日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

ルカス・ペルマン×中川晃教コンサート 〜美しい男には毒がある〜(2007/6/8)

第1部出演:ルカス・ペルマン マジャーン・シャキ
第2部出演:ルカス・ペルマン 中川晃教

当日セットリスト(第1部のみ)
6月8日夜の渋谷C.C.Lemonホールの客層はやはり女性客が多かったです。私は18:45頃会場入りしたのですが、女子トイレは長蛇の列、ロビーに人があふれまくりということで、どうもその直後に一時入場制限が行われた模様。そんな事情もあってか、予定時刻の19:00を20分近く過ぎてようやくコンサート開演となりました。
当日のお席は2F席上手ブロック。昔々のTV歌番組『ザ・トップテン』で観覧の修学旅行生が手を振っていたのはこの辺かしら?と懐かしく思ったことは置いといて。座席配置に絶望的欠陥のある帝劇と違って前方に障害物が少なく見やすい席でしたが、近眼の自分には出演者の顔はやや見づらい席。……なのに、なのに、家にオペラグラスを置いてきてしまいました。出がけに地元がいつ雨が降ってもおかしくない蒸し暑さだったものだから、小さいカバンに折り畳み傘を詰め込んで入ったー!と安心して他の持ち物を入れるのをすっかり失念。ついでに友人に手渡すつもりだった物も全部お忘れ。そして予想どおり出演者の顔は2Fからは米粒でした。

第1部は、フレンチミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の主演コンビというルカスくんとマジャーンちゃんが出演、ということで、ミュージカルナンバー中心の構成でした。マジャーンちゃんは大阪公演は病気(麻疹)で休演しており、内心東京も無理かも?と思っていたので登板は嬉しかったです。
1曲目の『闇が広がる』はトートのパートをマジャーンちゃんが担当したのですが、きちんとウィーン版トート風の純白のパンツスーツを身につけて力強い歌声を聴かせてくれました。トートのナンバーって元々女性が歌っても何の違和感もありませんけれど、女性トートと男性ルドルフの組み合わせというのもなかなか絵になるものだと知りました。
印象に残ったのは『ダンスはやめられない』。今まで単に「純粋だけど甘ったれバカ娘の悲鳴」としか思っていなかったのだけど、マジャーンちゃんの歌、もっと何と申しますか、人間のどうしようもない業の深さみたいなのを感じさせてくれました。あんなにも感動的なナンバーだったなんて。今まで自分が聴いたことのある唯一の『ダンスは――』の生歌ってK村コンスタンツェなのですが、何故かあれを聴いた時の呆然とした気持ちが感動の裏側にフラッシュバックしてきて無性に腹が立ったりしておりました。
ロミ&ジュリの歌もルカス&マジャーンのデュエットで2曲ほど歌ってくれました。とても素敵な歌だったのだけど、舞台を未見なので具体的場面をイメージできなかったのが残念。大阪公演でこれを聴くことの出来なかったロミ&ジュリ好きの友人に実況中継してあげたかったです。
あと、ルカスくんが『サラ』の1曲前に歌っていたナンバーがとても良い曲なのにタイトルが分からずに歯がみしていたのですが、これは後から『RENT』の劇中歌であったことが判明。これまで来日公演とか東宝版が来年11月上演、とか聞いてもテーマ的に食指が動かなかったのに、こんな良い曲があるなら(ルカスくんの歌には負けるかも知れないけど)ぜひ東宝版を観に行きたい、と思わせてくれました。

20分の休憩後始まった第2部はうってかわってミュージカルナンバーは皆無、英米ポップス中心の構成でした。今回のコンサートの演出コンセプトが1部と2部で違うルカスくんの魅力を見せることだとすると、第1部は完璧な王子様ルカス、第2部はジョークや嫌味も言ったりする普通のお兄ちゃんルカス、と言ったところでしょうか。どちらの彼も大層素敵でしたので、そう言った意味では今回の演出は成功だったと思います。
第2部、全体的には、出身は異なるけれどいずれも音楽を愛する男の子達が一所懸命工夫を凝らした音楽ショー、といった風情でした。ただ、「一所懸命」がちらりと透けて見えちゃってるところで、リードを取っていた中川くん、もう少しガンバレな感もあったのは否めません。
で、こちとら英米のポップスジャンルにはからきし弱いので、セットリストは作れず。曲名が分かったのは『アメリカン・パイ』『明日に架ける橋』『サティスファクション』位です。もっとも中川くんのピアノソロで聴かせてくれた『明日に――』はかなりjazzyなアレンジが施されており、原曲を特定するのに苦労しましたが*1(^_^;)。
また、『アメリカン――』他2、3曲、ルカス&中川のデュエットがありましたが、この二人の声質が実に絶妙にマッチしていてハーモニーが心地よかったです。

第2部の締めはミュージカルショーと称した、ルカスくん演じる昔の栄華今何処の老ダンサーと、恐らくは若き日の彼の分身であり、死を目前に控えた彼を迎えに来た天使でもある中川くんというシチュエーションによる歌と踊りの寸劇でした。中川くんのソロダンスシーンがあったのですが、動きの切れの良さとしなやかなバネのある動きにびっくり。勝手に「歌の人」だと思い込んでいたので意外でした。ルカスくんもダンスは出来るのだけど、老人役で抑えた動きをしていたので中川くんの動きの良さが余計に際だった感があります。
ショー終了後のラストの曲はまた『アメリカン・パイ』でした。今度は途中からマジャーンちゃんが登場して三重唱になる場面もあって盛り上がりまくりでした。カテコは何度かあって、2F席では立っている人は少なかったのだけど、最後の最後にスタンディングして手を振ってしまいました。

開演が遅れたためもあるとは言え、終演は22:00と時間もたっぷり、お腹いっぱい大満足のコンサートでした。思い切り願望を言ってしまうと、1曲ぐらいルカス&中川でミュージカルナンバーを歌って欲しかったように思います。『対決』(レミゼ)とか、『闇が広がる』とか『僕はウィーンに残る』(モーツァルト!)とか。でも、大阪では実現しなかったルカス&マジャーンの『闇が――』が聴けたのだから、これ以上贅沢を言ってはいけないのかも知れません。

*1:ちゃんと“Bridge Over Troubled Water!”ってルカスくんが紹介してはいましたが、最初同名異曲かと思った位にアレンジが大胆でした。