ここ2週間分貯めこんでいた録画をやっと消化しました。
まずは第41回の感想から。
久光様は1シーンのみの登場でした。いきなり帯刀に「長州をぶっつぶしてやりたい」と過激なことを言い放つのは、彼の冷酷さ故かも知れませんが、帯刀が抱えているであろう妙案を引っ張り出すきっかけを与えるための振る舞いであるようにも見えました。
帯刀の活躍で薩長同盟のための工作が進む様子は小気味よくて面白いし、ごねる長州藩をも納得させる帯刀の堂々とした成長ぶりも楽しいのですが、どうしても大奥の天璋院の物語とはテンポが乖離しがちなので、ちょっと頭が混乱してしまいました。
しかし、前も書いたように思いますが、幕末が舞台のドラマなのにここまで長州の皆さんの影が薄いのは、本当珍しいです。
大奥では家茂は再度上洛*1、観行院は天璋院の贈った雅楽の音色を最期の思い出に息を引き取り、その中で意地を張って立ち続けようとする和宮が痛々しかったです。いや、和宮の意地も苦悩も全部真っ向から受け止める天璋院はもっと辛そうで、もうかなり見ていられない状態だったのですが、次の回はもっと展開が辛いぞ、と心に言い聞かせながら耐えて見ていました。
続けて第42回。久光様は冒頭ナレーションで、「地ゴロ」と言われて爆発寸前の際の表情の写真のみ登場してました。でも、彼が出なくても今回は波瀾万丈で、最後まで全く目が離せませんでした。
一夜の相手だった筈のお琴さんに押し掛けられて、完全に振り回され、薩摩に帰ったら帰ったでお近さんに愛妾の存在を隠しきれない帯刀は、前回の堂々ぶりとは対照的にかなり情けないかも知れません。でも、彼に見えない所でこっそり寂しそうなお琴さんの表情はツボでした。
大奥の新メンバーとして、ナンネール……ではなく、高橋由美子ちゃん演じる唐橋登場。京の人間なので、公方様の周囲の動きを知るためのパイプ役を、ということでしたが、家茂は今週亡くなってしまったので、今後「京出身」が何かの伏線になることはあるのだろうか?とひっそり注目しています。
先日イベント参加前に出向いた美容院で見た女性週刊誌に、滝山は天璋院との和解前と和解後とでメイクを変えている、と載っていたので、観察してみました。もちろん稲森さんの演技に拠るところが最も大きいのだろうけれど、確かに初登場の頃からはかなり柔らかい面差しになっているように思いました。
しかし、沈みがちな大奥を明るくするためと言って酒宴に興ずる本寿院。相変わらず空気は読めないけれどつくづく憎めない人だと思いました。
それから、幕臣に復帰した勝さん。薩摩の背きを嘆く天璋院の前で「時代が変わりつつある」のだときっぱり言い放つさまが大変格好良かったです。しかし、勝さん、何て萌えな良い役なのでしょう。病に倒れた家茂が、最期を悟ってわざわざ人払いをして、
「我は何かをなし得たと言えるのだろうか?将軍としての何かを、男としての何かを」
「もう一度江戸へ戻りたかった」
と嘆きながら息を引き取るのも、勝さんの腕の中ですし。僅か21歳で、大願も果たせず、愛妻にも会えずに死んでいくというのは、史実とは言えあんまりです*2。
そう言えば家茂が最初に倒れた時の様子と、鴨居に飾られた金の扇子と、彼が寝込んでいた布団を、どうもやはり9月のスタパ見学の時に見たような気がしてなりません。私が背中を見たのは慶喜だったようにも思うのだけど、第41回に家茂と慶喜の会話シーンもあったので、実はあの時前回・今回の撮影を行っていたのかも知れません。
あと、寺田屋の事件で負傷した龍馬とお龍さんが、帯刀に連れられて薩摩へ湯治に出向いたのが、記録に残る日本最初の新婚旅行だそうです*3。
お近さんとお龍さんの対話は良い雰囲気でなごみました。かつての「於一様」への夫の思いを知る故に彼の自分への愛情を疑ってしまうという本音を語り、結局は愛する夫と「出会えただけで幸せ」「生きていてさえくれれば良い」という心境に至り、お琴さんのことも笑顔で認めてみせるお近さんが素敵でした。でもあの笑顔は帯刀には相当に恐怖だったんではないかと(^_^;)。
家茂が倒れたと聞いて動揺する和宮に対して、自分もめちゃくちゃ心配でぐらつきそうな癖に「しっかりしなされ」と背筋を伸ばしてみせる天璋院が切なかったです。
天璋院が家茂の死を和宮に即座に告げたのは、自分が家定を亡くした時に長期間知らされなかった悲しみを味わわせたくなかったんでしょうね。
それにしても天璋院は義理の父上と夫をほぼ同時に亡くすし、和宮は1年足らずの間に実の母上と夫を続けて亡くすしで、2代続けて不幸過ぎる御台様方を見ると、やっぱり徳川家の命運は避けられなかったんだろうな、と思えてなりません。あの場面を見ながら、どうも頭の中で『エリザベート』の「悪夢」が再生されてしまっていけなかったです。天璋院も和宮も、別に暗殺されるわけではないんですが。