日々記 観劇別館

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“Le Roi Soleil”DVD感想(2007/4/24)

友人Aさんにお借りして、何ヶ月も観ることができないままになっていたフレンチ・ミュージカル“Le Roi Soleil”(太陽王)のDVDを、先週の休日出勤の代休が取れたのを利用してようやく鑑賞することができました。

映像を見始めての第1印象は、「これ何てシルク・ドゥ・ソレイユ?」というものでした。しょっぱなから客席降りはあるし、とにかく皆激しくアクションしまくっているし、照明もきらびやかだし。会場が日本で言うシルク・ドゥ・ソレイユのテントか代々木オリンピックプールか?という作りなのも、錯覚に影響したと思われます。

主役たる国王ルイ14世太陽王)について、DVDを貸してくれたAさんが、
「日本なら山口祐一郎さん向けの役」
と言ってましたが、何となく伝えたかったことは理解しました。国王役の方、見た目も美しいし、歌声も綺麗で出ずっぱりなのにダンスシーンは妙に少ないし。
んー、でもどうだろう。一応太陽王ってタイトルロールですし、最後まで観てから振り返るとああ、確かに国王が主役なんだなあ、と納得できますが、途中で重要なのはむしろ彼の人生に関わる女性達なわけで、舞台に出ずっぱりな癖に影が薄いです。ずうっと思い悩みっぱなしだし。山口さんが演じるとすると(年齢的に今更やらないとは思いますが(笑))、本人がオーラばりばり過ぎて周囲の女性が目立たなくなるんじゃないかと変な心配をしてしまいます。もしこういう甘々な役を演じたらどうなるかを、怖いもの見たさで観てみたい気もしますけれど。

また、国王ももちろん素敵なのだけど、この演目においてはオカマ(?)の弟の見せ場が多く、実に色っぽくて目を奪われます。日本だったら吉野圭吾さんあたりにやってほしい役どころです。

全体に楽曲のメロディーラインも耳触りが良いし、歌も安心して聴けるし、ダンスも美麗にしてダイナミック。出演者も皆美形。ストーリーも、まあ、メロドラマなんですが、変に社会派に走ったりしないでシンプルに見せてくれる。ああ、これが海外物の良いところなんだなあ、と思いました。
特筆すべきは、民衆のデモが叩き潰されるとか国王が病で瀕死に陥るとかの重たい場面も結構あるのですが、全く陰惨さが見あたらないところ。とにかく群舞シーンが明るく華麗なので、そこら辺の効果でしょうか。あるいは観ているこちらが言葉が分からないため(^^;)、純粋に歌とダンスだけ追いかけていられるというのも大きいのかも知れません。

カテコ映像まで見届けていて羨ましかったのは、アイドルやロックのコンサートのように舞台の際まで観客が押し寄せて拍手を送っていること。国民性もあるのでしょうが、向こうの人にとって、ミュージカルってアイドルやロックと同じ位に敷居が低いんだなあ、と実感させられる場面でした。

日本のミュージカルって確かにまだまだ土壌に根付いていないし、レベルも欧米のそれに追いつけていないのでしょうね。それでも、私は日本の舞台を見放したくありません。いつか生活環境が変わるなどして、容易に観劇も出来なくなるかも知れないけれど、それまでは見届けていきたい、と改めて思っております。