日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『フィスト・オブ・ノース・スター~北斗の拳~』配信視聴感想(2021.12.28 13:00開演)

キャスト:
ケンシロウ=大貫勇輔 ユリア=平原綾香 トキ=加藤和樹 シン=上田湛大 リュウケン=川口竜也 トウ/トヨ=白羽ゆり マミヤ=松原凛子 レイ=上原理生 ジュウザ=伊礼彼方 ラオウ宮尾俊太郎 バット=渡邉蒼 リン=近藤華

皆様、大変遅ればせながら、あけましておめでとうございます

本年もどうぞよろしくお願いいたします

 

2021年末。10月に『ナイツ・テイル』を観たきりで観劇ができていないままでしたが、このまま年越しを迎えるのは納得がいかない、と思い立ち、「アタタミュ」の別名もある本作を配信視聴することにしました。

本当はマチネ・ソワレ両方の配信を見比べたいところでしたが、年末の諸々の予定を考慮しマチネのみ購入。更に本公演の時間は仕事中でしたので、アーカイブでの視聴となりました。

配信だとあまり細かい所が観られないなど、どうしても生舞台と同じとはいかず、ごくごく簡単ではありますが、以下、思い出し感想です。

 

大貫ケンシロウは、実は昔ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で黙々と「死」を踊っていた時の印象しかなく、お歌を聴いたことがなかったため(ドラマで突然ミュージカルする役柄を演じていたらしいですが見ていません)、12月初め頃まで「大丈夫?」と失礼な心配をしていましたが、FNS歌謡祭の歌唱披露を聴いて安心していた経緯があります。

その時は分からなかったですが、改めて上半身を脱いだ身体を見るとかなりマッチョに作り上げていて、あのコスチュームもぴったりはまっており、観ている間ずっと、

「大貫さんではなくケンシロウがそこにいる」

「あの寡黙なケンシロウが世紀末の荒野で朗々と歌い上げ、しかも踊りまくっている! 面白い!」

と釘付けになっていました。

幻のユリアとの優雅なデュエットダンスも、身体のキレの良さが最大級に問われるソロダンスにもそれぞれに引き込まれました。

個人的に特に印象に残ったのは、加藤トキ様と平原ユリア。加藤トキ様は物語随一の人格者として切々と語り歌っていましたし、平原ユリアはしっとりとした声質が、聖母の如く慈愛に満ちつつ力強さもあって良かったと思います。

あとユリアって別にプリンセスではない筈ですが、随所でプリンセス感が溢れていたのは不思議です。

宮尾ラオウ。「ラオウは雑魚には直接手を下さず、愛馬の黒王号が蹴散らす」と聞いていましたが、割とすぐに馬から降りて戦い始めたので、あれれ?となっていました。

「覇王の圧倒的なオーラ」はあまり彼からは感じられなかったような。どちらかと言えば「どうしようもない孤独と哀しみを抱えた強者」であったと思います。ラオウについてだけは、Wキャストの福井さんと見比べてみたかったです。

そして「わが生涯に、一片の悔いなし!」の場面で片手を真っ直ぐ天にかざしながら昇天していく時の姿は圧巻でした。ラオウどこへ消えたー!? と若干動揺しましたが。

ほかに今回インパクトがあったのはワイヤーアクションでしょうか。優れたダンサーである大貫さんや宮尾さんだけでなく、どちらかと言えば歌に強みのある加藤さんや上原さん、伊礼さんまでが果敢に挑戦していて驚かされました。

若手、子役さんも良かったですね。バット役の渡邉蒼さんが朝ドラ『なつぞら』の咲太郎お兄ちゃんの少年時代を演じてタップを踏んでいた彼の成長した姿だと、視聴後に電子パンフを読んで知りました。近藤華さんのリンも可愛かったです。

また、音楽は、「ああ、ワイルドホーンだな……」と聴き入っていました。何だかんだでやはり、旋律が心を掻き立て、耳に心地良いのです。

 

北斗の拳』の原作は断片的にしか読んでいませんが、わずか3時間の舞台でここまで原作の世界観やキャラクターを、ミュージカルとしてまとめたのはシンプルに評価したいです。

また、原作と言えばマッドマックス的な世紀末でバイオレンスでヒャッハーなイメージで、舞台にもそういう場面や人もたくさん登場しますが、一方で人間ロマンに満ちた物語であり、意外にもミュージカルとの相性は良かったのだと、今回実感しました。

 

以上、簡単ではありますが、やっと感想が書けました。配信とは言え、観劇納めの感想を書いて、ようやく2021年が締めくくれた気がします。……あ、そう言えば2021年の総括を書いていなかったですね。

新年早々、新型コロナウイルスオミクロン株の流行拡大、宝塚花組も休演という、観劇好きには辛いニュースも流れてきていますが、今年は少しでもうれしいニュースが増えることを願っております。