日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『イーストウィックの魔女たち』感想(2007/11/3マチネ)

ダリル・ヴァン・ホーン=陣内孝則 ジェーン・スマート=涼風真世 スーキー・ルージュモント=森公美子 アレクサンドラ・スポフォード=マルシア フェリシア・ガブリエル=大浦みずき クライド・ガブリエル=安原義人 ジェニファー・ガブリエル=黒木マリナ マイケル・スポフォード=中川賢 フィデル=及川健 少女=小此木麻里

当初『イーストウィック』は1回のみ観劇の予定でしたが、友人からお誘いをいただいて急遽2回目を観ることになりました。前回、開演前の塩田さんとオケメンバーのパーカッショニストのミニライブをフルで見損ねてしまったので、今回はぜひ!と意気込み、友人にも勧めまくっていたのですが、電車に乗り遅れてしまい、開演15分前の劇場入りとなったため、残念ながらまた途中からしか聴くことが出来ませんでした。

前回、主に大浦さんのダンスに目を奪われてしまった為か、ほとんど歌が印象に残っておりませんでしたが、今回2回目ということもあり、歌もじっくり聴くことができました。特に「I WANT TO TALK」なんて、ダリルとの会話により急激に殻を破って解放されていくスーキーの心理が、モリクミさんの技巧を凝らしたヴォーカルで実にきめ細かに表現されていると思いました。
涼風さんの歌についても先日あまり書けていなかったのですが、高すぎる音がちょっときついかな?という所はあったものの、やはり上手いです。「少女の頃」のヴォーカルなんて本当に清純なお声でグッと来ました。
で、「少女の頃」も良い曲だけど、あの曲が挿入される意図は何だろう?ということを2回目にしてやっと考えました。ついでに話の節目に時々現れて1人歌い踊る町の少女の意味は一体何なんだ?ということも。
多分、あの3人組がダリルになびいてしまったのは、少女の頃から胸の奥底にあった王子様願望ゆえ。全ての女性がああいう下ネタ全開のお城に住んでるような王子になびくかというと違うと思いますが(笑)。一方でジェニファーにまで魔の手を伸ばしたダリルを許せずに成敗したのも、彼女たちの内面の少女が有する正義感ゆえ。あの少女のモチーフは、物語の全ての根源は女性の内面に存在する少女の力にある、ということを意味するものだったのではないかと今回観て思ったのですが、実は私の知らないマニアックな隠し意味があって、この解釈は的外れかも?という予感もしています。

しかし本当に男性の立場が全くない物語だったなあ。ダリルは一見フェミニストで実はそうではなかったという悪魔の本性を見抜かれて逆襲されますし、クライドは優しいけれど無力だし、マイケルはまんまとダリルの魔術にかかって色情狂にされてしまうし。フィデルも男性だけど使い魔だから完全に受け身の立場だし。やっぱり女性向けの物語だと思いました。

細かい場面で今回インパクト大だったのは、1幕の途中のフェリシアとスーキーの鉢合わせ場面。「あ!これって、元・現マダムテナルディエの組み合わせだったんだ!」と2回目にしてやっと気づきました。芸達者なお二人のぶつかり合い、本当に愉快で今回も笑わせていただきました。
驚いたのは話の節目で人形を持って歌い踊る少女を演じていた小此木麻里ちゃん*1。彼女が実は1986年生まれの21歳だと聞いて驚愕。小柄さもあって絶対10代だと思っていたのだけど。結構声量もあって歌える役者さんなのに小柄(公称150cm)なのでミュージカルの舞台だと活躍できる場が限られそうです*2。もっとも、「渡鬼」にも出ているようですし、テレビやストプレも含めて幅広くやっていける役者さんになるだろうと期待しております。

これは終演後の話になりますが、友人と銀座松屋に行ってB1Fの喫茶「茶の葉」というお店に入りました。7席しかないお店で、多分20分位待ってようやく座ることができましたが、待った甲斐あって、大変に美味しいお茶(私は冷やし抹茶とお菓子のセットをオーダー)をいただくことができました。お菓子も、小さく可愛らしい栗蒸しのお菓子(きんとんを蒸して固めたようなもの)で、本当に美味でした。あまり人に勧めるともっと混んじゃうような気もしますが、デパートの中にあるとは思えないひっそり静かで上品なたたずまいで、お勧めです。ただ、昼食も食べずに劇場でマチネを観て、そのまま空きっ腹で行くような真似とか、ソワレの前にお腹を満たす為の利用はお勧めしません(笑)。あくまでお茶を美味しくいただく為のお店なので……。

*1:ベガーズ・オペラ』にも出ていたそうですが記憶に残っていない……。

*2:レミゼのガブローシュなら行ける、と同行の友人が言ってました。同感です。