日々記 観劇別館

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『篤姫』総集編

全日本フィギュアの熱戦や有馬記念で盛り上がる世間を尻目に、26日から3夜全5話分、全て録画ではなくリアルタイムで観ました。
全5話を見終わって、やっぱり『篤姫』の核は公方様(家定)と篤姫のラブストーリーだったんだなあ、と改めて感じました。何しろ総集編第2話と第3話の大部分が公方様×篤姫のやり取りでしたし。
公方様の美味しい場面はあらかた入っていたかと思います。よろめく篤姫をとっさに駆け寄って真剣顔で支える場面に、御台に初めて内に秘めた苦悩と絶望をぶちまける場面。ハリスとの対面で思わず「ウツケのふりをして」見得を切ってしまう場面。最後の最後に(本人達は最後とは知らないけど)篤姫と結ばれる場面。死の間際に篤姫から贈られた碁石を手にして涙する場面。そして、終盤にろうそくの灯りの中から魂として現れる場面も。
それから、「家族」というキーワードは最初に公方様、その後(恐らくは篤姫への思いを吹っ切るためであったであろう)家茂の言葉として登場したのだと再確認いたしました。物語の中ではあの慶喜までを敬服させてしまった魔法の言葉として見事に機能していたと思います(でも史実の天璋院は死ぬまで慶喜を許してはいなかったようですが。)。
そう言えばまるでRPGのように、印象的なアイテムの入手と活用の多いお話でもありましたね。菊本の仏像、帯刀と交換したお守り、村岡に貸した白無垢の袿、斉彬父上の手紙、お近さんの香木……。特に父上の手紙は終盤のああした伏線に使われるとは思わず、意外でした。

本放送では家茂・和宮の物語も密度が濃く見応えがあったのですが、流石に主人公と比べるとだいぶカットされていて残念でした。何しろ和宮が総集編第4話に登場してから、家茂が勝さんの腕の中で息を引き取る場面まで1時間足らず。早すぎ。
第5話は、帯刀と天璋院の最後の対面という見せ場こそあったものの、何となく帯刀の影が薄かったように感じられました。お琴さんなんて琴花姐さんの時代から一足飛びに帯刀の臨終で、いつの間にか子連れで出てきてましたし。とは言え、あの終盤の怒濤の展開を55分にまとめたのは、よくぞやり遂げたものよ、とスタッフの皆さまのお力に素直に感服しております。

ところで、久光様の総集編での登場は概ね次のとおりだったかと思います。

総集編第1話

  • 兄上・斉彬と対面し葡萄酒を酌み交わす場面
  • 斉彬の藩主就任に際し祝いの言葉を述べる場面

総集編第2話

  • 出番なし
    第2回と第3回は家定様・篤姫のラブストーリーがメインなので当然と言えば当然。でも何故かお由羅様は登場したのでした(篤姫が斉彬への呪詛を止めさせるため忠興の江戸屋敷に乗り込む場面)。

総集編第3話

  • 斉彬の臨終で男泣きする場面
    何度見ても強烈な表情筋と血管総動員の泣き顔です(笑)。
  • 息子を差し置いて、忠興が新藩主(忠義)の後見役に就任する場面
    お由羅様との親子同席って珍しいように思いましたが、この場面以外にありましたっけ?

総集編第4話

  • 忠興が亡くなりめでたく藩主後見役に就任する場面
  • 京に上る御駕篭の場面
    この直前に発生した筈の地ゴロ呼ばわりブチ切れ事件の場面はカットでした。
  • 京で岩倉に口上を述べ馬鹿にされる場面
  • 寺田屋事件の前の帯刀の回想(地ゴロ事件で煙管を折る怒り顔)
  • 寺田屋事件後に窓辺に佇む場面
    「あの者達の突出は幸いであった」と冷静顔でうそぶきながら心は泣いてる、筈なんですが、その台詞も有馬の遺書を手に泣く場面もカットされてました。
  • 帯刀を伴って天璋院寛永寺で対面する場面
    綺麗過ぎるお顔から出てくる真っ黒過ぎるご発言が素敵です。
  • 薩英戦争で戦装束で癇癪を起こす場面

総集編第5話

  • 帯刀から篤姫の母上に手紙を書く許可を出すように頼まれる場面

こうして見ると、やはり薩摩が立ち上がり情勢が急速に変動する第4話の出番が一番多かったですね。
あの場面も入れて欲しかったのに、というのはいくつかありましたし、彼の兄上ラブの描写が少なかったのはちと不満だったりしますが、まあ、主役は篤姫なんだし、尺も限られているし仕方ないな、と自分を納得させています。
第一それを言い始めたら、西郷の斉彬様激ラブについても、終盤の重要な伏線であるにも関わらずあまり説明されていなかったですし。あと、天璋院の魂は白い鳥とともに薩摩に飛び立って欲しかったです。
ドラマの総集編というのは、本放送を観ていた人が振り返って復習するためにあるのだと悟りました。

あと、総集編の終了後に来年の大河の予告編を流してましたが、今のところはそれほど萌えが来ません。今年の久光様とか勝さんのように味わい深い隠しキャラが出てくるなら考えるかも知れませんけれど。もし観たとしても、今年のようにできるだけ毎回頑張って感想を書くようなことは多分しないと思います。