日々記 観劇別館

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『マリー・アントワネット』観劇感想(2007/5/27ソワレ)

キャスト:マリー・アントワネット涼風真世 マルグリット・アルノー新妻聖子 アニエスデュシャン土居裕子 アクセル・フェルセン=今拓哉 ルイ16世石川禅 ボーマルシェ山路和弘 オルレアン公=鈴木綜馬 カリオストロ山口祐一郎 ルイ・ジョゼフ=川綱治加来 ルイ・シャルル=大久保祥太郎 マリー・テレーズ=黒沢ともよ

ということで、ついにマイ・ラスト・MA観劇と相成りました。
本日のお席はC列センターブロック上手通路寄り。こんな席が当たるのはこの演目だからこそだろうと思いつつ、最後までオペラグラスを使ったのは「心の声」で熱唱する聖子ちゃんを覗いた1回だけという贅沢をしっかり堪能しました。
そしてこの席というのは、1幕のクライマックスの謁見の場で舞台上手の階段に座り込むカリオストロがかなりよく見える席でもあります。赤い布をマリーに投げつけるマルグリットをすっかりスルーして、時々姿勢を変えながら階段にスタンバイしているカリオストロばかりを観察してしまいました。
この日のカリオストロはマルグリット指さしがあまりしつこくありませんでした。A列サブセン通路側のお客二人ほどがカリオストロに握手してもらっていたのが羨ましかったです。客席に手を振ってくれてて、もちろんこっちなんて見えているわけはないのですが、当然ニッコリと手を振り返させていただきました。

同じ謁見の場で今回もう一つの観察ポイントだったのはオルレアン公。5月12日に見た時オルレアン公がバラの花の首から上だけ手にしてうろちょろしていたのが気になって、またやってくれないかと期待していましたが、今回はやっていませんでした。その代わり、貴族の女性の顎をちょいと撫で上げるなどしてちょっかい出してましたけれど。
オルレアン公関連でラスト観劇にして初めて気になったのは1幕の「もしも」でマルグリットと出会う瞬間です。あれって実際どういうシチュエーションだったんでしょう?もしかしたら時に貴族も訪れるというマダム・ラパンの館の扉をお客としてくぐったのではないかという疑いを、凱旋観劇4度目にして初めて抱きました。そう言えばオルレアン公って、あの不気味だけど人を惹きつける魅力が原作MAで館の客となるサド公爵に似ていないこともありません。だとしたら、自分の行いは棚に上げてマリーのことを「あんな売女は追放」とか言っていて片腹痛いぞって思ったのですが、それは考えすぎでしょうか。

前回は今さんの喉の調子がいまいちで心配していましたが、今回は全くそのようなこともなく、更に熱い熱いフェルセンでした。オルレアン公も心なしかテンションが高く、2幕の♪所詮はアバズレで軽くM字開脚(古くはコマネチポーズとも言う)されてました。カリオストロも前回より“ILLUSION”の迫力が増していたように思います。山口さんの特徴であるリズムを取る両手の運動も何時になく元気でした。通常はステッキを持たされているから手の振りは目立たない筈なんですけどね。

今回、改めて絵的に綺麗だと思ったのは、2幕でカリオストロが「一瞬だー!」と叫んだ直後の洗濯女の場面。背後でカリオストロが白い光を浴びて佇んでおり、手前には川面にずらりと並ぶ女達。そして向かい合うマルグリットとオルレアン公。この構図ってこんなに美しかったかな?ってしげしげと眺めてしまいました。この後すぐ金の亡者達の醜い争いになるので、尚更そう感じたのかも知れません。
後、自分でも意外だったのは気づいたらボーマルシェの表情を追っていることが多かったこと。ああいう一見軽妙で金にせこいけれど頭が切れて深慮遠謀、でも最後舵が取れなくなって愕然とするおじ様というのは、実は観ていてかなり面白いのでした。ちなみに今回のボーマルシェが赤装束のローアン大司教を呼んでいた名は「妖怪ほおずき親父」。なんて適切なんでしょう(^_^;)。

いつもの虚しいラストシーンが終わり、多分カテコは合わせて4〜5回あったかと思います。これも12日に凱旋版では初見の聖子ちゃんを見ていて気づいたのですが、彼女、1回目と2回目のカテコでは決して笑おうとしません。彼女が笑顔になるのは、オーヴァーチュアの音楽が終わって3回目のカテコで登場する時からです。このカテコでいつもマルグリット役はマリー役の涼風さんと抱き合うので、何となく、彼女的には1〜2回目のカテコまではまだマルグリットで居ようとしているのではないかと思いました。Wキャストの玲奈ちゃんがどうしていたかの記憶が無いのが残念。

いずれにせよ、これで、博多にも梅田にも行っていないものの、半年に渡ったMA観劇は終了です。27日から数えて残り3日でやっと山口さんがカリオストロの長マントから解放されるんだなあ、と思うとほっとしたような気持ちです。でも休む間もなく17日後にはバルジャンとして舞台に立たれることを考えると、元気で、どうかお元気で、と願わずには居られません。