日々記 観劇別館

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『レ・ミゼラブル』東日本大震災チャリティーコンサート感想(2011.5.2)

本日、様々な幸運に恵まれて、帝劇で開催されたレミゼのチャリティーコンサートを観に行くことができました。
コンサートは第1部がLes Miserables in Concert、第2部がチャリティイベントという構成でした。
本日は帰宅後程なく半端な時間に寝落ちして、深夜にのそのそと起き出してこれを書いています。取り急ぎ第1部のセットリストです。
ただ、プリュメ街〜共に飲もうの辺りのマリウスやコゼットの組み合わせに全く自信がありません。ご存じの方は補足をお願いいたします。

  • 囚人の歌(アンサンブル)
  • 司教館(林司教)
  • バルジャンの独白(吉原バルジャン)
  • 一日の終わりに(アンサンブル)
  • 夢やぶれて(岩崎、知念、和音ファンテ)
  • フー・アム・アイ(別所バルジャン)
  • 対決(KENTAROジャベール、今井バルジャン)
  • 宿屋の主人の歌(三波テナルディエ、阿知波マダム)
  • ベガー(アンサンブル、ガブローシュ(小宮、鈴木、加藤)、上原アンジョルラス、原田マリウス)
  • スターズ(ジャベール(今、KENTARO))
  • ABCカフェ(阿部アンジョルラス、原田マリウス、アンサンブル)
  • 民衆の歌(阿部アンジョルラス、原田マリウス、アンサンブル)
  • プリュメ街(稲田コゼット、野島マリウス、平田エポニーヌ)
  • 心は愛に溢れて(コゼット(折井、中山)、マリウス(野島、山崎)、エポニーヌ(平田、Jennifer))
  • ワン・デイ・モア(マリウス、コゼット、吉原バルジャン、KENTAROジャベール、三波テナルディエ、阿知波マダム)
  • オン・マイ・オウン(Jenniferエポニーヌ)
  • 共に飲もう(アンサンブル、上原アンジョルラス、原田マリウス)
  • 彼を帰して(山口バルジャン)
  • 下水道(駒田テナルディエ)
  • ジャベールの自殺(石川ジャベール)
  • カフェ・ソング(マリウス(原田、野島、山崎))
  • 結婚式(アンサンブル)
  • エピローグ(バルジャン(別所、今井)、コゼット、マリウス、全員)

※アンコール

  • 彼を帰して(バルジャン(鹿賀、別所、今井、山口))
  • ワン・デイ・モア(野口マリウス、斉藤コゼット、村井ジャベール、2011年SPキャスト、ほか全員)

個人的には、本編で歌ったSPキャストが林司教と岩崎ファンテ(追記:今井バルジャンもそうですね)のみだったことに、「出し惜しみ」感を覚えました。例えばオン・マイ・オウンはジェニエポも嫌いではないんですが、歌穂エポで聴きたかった気がします。
自身が本編で聴く機会がまだない、あるいは日程的に聴く機会のないレギュラーキャストの歌を聴けたのは嬉しかったです。吉原バルジャン、稲田コゼット、野島マリウスが該当します。特に吉原バルジャン。「独白」で溢れる野獣感はただ事ではありません。体力のありそうな、喩えて言うならマチソワを通しで務めてもまだ余力のありそうなバルジャンだと思いました。

山口さんのソロは「彼を帰して」1曲のみでした。これも出し惜しみと言えば出し惜しみなんですが、やっぱりあの短い曲であっという間に世界を作り、しんみりと聴衆を祈りの思いへと引き込む力は凄いです。歌い終えるといつもの膝に手を置く丁寧なお辞儀をして、静かに退場する姿が印象的でした。その直後に地下水道のマンホール(セリ)から勢いよく出現して、からりと力強くソロを歌う駒田テナの勇気にも感服。

そして、カーテンコールにSPキャストが登場するだろうとは思っていましたが、まさか鹿賀さんと山口さんが隣り合って「彼を帰して」を歌う姿が観られるとは。しかも鹿賀さんが山口さんの肩叩いて労っていますし!確か上手側から今井さん、鹿賀さん、山口さん、別所さんの順で並んで歌っていました。吉原さんは?とも思いましたが、そもそもあの短い曲を4人リレーで歌うだけでも無理があると思われるので、今回は仕方なさそうです。

最後の最後に初演のマリウス&コゼット、そして何故か村井ジャベールまで登場したのには驚かされました。ああ、野口マリウス、確かお稽古で「カフェ・ソング」が上手く歌えなくて、ケアードさんに「一度後ろを見て歌ってみろ」と言われて、ABCの仲間達と向き合ってたちまち感情が込み上げて、それで歌を完成させたんだよね、という、どこかで読んだエピソードを思い出したりしていました。
もっとも、後からコンサートの告知ページを見直したらしっかり初演コゼマリの名前が出ていたので、別にサプライズというわけではなかったようですが。
また、言っても詮無いことではありますが、この場に滝田バルジャンがいないのが寂しい私。もちろん滝田さんの時代に実演を観たことはありませんし、ご本人の強い「卒業」の意志故とは思いますが、寂しいことは寂しいです。

