日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『レ・ミゼラブル』感想(2007/8/25ソワレ)

ジャン・バルジャン山口祐一郎 ジャベール=岡幸二郎 エポニーヌ=知念里奈 ファンティーヌ=今井麻緒子 コゼット=菊地美香 マリウス=山崎育三郎 テナルディエ=徳井優 テナルディエの妻=森公美子 アンジョルラス=原田優一 ガブローシュ=新井海人

しつこい夏風邪の影響でまだ本調子ではなかったのですが、行ってきました、山口さんのレミゼ東京前楽。私に取っては今期のレミゼのラスト観劇となります。
今回真っ先に書いておきたいのは原田くんについてです。原田アンジョルラスはずっと縁が無くて、やっとご本人の東京楽日になって観ることができたのですが、今期二度と彼のアンジョルラスを見られないことが残念でたまりません。澄んでいて張りがあって良く通るテノールと言い、エンジェルっぽい顔立ちと言い、アンジョルラスとして登場した瞬間にキラキラ輝くオーラと言い、「私のアンジョルラス*1がここにいた!」と直感したので。しかも25日のマリウスは歌える山崎くん(ちなみに彼も東京楽でした)ということで、バランス面でも最高だったと思います。
そのマリウスですが、最近2連続で泉見くんが続いていたので、実は山崎くんは久しぶりでした。改めて観るとベテランマリウスに比べて少し演技が浅いかな?と思える所も無いことはありませんでしたが、あの清新で真面目そうな立ち居振る舞いが、このマリウスなら仲間の誰からも愛されていたのだろう、という雰囲気満載でやはり良かったです。耳に柔らかく馴染む、それでいて声量のある歌声も良し。
東京楽と言えば今井ファンティーヌもそうでした。麻緒子さん、これまで「歌は決して下手じゃなくてむしろ上手いんだけど、何でかなあ?」という印象でしたが、25日は良かったです。ラブリィ・レイディの一連のシーンで、必死に虚勢を張って生きようとするけど砕け崩れていく女性の悲劇がしっかり手応えを持って伝わってきていました。後でネットで拾った情報によると当日はご家族が客席にいらしたそうで(演出家ケアードさんだけでなくもしかしてお子さんも?)、東京楽であることの他にそんな事情もプラスに作用したのではないかと想像しています。

山口バルジャンは相変わらず神々しかったです。あまり毎回こればかり書くのはいい加減しつこいと自分でも思うのですが、それしか書きようがありません。今回、臨終の場面でコゼットとマリウスに向き合う雰囲気が殊の外慈父らしかったのは気のせいでしょうか?
岡ジャベールについて、自殺の場面でたやすく橋の欄干を乗り越えるのを眺めながら「やはり足が長いっていいなあ」とバカなことを考えてしまいました(^_^;)。岡ジャベールの水没の仕方、7月に観た時には中腰のままスモークに消えていくように見えていましたが、前回と今回よく観察していたところ、何度かもがいてからうずくまって徐々にスモークに隠れつつ、高速回転で奥に捌けていました。7月のあの消え方は目の錯覚だったのでしょうか。
自殺の場面に関して、前回から2連続で2階席から観劇していてようやく気づいたのですが、序盤の「バルジャンの独白」でバルジャンが闇から這い出すことを決意する時の照明と、自殺の場面でジャベールがセーヌの流れに呑まれていく時の照明って全く同じなのですね。バルジャンが脱出した闇とジャベールが呑み込まれる闇って同じ物ということなのかな、と思いました。私的にジャベールに対しては、元々闇の中に生まれて、法の権威への絶大な信頼と信仰を武器に必死になって闇から這い出そうと努力していた人間というイメージを抱いているので、とうとう光を得られずまた闇に戻されちゃうなんて、そりゃないよ神様!と、ジャベールが濁流に呑み込まれる度に悲しくなってしまうのです。
テナルディエ。先週は駒田さんで観ましたが、宿屋の歌では今日の徳井さんの方が客席が盛り上がっていたように思います。歌のノリは駒田テナの方が良かったと思うのですが何故?
もう1点、今回になってやっと気づいたこと。テナルディエが地下水路にクールフェラックの遺体を運んでくる場面で、駒田テナはバルジャン同様肩に担いでましたが、徳井テナはずるずる引きずってました。あの場面はバルジャンと見間違わせるという視覚的効果があるので、遺体は担ぐなり抱きかかえるなりするのが本筋、という意見もどこかで読みましたが、ちっちゃい徳井さんが担いだら却っていつ落とすかと心配になるので(笑)、無理をしないのが正解だと思います。
あと、結婚式の場面でモリクミさんのスカートの中に隠れるのってもしかして徳井テナだけでしょうか(^_^;)?こずるい徳井テナがあの場面だけ妙に可愛く見えます。
モリクミさんはコゼット取引の場面で普段「ファンティーヌ死んじゃったぁ〜」と嘘泣きするところ、今回は「コゼットの母ちゃん死んじゃったぁ〜」と叫んでました。結構色々変えてるのですね。1点「ん?」と思ったのは、結婚式で食器をくすねようとしたのを給仕に見とがめられて、ソプラノで歌ってごまかす場面。途中で笑いが出てしまったのか、♪Ti-li-li-ti-ti-ti…と歌いかけて止めてしまっていました。
モリクミさんのマダム以外の出演場面について、司教の妹で出てくるのは知っていましたが、本日になりバルジャンの工場でも働いていたのをようやく発見しました。マダムテナ、以前の香盤表と同じであればバルジャンが「汗水たらしてこれかー!」とぶち切れる農場労働の場面にもいる筈なのですが、あんなに大きいのに(失礼)発見出来たことがありません。見事に群衆に溶け込んでるんですね。

