日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『スタジオパークからこんにちは』森山開次さんご出演(2009.9.11)

先週木曜日、友人から「スタジオパーク森山開次さんが出るよ」と教わり、金曜日に録画予約。金曜はちょっと後ろ向きなお仕事で疲れ、土曜は東京で勉強会に出たのですが楽しすぎてへろへろ酔っぱらい、ということで、今日やっと番組を見ることができました。

以下、レポートです。例によって長文ですがご容赦ください。

素顔の森山さんは、あの疾風のようなダンスからは想像もつかないとても柔らかな物腰の方でした。
司会の武内陶子さんの、
「眉を金に染めてるので何となく『怪しい人』って感じかと」
という発言は相変わらず直球だなあ、と思いつつ納得。この眉の理由は後で明らかにされました。

朝のテレビ番組「あさだ!からだ!」(NHK教育)は見たことがないのですが、「内臓ダンス」は見た瞬間吹き出しました。森山さんの5歳の娘さんもこの踊りが大好きだそうで。
子供番組なのに子供向けっぽくない踊りでないのは何故か?という陶子さんの問いには、子供と一緒に踊るというよりは内臓がこういう風に動いているんだよ、とか見せるダンスなのだと答えられてました。

その後、プロフィールと過去のエピソードの紹介がありました。
これまでの道のりは次のとおりだそうです。

忍者ごっこの大好きな活発な子供
→ロス五輪を見て感動し体操教室に加入
→ひき逃げ事故にあって足首と膝を傷め、体操を断念
→挫折を引きずり目標を見失っている状態に
→大学在学中の20歳の頃ミュージカル*1の舞台鑑賞
→舞台に立つ人達が輝いて見えたのが悔しく思え、「音楽座」(吉野圭吾さんらも在籍されていた旧音楽座)に加入
→20歳でダンスを始めたので身体が硬く、柔軟体操に励む日々
→その後1999年に25歳でダンサーとして独立
→日本人なのに日本のことを知らないのが悔しく、能に興味を持ち始める
→津村禮次郎氏(観世流シテ方重要無形文化財保持者*2)の薪能を観に行き感動
→その場で師匠に土下座して弟子入り(金髪&タンクトップ姿だったそうです(笑))
→『弱法師』(よろぼし)という演目にて盲目の若者役で師匠との共演が実現
NYタイムズでダンス絶賛
→今度封切られる映画『カムイ外伝』にも出演
→今に至る

少し前に公式サイトを見たらTdVのすぐ後のお仕事が「佐渡薪能」と書いてあったので、何か能の世界に深いご縁がおありなのかな?と思っていましたが、番組で能とのコラボの話に触れられていて、ああやっぱり、と納得しました。
お師匠様については「素晴らしい方」であり、伝統を守るだけでなく良い物を作って行きたいと考えており、今を生きる踊りをされる方だとコメントされていました。
『弱法師』は今年の2月に『弱法師 花想観』として再演された際の舞台映像が流れたのですが、そこにはTdV初演時のサラの化身役ダンサーだった加賀谷香さんのお姿が!もしかして、この辺りのつながりや、ミュージカル経験者ということでTdVとご縁が生まれたのかも?と想像しています。
佐渡薪能の様子も写真だけですが紹介され、土地の人のために踊ることができてかけがえのない経験だったという森山さんのコメントに人柄を感じました。

このほかに映像分野とのコラボということで、『カムイ外伝』についても紹介。森山さんが演じたのは渡り衆というサメ狩りの忍者(抜け忍)の役。しっかり舞のシーンがあり、ワイルドに踊る身体が日焼けしているのを見て、
「黒い開次も格好いい!」
と陶子さん(^_^;)。森山さんによれば、当初の台本には踊るシーンはなく、現場で急遽追加されたそうです。

このほかに自主制作の舞踏映像(未完成)の一部についても見せてくれました。何かの形で踊りを作品として残したいと思ったのが、この映像を作成した理由だそうです。
桜の下で踊るシーンがあったのですが、森山さんが踊る場面って、やっぱり実際のご本人より遥かに大きく見えるのが不思議でした。

その後、陶子さんから、
「今後年齢を重ねて身体が変化していくことをどう考えているか?」
というやや突っ込んだ質問が。これに対し、
「身体の衰えは怖く、戦い訓練していかなければならないが、葛藤しつつ死ぬまで踊り続けて行きたい」
「踊りは人前で踊るだけではなく、趣味で踊っても良い。自分のためだけに踊っても良い。僕の中で踊り=身体になってきている。指でも身体でも踊れるし、心が踊れれば良い。そう言う意味では皆一生踊っていくのだと思う」
という、踊りを生業に選んだ方の覚悟と踊りへの愛が深く伝わってくる回答をされていたのが好印象でした。

この後、「インフルエンザ撃退ダンス」として日本ユニセフ協会から依頼され創作したという「世界手洗いダンス」を司会お二人とスタジオの皆さんと一緒に踊られていました。後で陶子さんも仰ってましたが、ユニセフ協会のビデオでの森山さんはしっかり眉があり、髪もアップにして泡型の帽子(笑)の中にしまい込んでいるので、妙に可愛らしかったです。

そしてニュース解説コーナーを挟んで視聴者からの質問コーナー。

  • Q1.森山さんの背後に飾られている花は何か?
  • A1.薪能の舞台に使ったシャクヤク。自分で作った。
  • Q2.娘さんとどんな遊びをされているのか?
  • A2.踊ったり組み体操したりしている。そうすることは踊りの勉強にもなる。普通の肩車ではなく踊りっぽくやったりとかしている。
  • Q3.食生活で気をつけていることは?
  • A3.食べたいものを食べている。嫌いな物はない。
  • Q4.踊るために毎日の生活で心がけていることは?
  • A4.身体のケアのためストレッチしたり、疲れを溜めないこと、食べること。白いごはんが好き(とニッコリ)。
  • Q5.眉が気になりますがこだわりは?
  • A5.感情を消し、能面のような表情にしたいと考え眉を消している。

この他に、「劇団アンサンブル時代からのファンで、同じ学校の出身でもあり、応援してます」という内容のお便りなどが紹介されて番組終了、でした。

――と、大体こんな感じで番組が展開されていました。
森山さんの、柔らかな口調とほんわかした笑顔で、でも芯は通っていて努力も厭わない人柄が伝わってくる、良いトークだったと思います。眉毛のヒミツも明らかになりましたし(^_^)。また機会を見てあのダンスにお目にかかりたいものです。

*1:ハミングトーク 第17回」(ヤマハ『ハミングパーク』サイト内)によれば『マドモアゼル・モーツァルト』だそうです(2009.9.15追記)。

*2:所謂「人間国宝」のこと