日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『レ・ミゼラブル』観劇感想(2007/7/8マチネ)

ジャン・バルジャン山口祐一郎 ジャベール=阿部裕 エポニーヌ=坂本真綾 ファンテーヌ=今井麻緒子 コゼット=辛島小恵 マリウス=山崎育三郎 テナルディエ=駒田一 テナルディエの妻=森公美子 アンジョルラス=坂元健児 ガブローシュ=原田光

2週連続のレミゼ観劇に行ってきました。今回は私的にレミゼでは初見のキャストが多かったこともあって、結構見どころ満載でした。
阿部ジャベールは6月に観た禅ジャベールとタメを張るかそれ以上に恰幅が良くて、ドスコイ度が高かったです。神に照らして正義と信じてバルジャンを追いかけている筈なのに、心の何パーセントかでは入水するその瞬間まで常に迷っている。どこか揺れ動いていて冷徹になり切れていないジャベールです。
また、これまでレミゼを3回観てそれぞれ違うジャベールを観てきましたが、阿部さんはまだ独自の見せ場、ぶっちゃけてしまえばプリンシパルキャストとしての見せ場を作り切れていないように思いました。綜馬ジャベールには真っ直ぐな冷徹さ、禅ジャベールには暗い情熱、岡ジャベールには完璧な美意識(笑)、とそれぞれ持ち味があるのだけど(あくまで私のイメージ)、その辺は試行錯誤の最中、といった感じでした。

今井ファンテーヌ。演出家ケアード氏の奥様ということで、縁故キャスティング?とあまり良い印象は持っていなかったのですが、実際観てみると地声に近い力強い歌声で台詞も聴き取りやすい、実力派のファンテでした。歌声はパワフルだけど、死ぬ時はちゃんと儚く死にそうに見えるので、先週観た山崎ファンテよりは好みです。
真綾エポも初見。歌も演技も上手いのだけれど、終わってから振り返ると何故かあまり余韻が残っていなかったりします。何故だろう?
また、坂元さんもアンジョルラスとしては初見でした。歌は今期これまでに観たアンジョ3人(あと2人は岸さんと東山くん)の中では一番上手いし、熱血度も高いです。でも、優等生なイメージと身長が災いしているのか、あまりカリスマリーダーっぽく見えないのが残念。とは言え、坂元さん、マリウスの結婚式の給仕役では、テナルディエ夫妻のアドリブを上手く受けて動いていて、流石だと思いました。

そして。何と言ってもこの日一番楽しみにしていた駒田・森コンビのテナルディエ夫妻。特に森さんのマダムは初めてだったこともあり、最初司教様の妹で出てきた時からかなりわくわく。ちょっと本日声の調子が危うかったリトルコゼットのソロの後、♪ここだね!おチビの貴婦人!と登場した時は心の中でキター!と叫んでおりました。
やはり駒田さんと森さんの掛け合いは最強です。バルジャンがコゼットを引き取る駆け引きの場面で、昨年やっていたコゼットの逆さ抱きをやらなくなっていたのであれ?と思いましたが、バルジャンがコゼットに近づこうとしたら二人してパワフルに押し返したり、守銭奴ぶりが他のコンビと比べて体感比で3倍増しになっていたりと楽しませてくれました。
駒田さんのテナルディエを観たのは2度目でしたが、個人的にはテナルディエ役者の中で一番思い入れがあります。先週観た、淡々と悪事を働く徳井テナルディエも良かったけれど、露悪的でいかにも楽しそうに悪事に興じる、多分地獄も恐れていないであろう駒田テナルディエの強かさは魅力的です。

それから山口バルジャンについて。「独白」で一部声が引っかかり気味なところがあったので心配しましたが、今日もまた美声を聴かせてくれました。自分的に、キャストの中で一番一挙一動に注目して観ている人の筈ですし、しっかり感動もしているのだけれど、今回かなり安定しているので突っ込みどころとか書くことが少なくて、この思いを表す筆力が無いのがもどかしいです。
あと、付け足しのようになってしまいますが、山崎マリウス&辛島コゼットのデュエットは良いですね。ああコゼット、本当にパパと2人だけの世界だったんだね、マリウスと出会えて良かったねえ、としみじみ思わせてくれるのです。

某カード会社の貸切公演だったので、カテコの後は山口さんと阿部さんの舞台挨拶がありました。山口さんは、バルジャンは黄色いカードでこんな人生を歩んだけれど皆さんはSカードで幸せに云々、ということをおっしゃって、袖に旗を取りに行ったけれどなかなか旗が届かず。届いた旗は最もふさわしい人に、と言って坂元さんに渡して振らせていました。
ようやく少しだけ個を識別できるようになってきたABCの仲間達のことも語りたいのですが、長くなりすぎたのでまた別途。