日々記 観劇別館

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『マリー・アントワネット』観劇感想(2007/4/14マチネ)

キャスト:マリー・アントワネット涼風真世 マルグリット・アルノー笹本玲奈 アニエスデュシャン土居裕子 アクセル・フェルセン=今拓哉 ルイ16世石川禅 ボーマルシェ山路和弘 オルレアン公=鈴木綜馬 カリオストロ山口祐一郎 ルイ・ジョゼフ=桝井賢斗 ルイ・シャルル=大久保祥太郎 マリー・テレーズ=黒沢ともよ

約4ヶ月ぶりに帝劇に戻ってきたMA。ようやく観に行くことができました。
大阪、福岡公演の間に少しずつ分かりづらかったり違和感があったりした台詞や演出を変えたという話は聞いていましたが、実際細かい部分がかなり変更になっていました。
例えばラスト近くの裁判でのマリーの態度。息子の性的虐待という事実無根の容疑に対し、前はただ泣き崩れるだけだったのが、終始毅然と振る舞うように変更されていました。あのシーンではマルグリットがきっぱり容疑に否を唱えているので、それとの対比という意味では別にマリーが弱々しくても良いのかも知れないけれど、演出の変更によりむかつきポイントが減少したのは間違いありません。

もっと微細なところではギヨタン博士との場面での国王の台詞が以前は
「私は鍛冶屋になりたかったなあ〜(上げ調子)」
だったように思いますが、今回は
「私は鍛冶屋になりたかった……(ため息)」
という風に変わっていました。

しかし細かい演出を変えても大筋のストーリー展開は変わらないし、また殺風景な舞台装置も変更無しなので、観劇後に疲労感を覚えるのは昨年と同じです。そこでMAについてはもっぱら役者さん中心に楽しむことに決めました。

と言うわけで個々の役者さんの感想です。

玲奈ちゃんは昨年観た時はやや一本調子?という印象でしたが、今回相当役作りを変えてきていたようで、年代ごとのマルグリットの変化がだいぶ分かりやすくなっていました。

綜馬オルレアンはは虫類のイメージ。歌は期待通り美声で力強くメロディアスに聴かせてくれました。ソロナンバー「私こそがふさわしい」の間ずっと三白眼で怖かったです。高嶋オルレアンより狂気はやや抑え気味で、冷徹な策士の印象の方を強く感じました。でも初登場の舞踏会シーンのメイクは高嶋さん以上に化け物度が高かったように思います。

今フェルセン、「美丈夫」の呼び名が相応しい貴公子でした。井上フェルセンはあまりに貴すぎ、かつ若さ故に純粋過ぎる若いツバメというキャラクターでしたが、今フェルセンは酸いも甘いもかみ分けていながらあえて純愛に殉じようとする大人の男というキャラクターに変更されています。マルグリットとの手紙の取り合いに負けた時の嗚咽シーンも、単にグギャガアァと地面に伏して呻くのではなく、一瞬呻いて拳を地面に叩き付けようとして寸止めする、というように、情感を込めた演出になっていました。結果、劇場のメイン客層である大人の女性の萌えポイントが増大したのではないかと思います(^_^)。

最後にカリオストロの新曲「ILLUSION −或いは希望−」について。かなり難しい曲で、もしカラオケデータに入っていても絶対歌えないだろうと思われます。入らないだろうけど。
歌詞を見る限り彼は決して全能ではなく、神を客観視するフレーズがあるので少なくとも神さまではなさそうです。どうやら公式ブログによるとやっぱり魔術師らしいけれど、自分の作った世界の暴走を止められずにあーあ、人間ってしようがない、って嘆いていて、責任取りなさいよアンタ、と思いました。