日々記 観劇別館

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『レ・ミゼラブル』金沢公演感想(2009.4.12マチネ)(他キャスト編)

金沢より帰宅してからこちら、結構ばたばたしていてレポを書くのがすっかり遅くなりましたが、以下、バルジャン以外のキャストの感想を中心に綴りたいと思います。

今回、2007年の帝劇公演以来1年9ヶ月ぶりぐらいにレミゼのあのバリケードを観たわけですが、エポニーヌの死の場面(恵みの雨)から、ガブローシュのカバンが届かず学生達が斃れ、逆さ吊りアンジョルラスに白いスポットが当たるまでの間ずっと、涙が出放しになって自分でも驚きました。
バリケードのクライマックスの、マリウス、アンジョルラス、グランテールと次々撃たれていく一連の流れはすっかり頭にインプットされているというのに、同じ場面で同じように打ちのめされてしまうのが不思議です。
ちなみに2007年に帝劇で観た際は、何故かグランテール=松村曜生さん、コンブフェール=菊池まさはるさんという組み合わせが多かったのですが、今回はグランテール=伊藤俊彦さん、コンブフェール=近藤大介さんでした。グランテールは歌唱力で伊藤さんに軍配。近藤さんは工場長を演じる場面で、いかにも好色そうな雰囲気を全身に漂わせていて楽しかったです。

金沢のバリケードは帝劇で観た時と比べて、そう大きさが変わりなかったので安心しました。ほんのちょっと人口密度が高い=表面積が狭いようにも見えましたが、キャストの動きに全く不自然な所もなかったので、気づいたら全く気にならなくなっていました。

今回観たキャストの中で良いと思ったのは岡ジャベール。歌は良いけど佇まいが妙に綺麗すぎるのと、1幕の対決シーンで初めからバルジャンに負けるのが丸わかりなのとで、ジャベールキャストの中で決して自分的に第1位の存在ではないのですが、今回、歌の迫力に圧倒されてしまいました。やっぱりジャベールとしては綺麗すぎるのだけど、自分の美学をしっかり持っていてストイックなのが岡ジャベールの良さだと思います。
それから、2007年は観る機会がなく3年ぶりに再会したシルビアファンテ。この方は見た目が結構頑丈そうで簡単に死にそうに見えないのがやや難ではありますが、流石に安定感があって上手いです。見た目の骨太感を演技力や表現力、発声のコントロールで上手くカバーして、しっかり儚いファンテーヌになっていたのは見事でした。
マダム・テナルディエのモリクミさんも安定感抜群でした。宿屋のバルジャンとの取引の場面でお国言葉で「ほんとやしー!」と叫んだりしていて、あの笑いを取る姿勢には賛否両論ありそうですが、私は好きです。
それにしても、あの巨体に足で押さえ込まれ締め上げられる山口バルジャンにはかなり体力が要りそうです。

初見だったのは安崎さんのテナルディエと、沙也加ちゃんのコゼット。
テナルディエについて、個人的には軽い色気と洒脱さを持っている方が好みなのですが(故に駒田さんがマイベスト)、安崎さんはその両方を持ち合わせているので、かなりツボにはまってくれました。沙也加ちゃんは時々声が通りづらいように聞こえましたが、コゼットの「実はとても芯が強い」感じが良く出ていたと思います。
藤岡マリウスは初見じゃないけど、2006年に観て以来他の作品で出会う機会がなかったので新鮮でした。熱血漢であまりお坊ちゃまなイメージはないマリウス。「カフェ・ソング」では仲間を失った哀しみよりも、1人生き残ってしまったことへの悔しさの方が強くにじみ出ているように見えました。
同じく真綾エポも確か2回目。乗りの良い時の山口さんのような無軌道ぶりは全くない代わり、空回りすることもない*1、バランスの取れたエポニーヌでした。

今回のレミゼ、遠征した甲斐があり、久々に観たからというのも大きいかも知れませんが、大いに感動できたと思います。10月に観られるか分かりませんが、その時こんなに感動できるかな?とふと考えてみたり。まあ、きっと感動するのでしょうけれど。

*1:山口さんが空回りするわけではありませんので、念のため。