日々記 観劇別館

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『レ・ミゼラブル』観劇感想(2007/7/1マチネ)(7/3追記)

ジャン・バルジャン山口祐一郎 ジャベール=岡幸二郎 エポニーヌ=笹本玲奈 ファンテーヌ=山崎直子 コゼット=辛島小恵 マリウス=藤岡正明 テナルディエ=徳井優 テナルディエの妻=瀬戸内美八 アンジョルラス=東山義久 ガブローシュ=新井海人

本日2回目の2007レミゼ観劇でした。
楽しみにしていたのは初見の岡ジャベール。開幕の出獄の場面でジャベールとバルジャンが並んで立つとバルジャンがえらく小さく見えたのは衝撃でした。本来山口・岡コンビの身長には差がないので、ジャベールは山高帽をかぶっている上、恐らくヒールの高い靴を履いているせいだとは思うのですが。
個人的に、岡ジャベールにはあまり牢獄で生まれたニオイを感じ取れません。それでも、神の御心により作り出されたこの世界を守る為、外見も含めて非常な努力を重ねたストイックで強固な意志の持ち主であるということだけは理解できます。
自分が正義と信じたものを貫くためにバルジャンを運命の狩りの相手として選んでしまったことは、結末だけ見れば悲劇なのだけど、少なくとも彼自身、そうした人生を選んだことに一片の後悔もしていないんだろうと思います。特に岡ジャベール、砦で拘束されて、ナイフを手にしたバルジャンと対峙した時に、ここで殺されてもそれが本望、って感じでどこか嬉しそうにさえ見えるので、益々そのように感じられるのです。

岡ジャベールは細かい動きまで「観られること」を意識しているのが良く見て取れたので、入水場面をどう見せてくれるのかと注目。結論。今まで観た2人のジャベール(綜馬さんと禅さん)のいずれも確か、濁流に呑み込まれる時転がったり、転がるように流されていたのですが、岡さんは転がらず、水に足から飛び込んだ空気椅子スタイルのままで白い濁流の中に徐々に呑まれて消えていきました。流される時の緊迫感は薄い気がしたけれど、舞台からの捌け方としては最も美しいと思います。

他に良かったのは辛島コゼット。声楽を学んだ人の正統派ソプラノを聴かせてくれました。ちゃんと身を入れてコゼットの歌を聴いたのは初めてです。ただ全体の雰囲気は……割と地味でよく劇団四季に居そうなタイプかな?
藤岡マリウスはエポニーヌに割と冷たい演技をすることもあり、昨年聴いた時はそんなに好印象を持たなかったのですが、今回聴いて、ああ、歌上手かったんだ、と思いました。エポに冷たいというか鈍感なのは、革命の理想とコゼットしか見えなくて、他のことが全部障害物になってしまっているだけなのね、というのがよく分かりました。個人的には、先日聴いた山崎マリウスの、心優しいけど坊や過ぎて周囲に気持ちが回らない方の性格の割合が強い人物像の方が好みですけれど。

徳井テナルディエも初見でしたが、呼吸するのと同じような感覚で悪党やってる雰囲気がありました。悪事を働くことに喜びも嫌悪も無くて、ただそうして生きることが最も自然だからやってるだけ、のようなキャラクター。ある意味最も怖いテナルディエかも知れません。
東山アンジョルラスは去年も観ていますが、歌が格段に上手くなっていました。で、結婚式の給仕は東山くんなら動きの切れが良いから目立つかな?と思っていたのだけど、ヅラつけてるためか、やはり目立たず。
今年初役の山崎ファンテ。歌はそこそこ上手いんですが、先日観た岩崎ファンテと比べるとあまり儚さのない、強さを前面に出したファンテでした。ファンテってもちろん母の強さも必要な役ではあるのだけれど、山崎さん、ちっとも死にそうに見えないのは何とかした方が良いと思います。
ガブローシュ、今回も海人くんでした。ちっちゃいのにやっぱり演技が上手い!死に際に投げたカバン、届きませんでした……。あのカバンは演出上届いても届かなくてもどっちでもOK、と聞いてはいますが、届かないと切なさ倍増な気持ちになります。

レミゼで楽しいのはプリンシパルがアンサンブルで出ていたり、また、アンサンブルにも細かい演技が求められていることだと良く聞きます。しかし私にはまだアンサンブルの区別がついていないため、その辺を今ひとつ身を入れて楽しめない状態です。視力が悪くて、後方席からだとメガネとオペラグラスを使ってもやっと表情がおぼろげに分かる程度というのも影響していると思われますが、白状するとカフェの仲間たちのうち、どれがグランテールでどれがコンブフェールだか未だに分かっておりません(笑)。割とアンジョの近くに位置していて、アンジョが撃たれた直後に殺されちゃうのが多分グランテールなんだろうな、とか勝手に解釈しています。
あと、砦の最終決戦の直前に女子供を帰した時に、ガブローシュにお前も帰れ、って言って、一旦帰した筈なのにガブローシュが戻って来ちゃったのを見つけてバカヤロー!と口パクで叫んでいて、ガブローシュが弾を盗りに行くその瞬間まで気にかけていた彼は一体誰なんでしょう?そんなに知りたければ原作読め、って言われそうですけれど。

(2007/7/3追記)
レミゼのブログを見て初めて気づいたんですが、東山アンジョルラス、7/1が初日だったんですね。気づきませんでした。だったらもっと身を入れて東山くんを見てあげるんだった。私のバカバカ。