんさんの色香より彼女の飼い猫に振り回されているようにしか見えないのは何故なのでしょう?最終回でおもんさんの旦那に、大人同士の極めてビジネスライクな手打ち*1で火遊びの代償を支払わされた時、これまで散々栄之助さんになついていた猫が平然と旦那の膝に擦り寄っていくさまを見つめる顔が、何ともいまいましげで苦々しく口を尖らせていて、いかにも「畜生、猫め〜!!」と言いたげに見えました。
……いえ、飼い猫はあくまで彼女のメタファーに過ぎないと分かってはいるのですが、言ってみたかっただけです。今日は『篤姫』も見ないといけないので時間がありませんが、いずれほかの話もちびちびと見てみることにします。

*1:ちなみにこれを断ったら「重ねて4つに斬られる」なのでほかの選択肢は無し。