出演者:
一路真輝、今井清隆、大塚千弘、昆夏美、斉藤由貴、瀬奈じゅん、高橋由美子、村井國夫、石井一彰、宇野まり絵、辛島小恵、杉山有大、田中利花、戸井勝海、遠野あすか、春風ひとみ、RiRiKA、第7回東宝シンデレラ、東宝ジュニア
東宝芸能の事務所設立50周年記念コンサート。
「大塚千弘ちゃんが歌う!斉藤由貴ちゃんが歌う!これは行かない手はないだろう!」
ということで、2日間全3回開催されたうちの千穐楽公演を聴きに行ってまいりました。
以下、セットリストと、ところどころ感想です。
ACT 1
- 「またShowが始まる」『キス・ミー,ケイト』より(全員)
- 「So in love」『キス・ミー,ケイト』より(一路真輝、今井清隆)
- 「Take me to heaven」『シスター・アクト』より(瀬奈じゅん)
- 「世界が終わる夜のように」『ミス・サイゴン』より(昆夏美、石井一彰)
- 「アデレードの嘆き」『ガイズ&ドールズ』より(高橋由美子)
- 「踊り明かそう」『マイ・フェア・レディ』より(遠野あすか、宇野まり絵、RiRiKA)
- 「ブロードウェイの子守唄」『42ndストリート』より(春風ひとみ、辛島小恵、宇野まり絵、RiRiKA、戸井勝海、石井一彰、杉山有大)
- 「Hello,young lovers」『王様と私』より(一路真輝)
- 「I Do! I Do!/My Cup Runneth Over」『I Do! I Do!』 より(村井國夫、春風ひとみ)
この辺りまでは何となく、ウォーミングアップという印象を受けました。
ただ、その印象は、私が未見のミュージカルが大半だったからかも知れません。
良かったのは昆さんと一彰くんのデュエット。
『ミス・サイゴン』、作品としては嫌い、というか展開が辛すぎるので、2008年に1回観てそれきりなのですが、楽曲は本当に素晴らしいと思います。
3年ぶりの今井バルジャン!過去に私が観た日本のバルジャンは4人ぐらいしかいないのですが、この方が最も「あったかく包み込むパパ」のイメージが強いです*1。
久々に今井さんのふんわりと優しい高音を聴くことができました。ただ、曲のテンポがちょっと早かったように聞こえました。そしてオケの音も少々強かったような。個人的に「彼を帰して」はもう少しオケの音を抑えめで、バルジャンの言葉をじっくり堪能したい曲なので少し残念。
実は、一路さんの歌い方(声ではなく)が好きかと問われると、少々答えに詰まってしまいます。しかし、舞台の上で歌う一路さんの圧倒的な存在感はただ事ではない、と今回改めて感じました。そして男役ナンバーを披露する時の匂い立つような色気も。
瀬奈さんの歌声は、声質が聴きやすくて割と好きです。「私だけに」、高音が綺麗に出ていましたが、本番より音を下げていたかどうかは分かりません(多分下げていないと思われ)。
舞台では山口祐一郎さん演じる新聞記者のジョーが歌う男歌でしたが、今回、この歌の作詞者でもある由貴ちゃんが歌った「虹」は、歌詞を女性側(王女側)に置き換えた女歌でした。
由貴ちゃんは歌い上げるような歌唱ではなく、「ずっとそばにいたかった」という別れの悲しみの中、声を絞り出して思いを切なく語るように歌っていました。
聞き慣れた山口さんの『虹』とはまた全く違う味わいに満ちていたと思います。
- 「トラディション〜サンライズサンセット」『屋根の上のヴァイオリン弾き』より(全員)
東宝なら『マイ・フェア・レディ』とこの作品は外せないでしょう、と考えながら聴いていました。『マイ・フェア』は観たことがありませんが『屋根ヴァ』なら一度だけ、市村テヴィエで観ました。吉野圭吾さんが学生パーチックを演じた公演です。
ACT 2
『イーストウィック』は、物語はかなりお下劣でえげつない系ですが、この曲(邦題は「少女の頃」)は女声トリオでしっとり聴かせてくれて好きです。初演に出られた一路さんで聴いたのは初めてでした。
- 『サウンド・オブ・ミュージック』メドレー
由貴ちゃんがミュージカルの1場面として演じることに努めていて、好感を持てました。
村井さんは、登場するだけで場面が引き締まるのは流石です。
そして東宝シンデレラの皆さんの歌声が意外にも素敵でした。
東宝ジュニア(東宝芸能の子供向け芸能スクール)の子供達の「ランベス・ウォーク」は年長の子達の客席降りなどもあり、その間に就学前の子も含む小さい子達が舞台上で一所懸命踊っていたりして、可愛かったです。