残りのキャストについても簡単に。
菊地コゼットは以前観た時より、歌も演技もかなり成長していました。再演でもまた続投して欲しいキャストです。
知念エポニーヌの歌は、良いと思える部分と、聴きながら膝の上でゲンコを握りしめてしまう程崩れる部分との落差が激しすぎて、もっと頑張れー、とそればかり考えてしまいます。取りあえず「叫ぶように絶唱する」場面できゃんきゃんがなるのは無しにして欲しいです。
ガブローシュの鞄は今回もまた届きませんでした。何だかこの数ヶ月間の自分のプライベートでのアンラッキーを象徴しているかのようです。
アンサンブルについて。今回の男性アンサンブルは良かったと思います。女性は微妙でしたが。やっぱりローテーションによって当たり外れがあるようです。

カーテンコールでは、岡さんの司会で東京楽を迎える3名(山崎(育)・原田・今井(麻))からご挨拶がありました。山崎くんのご挨拶はこの2ヶ月半きちんと舞台を勤め上げられたことに関する共演者・スタッフ・客席への感謝の念。1994年にガブローシュを務めて以来のレミゼ登板だった*2原田くんは初日を迎えた際緊張のあまり「穴という穴が開いて」大変だった、と発言してモリクミさん他キャストの爆笑を買ってましたが、あれはもしかしてシモ話だったんでしょうか(^_^;)*3。岡さんに「はい、穴が開いた原田優一でしたー」と締めくくられていました。今井さんは1994年、1997年とアンサンブルを務めて、9年ぶりにレミゼに戻ってきたけど、この9年は決して無駄では無かった、というようなことをお話しされていました。
ちゃんと回数は数えてませんがカテコは5、6回以上はあった筈です。最後に山崎くんと原田くんが並んで出てきてお辞儀をして、それでようやく終演となりました。
これで私の今期のレミゼも終わりです。寂しいけれど、またキャストの皆さんは博多で2ヶ月弱頑張るわけですし、それに27日の千穐楽レポートをネットで誰かが書いてくれるのを読む楽しみも残っているので、まだまだ気を抜くわけにはいかないところです。来月は井上ひさし御大脚本の『ロマンス』と四季の『ウェストサイド物語』と『ウィキッド』観劇が待っています。せいぜい体調管理に励むことにします。

*1:いえ、別に君のじゃないんだけど……。

*2:このことで「(子供だったのに)大きくなって……」と更に大きい岡さんにいじられてました。

*3:普通は「毛穴が開いて」冷や汗が滝になる程度だと思います。