日々記 観劇別館

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レミゼ青盤CD感想

最近、友人にコピーをお願いしたり、自力で劇場売店やら海外通販やらで入手したりしたものの、未だ聴けていない状態のミュージカルCDの宿題がたまりまくっております。そんな「積ん聴き」CDを少しずつ消化すべく、先週帝劇で入手した所謂「レ・ミゼラブル青盤」(asin:B00005GLI4)をまとめて聴くことにしました。
滝田栄さんのバルジャンは初めて聴きました。声量はたっぷりというわけではないものの、丁寧に滑舌良く歌い上げていて好感が持てるお声でした。キーはかなり低めなのだけれど、その分「ヴァルジャンの独白」が同じメロディーでちょっとキー低めの「ジャヴェールの自殺」と鏡写しになって聞こえてくるという利点もあったりします*1。慈父の裏側に常に苦悩し迷う、でも骨太な心を宿しているバルジャンです。
今井清隆さんのジャベールも初聴きです。綺麗な声で、事前に想像していたより遥かに迫力もあるのだけど、どこかジャベールらしいダークさが薄いような気がしました。この人のバルジャンを観たことは無いのですが、多分一旦レミゼを離れて復帰した時にバルジャンとして戻ったのは正解だったんだろうな、と思います。
斎藤晴彦さん・高谷あゆみさんのテナルディエ夫妻の適度な下品さ加減は好きです。特に斎藤さんの汚い声(誉めてます)は悪党のにおいがぷんぷんしてきて、見事に場の雰囲気を締めています。
岡幸二郎さんのアンジョルラスは流石に美声(声が若い!)を聴かせてくれます。凄いのは、声だけでアンジョが「カリスマ」であることが説得力を持って伝わってくるということ。今なお岡さんがスペシャルキャストにアンジョとしてお呼びがかかる理由が深ーく理解できたように思います。
マリウスの宮川浩さんも歌、演技共に良いのですが、このCDにおいてはやや岡アンジョに圧倒されている感じがします。でも「カフェ・ソング」はやっぱり哀愁があって泣けるのです。
エポニーヌは島田歌穂さん。ちゃんと全身から出ている感じの、高音部も自然で可愛らしい歌声が素敵です。ただ、この方の生歌は『ベガーズ・オペラ』でしか聴いたことがないのだけど、本当の美質がCDでは伝わりにくいタイプなのでは?と漠然と感じております。CDで聴くとただ「上手いね」で済んでしまうけど、生で聴いた客は圧倒されるようなそんなタイプ。
コゼットの佐渡寧子さんも高音の綺麗な方ですが、現在は劇団四季の方なので東宝ミュージカルに出ることは無いのですね。東宝、結構惜しいことをしたんではないでしょうか。

しかし、1994年って今よりアンサンブルのレベルが高かったんでしょうか。司教様&レーグルの林アキラさんを初めとして、安心して聴いていられる感は青盤CDの方が遥かに高いと思いました。もっとも、2007年はアンサンブルにかなり入れ替わり(若返り)があったようなので、同じレベルでくくることははなから無理なのかも知れませんけれど。

――で、このCDの最大の欠点は、子役ちゃんのキャストが分からないことです。
教えて!goo レミゼラブルのCD
によれば、1994年のガブローシュキャストは

原田優一(2007年のアンジョルラス!) 柴田翔平 安達清和 竹内千奈津

だそうですが、青盤のアンサンブル出演者紹介に載っているのは大人の役者である竹内さんのみで、子役3人は載っていません。CDで歌ってるのは明らかに子役なんですけど……。子役のみキャスティングされているリトルコゼットとリトルエポニーヌも同様のようです*2。録音日が1994年2月23-24日、26-27日と4日間に渡っているので、ガブローシュ音源が2人以上に渡っている可能性はありますが、出演者には違いないのだから出来れば名前を入れて欲しかったなあ。

*1:現在はジャベールの中で岡さんだけキーを上げて歌っている等、あえてバルジャンより低くする必要は別にないらしいですが。

*2:そう言えば2007年公演ではガブローシュも子役のみのキャスティングで、ソワレにも子役が出演していました。光GENJI通達(通称)が適用されたのでしょうか。