そう言えば確か、この辺りで東宝芸能所属の水野真紀さんのご挨拶がありました。何だか選挙応援演説みたい、と少しだけ思ったのは内緒です(笑)。
どうもこの枠は公演ごとに異なる女優さんが出ていたようです。スポーツ新聞によれば前日の初回公演でご挨拶役を務められたのは沢口靖子さんだったとか。
千弘ちゃんと田中利花さんは新国立劇場での公演が重なっているため、今回のみのご出演でした。
彼女の歌を聴くのはほぼ1年ぶりです。『モーツァルト!』では千弘コンスは観ていないので、この歌は初聴きでした。凛と澄んだ声のコンス。地方2劇場のみでの登板で終わってしまったのは何か事情があったような話も聞きましたが、帝劇でも彼女のコンスを観てみたかったと思いました。
『アンナ』は未見ですが、瀬奈さんと遠野さんのデュエットの息が実にぴったり合っていて、しまった、本舞台も観ておけば良かったかも、と思いました。ついでに「もう、あすかシシィでいいじゃん」とも思ったりして。
はて、あさこさんとあすかさん、トップで組んだわけではないのに?と疑問に思っていたら、花組で一緒だったのですね。納得です。
くどいようですが、サイゴンのお話は辛いけれど曲は好きです。
昆さんについては、綺麗で真っ直ぐな声だな、でも個性が薄いな、と失礼千万なことをずっと思っていました。でも、今回何曲か、特に「命をあげよう」の歌声を聴いて、もしかして、何物にも染まっておらず、しかしそれ故に何物にも染まれる素直な歌声が彼女の魅力ではないか?と気がつきました。
『レベッカ』は上演予定はなく、そして今度の『モーツァルト!』のナンネールはキャストが交替しています。既に千弘ちゃんの「わたし」も由美子ナンネールも過去の懐かしいものになってしまったのだ、と寂しく思いつつこの2曲を聴いておりました。
- 「Stars」『レ・ミゼラブル』より(村井國夫)
会場で、村井ジャベール、私絶対何処かで聴いたことある!と思っていましたが、多分それはレミゼ赤盤のことであったと思われます(^_^;)。
後でも述べますとおり、村井さん、御年70歳でいらっしゃるわけですが、新演出版レミゼの泥臭いジャベールとは一線を画するダンディーな雰囲気でした。
まさかの一路シシィと瀬奈トート!瀬奈トート、隙無くびしりと決まっていました。「私が踊る時」のデュエットが素晴らしかったです。
- 「One day more」『レ・ミゼラブル』より(バルジャン=今井清隆、ジャベール=村井國夫、マリウス=戸井勝海、アンジョルラス=杉山有大、コゼット=斉藤由貴・辛島小恵、エポニーヌ=昆夏美、テナルディエ夫妻=石井一彰、田中利花)
ソロを取ったメンバーが全員本当にレミゼ出演経験があり、しかも一彰くんを除いては本役と同じパートでのソロ、というのは地味に凄いと思います。贅沢な1曲でした。
カーテンコールでは、一路さんほかが良いご挨拶をされていましたが、由美子さんに笑いの神が降臨していました。
由美子さん「ではマネージャーに書いてもらった挨拶原稿を」
村井さん 「お前に自分の考えはないのか?」
由美子さん「いえ、私の思いも込めて、書いてもらいました」
(結びの言葉を想定したと思われる、数行程度の立派な挨拶があっという間に終了))
一路さん 「……え?それだけ?」
由美子さん、一体どうしたんでしょう(^_^;)。
村井さんが当日で70歳のお誕生日、つまり古希を迎えられたということで、出演者からHappy Birthdayがありました。
その前に一路さんが「何と80歳!」と村井さんに爆弾を投げて、村井さんにいい加減にしろっ!と怒られていました。笑いの神仕事しすぎ……。
ちなみに今回のコンサートは、収益の一部を東日本大震災で親を亡くした子供達に向けた、宮城・岩手・福島県の「こども基金」に寄付するとのことです。
というわけで、帰りはロビーにキャスト全員(東宝ジュニア除く)が居並んでその震災基金への寄付を募っていました。
並んだ際に斉藤由貴ちゃんに「ありがとうございました」と言ってもらって、密かにミーハーに喜んでいたのは自分です。
*1:ちなみにほか3人は山口さん、別所さん、吉原さん。山口さんはパパの愛と言うよりは人間愛、別所さんは等身大の悩めるパパ、そして吉原さんは身も心も屈強なパパだと思っています。