日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『パイレート・クィーン』初日・ティアナン偏重感想(ネタバレあり)

『パイレート・クィーン』初日のティアナンについて書き足りなかったので書いておきます。あくまで初日を観た主観的な印象ですのでご了承ください。

衣装

初日の感想でも書きましたがほぼ「着た切り雀」です。1幕最初の少年時代から2幕でグレイスの身代わりとしてイギリスに行くまで、ずっと同じニッカボッカの衣装。陸の旅の時はその上に薄いマントを羽織るだけ。
まあ、確かにお召し替えがない分ラストの「ジーザス」の衝撃は大きいですし、それに他の男性陣も着た切り雀(ドーナルは1回ぐらい替わっていたかも)ですし、涼風さんの衣装代も高かったでしょうし、事情は分かりますがもう少し何とかならなかったかなあ?という思いが消えません。
更に1点だけわがままを申しますと、折角長い脚なのにボトムがニッカボッカだとあまりそう見えません。時代考証から考えると現代のようなパンツスタイルはあり得ないのでしょうけれど、これも何とかならなかったのかと思います。

髪型・メイク

髪型は前日の舞台稽古の報道写真を見て分かっていましたが、チラシの髪型とは異なり、地毛にパーマを当てて巻き毛の付け毛を足した髪型でした。あれはあれで良いのですが、何故か前髪がぱっつり短めで可愛くなっていたので劇場で吹き出しそうになってしまいました。チラシの頭のティアナンもちょっと見てみたかったです。
メイクは、お顔は浅黒い肌に拵えていましたが、腕や胸元は地肌の真っ白なままでした。ラストのジーザス姿では囚人なので白くてもノープロブレム(むしろ美しい)ですが、腕が白いとあまり「海の男」っぽくなくてそこが少し残念です。次回は「顔だけ日焼けする体質」と思って観ることにします(^_^)。

歌・演技

まず山口さんと言えば「作詞」ですが、初日に作詞してたかどうかは、何しろこちらも初めて聴いたもので良く分かりませんでした。
お歌は初日の山口さんの常でかなり緊張していたっぽかったですが、素直に「良かった」と思います。
繰り返しになりますが「君のそばで」、私は割と気に入っていまして、あれのためにあと4回帝劇に通える、と確信しています。
2幕のバラード「この命を(Surrender)」の曲調や歌い方はちょっと「彼を帰して」に似てる?と思いました。作曲家が同じ方なのでどこか共通点があるのでしょうか。
保坂さんとのデュエットは3曲ほどありましたが、どの曲でも本当お二人の歌声が見事に綺麗にハモっていてため息をつきました。また、歌でも演技でもこれほど遠慮しない山口さんを初めて見たような気がします。どちらかがリードするとか逆に正面衝突するとかも何もなく、ただ対等に声を響かせ合っている、そんな感じ。これまで噂に聞くしかなかった劇団四季時代の「ゴールデンコンビ」の呼び名が初めて実感できた瞬間でした。

演技については、1幕前半のティアナンは少年なので、2幕以降の大人ティアナンとの対比を意識したのだと思われますが、落ち着きなくぴょんぴょんして大変に挙動不審(笑)でした。でもグレイスと一緒にいられるだけで楽しい、幸せ、という感じがこれでもかと伝わってきてこちらまで楽しい気持ちになりました。
あと、別の席で観ていた友人と終演後語らった際に「歌う時の内股が海賊っぽくない」ということで意見が一致してしまいました(^_^;)。でもあの歌唱時の内股、膝曲げ、手の運動が揃うことで「あ、山口さんだ」という安心感が漂うのもまた事実だったりするのです。

ダンス

ティアナンがどこでアイリッシュダンスを踊り出すのか内心緊張しながら観ていましたが、結局踊る場面はありませんでした。結婚式では陰で泣いていましたし、グレイスの息子の洗礼式では『レベッカ』の仮面舞踏会のマキシムのように元気に手拍子していましたし。
カーテンコールで今井さんら他の男性プリンシパル陣と肩を組んでステップ踏みながら出てきたので「お?」と注目しましたが結局2ステップ程度でストップ。そこまで踊らない(踊らせない?)人が、『エリザベート』の時に1場面とは言えよく踊ったものだと妙な感心をしてしまいました。

立ち回り

あまり多くはありません。数少ない見せ場はグレイスが捕まる場面でのドーナルとの格闘でしょうか。
あとはグレイスを連れて逃げて武器を取って戻ってきて最後の方だけグレイスの助太刀で斬り合いをするなど、殺陣の中心はあくまでグレイスで、真ん中でティアナンが斬った張ったをすることはなかったです。

カーテンコール

最初の感想に書き忘れていましたが、山口さん、何度目かのカーテンコールで下手の花道から客席降りを試みていました。降りて間もなく音楽が終わってしまったので、すぐに戻られてしまいましたが、いや、びっくりでした。
また、最後の退場の時には応援団が客席を煽るように両手を大きく振り回してお手振りをしていました。飛行機のようなポーズとも言います。あのポーズ、お好きなんでしょうね(^_^)。
それとラストシーンで生やしていた口ひげを、何故か最初のカテコお出ましの際に付けっぱなしで登場していました(笑)。次に出てきた時にはもう取ってましたが。

まだ書き足りないような気もしますが、取りあえず初日の山口ティアナンの感想はこんなところです。
次回以降観る時は、山口さんのことですからまた歌や演技は細部を変えている可能性が高いと思われます。今年のTdVの時「初日しか聴けなかった歌い方」というのが存在したので(「お前を招待しよう」の歌声が本当に悪辣な響きだったのです)、今回もそういうのがあるかも知れません。初日の思い出を大事にしつつ次回を楽しみに待つことにします。