日々記 観劇別館

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『モーツァルト!』感想(2007/12/22マチネ)

ヴォルフガング・モーツァルト中川晃教 コンスタンツェ=hiro ナンネール=高橋由美子 ヴァルトシュテッテン男爵夫人=涼風真世 コロレド大司教山口祐一郎 レオポルト市村正親 セシリア・ウェーバー阿知波悟美 アルコ伯爵=武岡淳一 エマヌエル・シカネーダー=吉野圭吾 アマデ=真嶋優

今期公演最後にして今年の観劇納めとなるM!を観てきました。来月から3ヶ月以上は帝劇に行く予定も山口さんの舞台の予定も無い(しかも4月に行く予定のシアタークリエには売店が無いらしい)ので、この売店もクロリングッズの山もしばらく見納めだなあ、と思いながらロビーをうろついておりました。
しかし、M!というのは作品自体完成度が高い上、これは人によって異論があるかも知れませんが、アンサンブルのレベルも(あくまで日本の他演目と比べればの話ですが)比較的高いと思うので、ほとんど突っ込みどころが無いのは困った所です。
前回(16日)観た出演者とは、アマデだけが違っていました。優ちゃんのアマデは初めてでしたが、今まで観た3人の中では一番クールで優等生なイメージで、音楽に対する真摯さが強く出ていました。ただ、音楽への強烈な執着とか、エゴイスティックな幼児性とかは、ちっちゃくてお人形顔の有里朱アマデの方により強く感じられたように思います。
あと、中川くんがかなりハジけていました。彼の嬉しさにつけ悲しさにつけ表情豊かなヴォルフは、本当観ていて飽きないです。歌っている時にくしゃくしゃのサル顔(誉めてます)になるのがまた良し。
涼風さんの男爵夫人は、ヴォルフをウィーンに連れて帰りたい、と言う場面が今回ちょっとお母さんのように見えました。前回よりは柔らかみが増した気がしましたが、やっぱり声質が高めなこともあってか、包容力はどうしても香寿さんの方が……とつい思ってしまいます。でもその代わり、「星から降る金」や「ここはウィーン」のソロパートの高音はさすが綺麗でした。
hiroコンスは本当に成長したなあ、と思います。確かに歌の高音部ではまだ絶叫してしまう所もあったりするけれど、さすがに観ている側が頭を抱えてしまうような一本調子では無くなりました。

今回のコロレド猊下のご不浄シーンでは、「あっあっ、アルコ、アールコ!もうダメ〜〜」と叫び、「今日、寒いから……」と呻いていました。何度もあの一連のシーンは観てますけれど、どうして小をするだけなのにあんなに衝立の中で御髪が爆発するのか、未だに謎が解けません。
あ、ヴォルフとの決別シーンですが、猊下、接吻された手は別に眺めたりしていませんでした。ただ、口で「お前ほど不愉快なしもべは見たことがない目障りな役たたずめー!」と一息に罵倒などしてるわりには、仕草とか目線がいつまでも名残惜しそうにヴォルフを追いかけています。ヴォルフに「僕は今自由だー!」と叫ばれて、ようやく諦めて寂しそうに背を向けて去って行きます。
この場面、猊下もまたヴォルフの才能を深く理解して愛しているものの1人であるが故に、何だか哀れです。例えばレオポルトとヴォルフの場合は、理解し合っていても血の濃さから来る思い入れ故に気持ちがすれ違って決別してしまうのだけれど、猊下は権力者故に思いが強引で一方通行なものになり、ヴォルフに拒否されてしまう悲しさがあります。とは言え、中川ヴォルフの場合は、
「あんたが才能を理解してくれるのだけは嬉しいけど、権力者の汚いやり方で束縛されるのは我慢ならないから僕は出て行くよ!」
という気持ちがあって、それがあの接吻に込められているのかな、という気がしてなりません。
二幕の「神よ何故許される」はエリザベートの時ほどではありませんが、軽くエコーがかけられていました。ただ、地声の良さを消すような類のものではないので、まあ、目くじら立てる程ではないかな、とスルー。

本公演はVカード貸切公演だったので、幕間に抽選会がありました。結果は今回お誘いいただいた友人達も含めて全員外れでしたけれど。終演後は、2回カテコがあった後に、1等当選の方と中川くんとの記念撮影会。それから中川くんの舞台挨拶がありました。
舞台挨拶の内容はうろ覚えですが、当選者の方から贈られた花束の中に薔薇があったのを踏まえて(もしかしたら無かったかも知れませんが視力が悪いので不明)、
「薔薇と言えば……hiroさんが『ダンスはやめられない』で薔薇の花を撒き散らしながら『もし彼が天に召され(略)私流に弔うの』と歌うのを聴いては、女性ってこんなにも激しく男性を愛せるんだって思いました」
等々と、言葉を切っては考えながらゆっくりと長く挨拶されていて、言葉をとても大事にしているという印象を受けました。

今回、私的には、前回からしつこく風邪が長引いており、咳に苦しめられた上、時々風邪薬の副作用で眠気まで襲ってきたのが辛かったです。帝劇の天井から冷たい送風がある毎に、P席下手で激しく咳き込んで迷惑をかけていたのは自分です。でも猊下のソロの間だけはどうにか耐えました(^_^;)。ついでに劇場を出た頃にようやく風邪薬が身体に回って、嘘のように元気になり、ちゃんと友人達とお茶してから帰ることが出来ました。あの止まらない咳は一体何だったんでしょう。
次の観劇予定は1ヶ月後です。せいぜいまた風邪だのインフルエンザだのを引かないよう気を付けることにします。