日々記 観劇別館

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『レ・ミゼラブル』金沢公演感想(2009.4.12マチネ)(バルジャン編)

ジャン・バルジャン山口祐一郎 ジャベール=岡幸二郎 エポニーヌ=坂本真綾 ファンテーヌ=シルビア・グラブ コゼット=神田沙也加 マリウス=藤岡正明 テナルディエ=安崎求 テナルディエの妻=森公美子 アンジョルラス=原田優一 リトル・コゼット=古口貴子 リトル・エポニーヌ=田中愛生 ガブローシュ=吉井一肇

というわけで、無事レミゼ金沢公演を観て帰宅いたしました。
本日の金沢は大変暖かな気候。そして桜満開の兼六園は無料開放最終日。と言うわけで観劇前に、観劇メンバー(ホテルで眠っていて参加しなかった夫を除く)で兼六園の桜の下を歩き、笹寿司などをいただきました。
会場の石川厚生年金会館は、兼六園から歩いて5分ほどの位置。夫も合流して会場入りし、席に着いた瞬間「あ、ホテルに預けた旅行鞄の中にオペラグラス忘れた!」。傾斜があり見やすい客席だったので、多少遠くても救われましたが、そんなわけでレミゼのかなり暗い照明効果もあって、舞台での役者さんの細かい表情はほとんど鑑賞できておりませんのでご了承ください。

そして開演。1年8ヶ月ぶりに観た山口バルジャンは……3月に中日劇場で声が聞こえないだの、調子が悪いんじゃないかだのと言われていたのはどこの誰?と言いたいほどに絶好調ノリノリでパワー全開でした。そして若干無軌道走行の傾向も(笑)。
「バルジャンの独白」では全然オケに合わせず、タメを作りまくり。そして、♪またあの地獄へ―― と♪――くれたのだ! の2箇所にて、劇場中に響き渡る声で絶叫。確か2007年の時は後者でしか叫んでなかった気がするのですが。
今回、会場自体の音響も影響しているのかも知れませんが、山口さんだけでなくキャスト全員の声がクリアに聞こえてきて嬉しかったです。

中日での山口バルジャンについては、慈父のようなバルジャンという評判を多く観た気がしますが、金沢の場合はそれは2幕での印象であり、1幕では凛として強いバルジャン、という印象を強く覚えました。テナルディエの宿屋の取引の場面でも、お笑いの手綱はモリクミさんに任せて、自分からは暴走していない感じ。その代わり、モリクミさんには全身で椅子に押さえ込まれて足で強烈な絞め技を喰らっていましたが。
コゼット回しでは確か11回転ぐらいしていたかと思います。その前のコゼットに旅支度させる場面で、コゼットの帽子のリボンを結ぶのがぎりぎりまでかかり、ちゃんとコゼットの台詞に間に合うのか?とはらはらして見守ってしまいましたが、無事に間に合って心からほっといたしました。
後半の老いたバルジャンの佇まいが妙に自然で、根っこに「これだけは譲れない」強さを秘めた慈父そのものでしたが、あれは決して年齢を重ねられたことだけが影響しているわけではないと思います。
そして、「彼を帰して」の何か降臨してきているような姿もさることながら、バリケードで捕まったジャベールを救う際の静かに強い表情、重傷のマリウスを連れて最後にジャベールに♪死にかけてる!―― と懸命に訴える強靱さ、熱血な藤岡マリウスに自分の過去を語り聞かせる際の優しさ……。どの表情を取っても、実に素敵な山口バルジャンでした。

まだまだ語り足りないんですが、もう夜も遅いので、その他のキャストの方の感想など、続きはまた次回書かせていただきます。