日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

月刊『ミュージカル』(2008年11月号)

近所の書店ではめったに売っていない雑誌なので、ほとんどの場合は劇場に出向いた時に買っています。
3日に帝劇で入手した11月号はエリザベート特集。カラーグラビアに舞台写真が載っていたほか、メインキャスト5名(涼風さん、朝海さん、山口さん、武田さん、高嶋さん)のインタビュー記事(記事の写真は扮装のもののみ)が載っています。
山口さんのインタビューの前文に「圧倒的な歌唱力と豪華な存在感」と書いてあるのを見て、うんうん、豪華よね、と大いにうなずいてしまいました。とてもあのファンイベント等で、ぽわぽわと愉快な、でも本質の真摯さを匂わせる立ち居振る舞いを見せてくれるお兄さんと同一人物とは思えないぐらいに、豪華で綺麗でため息の出る舞台姿です。
インタビュー(筆記回答?)の内容については、まず、トート役を演じての手応えについての質問に対して「歯ぎしりでギリギリと砕け散るようなパッション」とか言っているのを見て、もうパッションなくしたんじゃなかったっけ?そうか、あれは休日の話か、と、先日のNHKスタパでの短時間インタビューを思い出して突っ込みを入れたくなりました。
残りのインタビューの言葉はいつもの山口さんらしい、相手を煙に巻くような哲学的な言い回しが大半なのですが、ただ一つ読み取れたのは、人間ではないトートは常に誰かの合わせ鏡であろうとしているのだということです。
その「誰か」とは時に観客であり、時にフランツ、時にルドルフ。また、インタビューではそこまで言ってませんが、誰よりもトートはエリザベート自身を映し出す存在でもあります。そしてルドルフはママ=エリザベートの鏡。山口さんの「大変」は「楽しい」の鏡。「あなた」は「私」の鏡。……私もだんだん山口語の煙に巻かれて訳が分からなくなってきました(^_^;;)。
一方、武田さんのインタビューに見られるトート観は、男子性、嫉妬、欲望、悪意に満ちていて、でもエリザベートへの愛と執着は実に強いようです。色々と人間の感情を超越している山口トートとはまるっきり別物なんですが、こういう解釈も嫌いではありません。やっぱり一度ぐらい武田トートを観てみてもいいかな、と思わせてくれるものがあります。

次に『エリザベート』を観るのがまた楽しみになってきました。ちなみに観るのは11月9日の予定。その後は月末までしばらくブランクがあるので、しっかり観て心に焼き付けておきたいと思います。