第2部のチャリティイベントは、モリクミさん、駒田さん、そして岡さんの司会進行で進められました。
最初はトークショー。まずSPキャスト+初演キャストの野口さん+ジャベール歴の長い村井国夫さんから登場。由貴ちゃんはアンコールのみで退席されたとのことでした。皆様ベテランで様々なメディアでコメントされる機会も多い方なので、結構軽妙なトークを聴かせてくださいました。
印象に残ったのは、鹿賀さんの、
「ジャベールは脆いから好き。バルジャンは強かに生きたけどジャベールは脆くてポキッと折れてしまう。だからジャベールをやる」
という言葉でした。
トークショー後半はレギュラーキャスト登場。SPキャストと組む沙也加ちゃんや、5月初日の玲奈ちゃんもここで登場。
やはり人前で話すのに慣れていないキャストが多かったです。特にエポズ。Jenniferは日本語が上手く話せないので英語でご挨拶します、と言い出し、急遽別所さんが通訳(笑)。ところが「客席の皆様に感謝いたします」等の結構シンプルな台詞だったようで、別所さんに、
「お前それくらい日本語で言えるだろ!……確かに難しい単語もあったけど」
とナイスなツッコミを入れられてました。そして、もう1人のエポ、愛咲ちゃんは本当にいっぱいいっぱい。客席、そして舞台上の熱気に感極まってしまったようで、中山コゼほかにフォローされながらご挨拶を終えていました。
そしてバルジャンズご挨拶。今井バルジャンから
「鹿賀さんが(『彼を帰して』を)歌いましたが、私がSP公演のバルジャンなので忘れないでください」
の一言が。誰が面白いことを言えと(笑)。
そしてトリは山口さん。本日の衣装は、既に公式ブログの記事にも写真が載っていますが「いつものダークスーツ」です。マイクを司会陣に預けたと思ったら、突如応援団モードに突入。笑撃のあまり細かい内容は忘れましたが(山口さんごめんなさい)、客席、被災地、諸々への思いが込められた高らかな雄叫びでした。2階席にいた友人によれば、雄叫びは2階にもしっかり届いていたようです。

続いて、チャリティ・オークション開催。
オークションの品目は、キャストの直筆サイン入りパンフや、別所さんの直筆メッセージ&サイン入り扇子と言ったお約束のものから、書道プロ級の岡さん直筆の「民衆の歌」歌詞を書にしたもの、それからモリクミさん私物(未使用(皮の風合いを出すために寝かせておいた物だそうです))でその場で岡さんが手を通した(笑)バーキン(最低価格100,000円!)等の名実ともにお宝なものまで色々取りそろえられていました。
オークションでは、各品目にかなり剛毅な最高額が付けられていました。いえ、剛毅なと言っても百万円以下、もっと言えば最高でも600,000円以下でしたが……。最初、金額の大きさに、最高額の公表を躊躇う司会者陣(笑)。いや、金額を発表することで観客は納得すると思うんですけど。取りあえず、最初の「全キャストサイン入りパンフ」は150,000円で落とされていたと思います。後は記憶曖昧。一応、自分もネタとして1品入札したんですが、何というか、ン十万円の現金、持ち歩くだけでも怖い身としては、オークションに賭ける気概が違うと感じました。そしてこのオークションの場でしっかり被災地支援に貢献しようという心構えの強さも。
ただ、確か最初、ラストの全員参加オークションを除いては1人1品、と言っていた気がするのですが、結果的に同じ方と思しき人が2品目を落としていたことだけ、ちょっと気になりました。*1
その全員参加オークションにかけられたのは、「舞台上でキャストと一緒に『民衆の歌』を合唱する権利」でした。落札したのは、最初に「全キャストサイン入りパンフ」を落札したのと同じ方(女性)。金額は200,000円。ありがとう、お金のある人!
初演からレミゼを見続けているという落札者の方が、ただ1つ希望されたのは「山口さんの隣で歌うこと」。ご指名を受けた山口さんは他3名のバルジャンも手招きし、その方はバルジャンズに包囲されて歌われていました(笑)。
そして舞台と客席全員で「民衆の歌」を大合唱。社会の迷惑になる歌声の持ち主である自分も、小さい声ながら歌いました。
合唱終了後、落札者の方は山口さんにエスコートされて下手へとはけて行かれました。そして終了のご挨拶の時間が結構長かったんですが、ご挨拶が終わるか終わらないかのぎりぎりに山口さんが下手最端に戻ってらしたので、「あれ?どこ行ってたの?」と思わず隣席の友人に訊いてしまった自分(^_^;)。多分丁寧にご挨拶されていたんだろうな、と想像。
アンサンブルさんを中心にしたキャストの皆様がロビーでの募金立ち合いのために捌けていった後、バルジャンズほか何名かのプリンシパルキャストが、舞台上でお辞儀をされていました。幕が完全に下りても、山口さんの影は明かりが消えるまで頭を上げようとはしませんでした。

終演後のロビーでは、チケットもぎり口から入ってすぐのプログラム売場側と、出入口ドアの横(いつもチラシが置いてある机の辺り)の2箇所にキャストの皆様が募金に立たれていました。最初プログラム売場側の募金の列に並ぼうとしましたが、あまりの人の凄さに断念。結局出入口の所で募金いたしました。
また、記念にチャリティTシャツも入手してまいりました。どこかで実際に着る機会があると良いのですが。クールビズの際にでも活用しようかともくろみ中です。

*1:2011.5.7追記:この辺の成り行き、つまり右のような流れだったのでは?というご指摘をいただきました。 (1)入札にかけられていたサイン入りブルーレイディスク9枚のうち、司会陣が手違いで1枚分の落札者を発表しただけで終わりそうになった。→(2)その後改めて9枚分の落札者を発表し直した時、もう1回同じ品目&落札者名を読み上げた。 ……整理しますと、別に同じ方が2品目落としたわけではなく、単に名前読みが2回あっただけ、ということのようです。大変失礼いたしました。