たまたま平日お休みだったので、ジブリの新作映画『君たちはどう生きるか』を鑑賞してきました。
はじめに、これを書いている人はジブリオタでも宮崎監督オタでもないので、本当の野次馬的感想しか書けません。加えて、吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』はもちろん、今回の映画の元ネタになったと言われるファンタジー小説も未読なので本歌取りとかオマージュとかあったとしても全くわかりません。その点、ご容赦ください。
とりあえず「自分が認識している宮崎駿作品要素」は集大成としてしっかり含まれていたと思います。すなわち次の要素。軽くかじっている人はニヤリとできるのではないでしょうか。
- よく働きそうなババア(複数)
- 強かで食えないババア
- 賢そうで勇敢な少年
- 心身ともにたくましいお姉さん
- とらわれのお姫さま
- 病弱なお母さん
- 芯が強く勇敢な美少女
- 塔屋での追いかけっこ的な何か
- 誰かの意図により創られた異世界ではない、自分が生きてきた禍福糾える世界の肯定
物語は良い意味で「タイトル詐欺」です。映画にはタイトルの元ネタの「あの本」に関連するエピソードも登場しますし、「世界の理を知るおじさんと親戚の少年」に該当する関係性も(かなり捻った作りで)出てきますが、あのタイトルからこのストーリーは普通想像しないのではないかと思われます。実はジブリが今回の映画の事前宣伝を最小限にしていたのも、単に「タイトルと実際のお話の展開がいかに異なるものであるか」を説明するのが面倒くさかっただけなんじゃないか? とかなり本気で考えていたりします。
ただ、内容的には、あの世界に引きずりこまれた「君たち」がそれぞれに「どう生きるか」を選び取るまでのお話なので、タイトルと全く合致していないわけではありません。
また、あの本のエピソードについては、眞人(マヒト)少年に本を贈った人は無意識下に自分の運命に関する記憶が刻まれていたに違いない、と、最後まで見終えた後に振り返ると、泣けるものがありました。眞人少年以外であの世界に行った人物は具体的な心理描写が最小限に抑えられているので尚更に。
それから、宮崎作品要素として最初に記した、勇敢な少年少女について。かれらの勇敢さは最初から表立って有していたものではなく、主に「誰かがかけがえのない存在であると気づいていく」過程において獲得されているのが良いですね。
終盤の展開は、
「え、これで終わり?」
とあっけにとられつつも、あれは一応大団円なんだと思いますが、
「あの世界にいた、あの白くて丸いのはどうなっちゃったの?」
という点がずっと心に引っかかっています。確か、ラピュタやもののけ姫のクライマックスでも似たような思いにかられたことがあったような既視感(書き忘れていましたが、ナウシカ(原作)でも!)。
あと、最後まで解明されなかったのが、
「序盤でジジイに看病されていたあの人は結局なんだったのか?」
です。どうしたんだろう、あの人……。