日々記 観劇別館

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『レベッカ』感想&衣装リスト(2008.4.13)

「わたし」=大塚ちひろ マキシム・ド・ウィンター=山口祐一郎 ダンヴァース夫人=シルビア・グラブ フランク・クロウリー石川禅 ジャック・ファヴェル=吉野圭吾 ベン=治田敦 ジュリアン大佐=阿部裕 ジャイルズ=KENTARO ベアトリス=伊東弘美 ヴァン・ホッパー夫人=寿ひずる

2回目の『レベッカ』を観に行ってきました。今回は13列センターブロックという舞台を見切れなくまんべんなく見渡せる席だったので、前回のような役者が近すぎることに起因する緊張感はなし。音かなも聞こえ辛い箇所は全くなくストレスゼロで楽しむことができました。明日休演だからということでもないのでしょうが、山口さんも8日よりは抑えないで歌っていた感じでしたし、前回高音部が微妙に引っかかって聞こえた気がしていた伊東さんの歌声も、今回はしっかり伸びて聞こえてきて良かったです。

ところで『レベッカ』はマキシムが実にたくさんお着替えするお芝居です。前回マキシムの中の人に気を取られていて、登場時に着ていた物(白スーツ)以外の衣装の記憶が消し飛んでいたのですが、別の日に観た友人から、マキシムの帽子トレンチコートスタイルがかなり微妙と聞きましたので、今回じっくり観察。確かに微妙な似合い方でした。どうもコートより帽子に問題があると思われます。トータルで見ると銭形のとっつぁんスタイル。前回、無意識のうちに見なかったことにしていたに違いありません。2幕のクライマックスにも同じ格好で登場するので吹きそうになり苦しかったです。吉野さんも2幕冒頭で同じような格好をして登場するのに普通なのは何故だろう?

ちなみに衣装替えする場面は、他にも探せばもっと丁寧なリストは落ちてるかと思いますが、とりあえず次のとおり。カッコ内は対応する曲名です。

  • 1幕
    1. 白スーツ:ホテル(レディなんて柄じゃない)
    2. 白ベスト&スラックス:ホテルでの朝食(その名はレベッカ
    3. ベージュチェックジャケット:崖上のシーン(崖の上で)
    4. 紺ジャケット:写生、プロポーズ(永遠の瞬間)、マンダレイ帰着(新しいミセス・ド・ウィンター)
    5. ストライプシャツ&ベスト&グレーのスラックス:夜のド・ウィンター家(君は幸せか?)
    6. ナイトガウン:夜のド・ウィンター家(こんな夜こそ)
    7. 帽子&トレンチコート:海辺(神よ何故)
    8. タキシード:舞踏会(今宵マンダレイで 〜 レベッカII Act1 Finale)
  • 2幕
    1. 白シャツ&ベスト:海辺(凍りつく微笑み)
    2. グレーのスーツ:審問会(審問会)、ファヴェルの恐喝(持ちつ持たれつ〜行っちゃった(リプライズII))、「わたし」からの電話の場面(彼女の真実)
    3. 帽子&トレンチコート:駅(夜を越えて)、屋敷炎上(炎のマンダレイ
    4. トレンチコート&白髪カツラ:エピローグ(エピローグ)
    5. グレーのスーツ:カーテンコール

2幕より1幕の方がお召し替えしているように見えますが、白ベスト&スラックスの後2枚はジャケットのみ替えて、日数の経過を示していました。だから、ベージュのジャケットを着ていたのはほんの1場面のみです。
マキシムネタばかりで申し訳ありませんが、ファンの愛という名のフィルタがかからない場合、山口さんの演技はそんなに大根に見えるのだろうか?とできるだけ冷静に鑑賞いたしました。結果。多分あの平常時の場面でのどこかしれっとした台詞回し(not 棒読み)と歌唱時の多すぎる手の動きがその評価を生むのではないかと推測されます。でもファンから見たらどちらも萌えツボだから、それが嫌いな人とは永久にすれ違い続けるのだろうという結論に至りました。山口さん、確かに決して役者として器用とか演技派とか呼ばれるタイプではないのかも知れません*1。とは言え、演技しながらあの音程がころころ変わる「凍りつく微笑み」を歌いこなすってかなり至難の業だと思うのですが……。

マキシム感想はこの辺といたしまして。
前回の感想であまり触れることができませんでしたが、フランクを演じる禅さんが信頼の置ける演技力と歌唱力で好演されています。1幕でマキシムとすれ違いまくって悩む「わたし」に、レベッカになかった美点こそが今のマキシムに必要なものと告げる歌に込められている確かな信頼感は、あの歌と演技があるからこそ観客にも伝わるのだと思います。山口さんの演技とは別の意味で好きです。
それと、1幕で無駄に発揮される色気と2幕のソロで、どうしても注目せざるを得ない吉野さん。どう見ても広いとは言えないクリエの舞台上を何もぶつからずに縦横無尽に踊って回るというだけで尊敬に値します。そりゃあんな全身から「悪者臭」を漂わせてるお兄さんに無理やり連れてこられたら、「わたし」に優しくされている上、ラブラブなマキシム夫妻の姿を見ている海辺のベンは、本能で反応して決して味方してはくれないだろうなあ、とつくづく思いました。
アンサンブルでは、男性アンサンブルに思い切り音を外す人(多分若手の方)もいましたが、KENTAROさんと阿部さんが引っ張り上げてくれてる感じでした*2。女性アンサンブルは、河合篤子さん以外はもう少し回を重ねないと良く分からないです。

また、前回観た後、マンダレイの美しい風景は舞台のどこにあると言うんだ?とぶつくさ言ってましたが、今回センターブロックから観ると紗幕に描かれている門扉と並木道が実によく見渡せてだいぶ雰囲気に浸ることができました。また、改めてプロローグ&エピローグをじっくり鑑賞してみて、マンダレイの風景イメージは両場面の歌詞に全て込められており、舞台上にセットで事細かに再現する必要はなかったのだと、深く反省。

今回2回目鑑賞して思ったのは、舞台の『レベッカ』ってサスペンスというよりはラブストーリーの色合いが濃いんじゃないか、ということです。もちろんマキシムと「わたし」の恋愛(夫婦愛)が骨子になってはいますが、ダンヴァース夫人のレベッカに対する想い(恋愛じゃなくて崇拝だけど)も含める形で。あ、そういうのをラブサスペンスというのでしょうか?もしかして。

そう言えば山口マキシム、4月10日だかのカテコで濡れた床(火事場面のスモークの残り?)で転倒しそうになったと聞きました。あと3ヶ月、どうぞお気を付けて怪我などなさらぬよう祈っております。

*1:そりゃ天が二物、三物までは与えても四物以上をそう簡単に与えてたまるもんか、と思います。

*2:影コーラスでも活躍されているようです。ベン役の治田さんも。