日々記 観劇別館

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『篤姫』第21回

ついまたサボってましたが、やっと録画を視聴いたしました。

篤姫の元にお渡りしておいて「わしには子はできぬぞ」と言い切る時の家定の目つきが妙に凄みのある色気を漂わせていてぞっとさせられました。
あと、鶴田真由さんのお志賀の顔の表情筋が何とも不思議な動きをしており、篤姫との対話場面でそこばかり気になって仕方がありませんでした。表情の動きを表すのに普通くねくねという擬音は使われないと思うのですが、まさにそういう感じです。人に仇を成すわけではありませんけれど、こういう女性も一種の「魔性の女」と言えるのではないでしょうか。

篤姫が上様に翻弄されて、ぐんぐん「恋する女」に変貌していく姿を、あおいちゃんが好演しています。生まれて初めて心で燃え始めた情念に苦しむさまは痛々しいのだけど、その分明らかに篤姫が美しくなっていく様子がドラマティック。
更に、篤姫だけでなく家定も変化とは無縁ではいられず、戸惑いが生まれているのが面白いです。
恐らく、しきたりと段取りと予定調和に生きる大奥の大多数を占めるタイプの女性や、逆にお志賀のように、何でもありのままに穏やかに受け入れてくれる女性には出会ったことがあっても、篤姫のごとく豪速球ストレートをみぞおちに投げ込んでくるような相手には出会ったことがなかったのでしょうね。こういう、相手を振り回しているつもりで実は自らも振り回されていくという状況は、結構好きです。史実の結末は分かっているのだけど、またこの2人の次の展開が楽しみになっています。