日々記 観劇別館

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中川晃教コンサート2020 feat.ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』(Streaming+配信)感想(2020.7.12 12:00開演)

出演:
中川晃教
(ゲスト)横山だいすけ 山崎大輝 近藤頌利

2020年4月に明治座にて開幕予定だった、アッキーこと中川晃教さん主演のミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』。とても残念なことにコロナ禍のため上演中止になってしまいましたが、大変ありがたいことにe+の動画配信サービス「Streaming+」による有料配信が実施されることになり、本日昼の部をライブで鑑賞することができました。

家族にノートPCをテレビとスピーカーに繋がっているアンプに接続してもらい、テレビの真正面に陣取って約2時間(休憩なし)の視聴を敢行しました。事前の想定以上に配信音声も映像もクリアで安定していて良かったです。そして、中川さんの歌を聴くたびに言っている気がしますが、彼は本当に「天から授かった歌声」の持ち主だと常々考えていますので、たとえ会場で生歌を聴くには遠く及ばないとしても、その授かり物の歌声が配信でも損なわれずに聴けることをとても嬉しく思います。

前半が中川さんのオリジナルや主演ミュージカルなどの「持ち歌」ナンバー披露で、中盤にトークショーを挟み、後半に『チェーザレ』のナンバーを披露、という構成でした。

主演ミュージカルや音楽劇のナンバーは『モーツァルト!』と『SHIROH』と『銀河鉄道999』から1曲ずつ歌われていました。『モーツァルト!』と『SHIROH』については実際の劇中の台詞付きで歌っていたのが自分にとっては結構新鮮に感じられました。特に『SHIROH』の場合は中川さん自身が演じた「シロー」のほかに「お蜜」と「ゼンザ」(本編では秋山菜津子さんと泉見洋平さんが演じていました)の台詞も再現していたので一種奇妙な感じではありましたが、台詞がセットでないとシローの心境が分からないので、やはり必要だったのだろうと思います。また、台詞が挟まるだけで途端に音楽のステージに芝居空間が再現され、「シローが降りてきた!」と感じられるのは不思議なことです。

トークショーのゲストは『チェーザレ』にキャスティングされていた方々のうち、アンジェロ役の山崎大輝さんとドラギニャッツォ役の近藤頌利さんでした。お2人についてはじつはあまり存じ上げないのですが、トークのやり取りから見える中川さんとの関係性がそれぞれに心温まる感じ、好印象でしたので、このトークショー、願わくば実際に上演された本編を観た上で聴きたかったなあ、と口惜しさを覚えました。山崎さんが登場した際の中川さんとのソーシャルディスタンスを保ったエアハグにもグッとくるものがありました。

なおトークの内容はそんなに事細かには覚えていないのですが、確か山崎さんの発言の天然ぶりがいじられていた際に、中川さんが「僕も時々宇宙語を喋っているらしく通訳が必要」みたいなことを言っていたのを聞いて、ああ、多分フォローのつもりなんだろうけど、「そうだろうなあ」と納得してしまうのはなぜだろう? と余計なことを考えておりました。

後半の『チェーザレ』のナンバー披露では、ハインリッヒ7世役の横山だいすけさん(だいすけお兄さん)がゲストで登場。このハインリッヒ7世とチェーザレとの掛け合いのあるナンバーが、だいすけお兄さんの力強い歌声も相まって実に素晴らしく、ああ、これは劇場で生で観たかったし聴きたかった! と、トークショーの時以上に悔しくてたまらず、心の中で1人もがいてしまいました。

しかも歌唱後のトークによれば、実際にはこの場面に藤岡正明さん演じるダンテも出演する筈であったとのこと。更に改めてキャスト表を見ると、チェーザレの実父は別所哲也さんで、ライバルの父親は今拓哉さん、そして岡幸二郎さんも、と安定のベテラン勢。……いや、存じてはいましたが。改めて、やっぱりこれはフルバージョンで観ないと納得が行かない! と再認識した次第です。

小ネタとしては、なぜか本日の演奏担当のキーボードの方(お名前失念)が世界史にお詳しくていらして(音楽よりも歴史が好きかも知れない、と発言して中川さんに「それはダメでしょう」と突っ込まれていました😅)、教皇と皇帝との対立が続いていた中世ヨーロッパの事情についてとうとうと解説されていました。続きは夜の部で! と仰っていました。夜観る予定はありませんが、少し気になります。

コンサート終盤は、闘牛士をテーマにした(?)ちょっと男臭いナンバーと、アンコールとしてバラードがもう1曲披露されていました。コンサート終了時には、届かないと承知しつつ、画面の前で心から拍手を送らせていただきました。

7月12日現在、東京都民の方には申し訳ないのですが、都外在住者としてはまだまだ劇場に公共交通機関を使用して出向くには勇気が必要な状況が続いています。加えて劇場側でもソーシャルディスタンス維持のために、通常の半数の座席しか販売が行われないため、従来以上にチケットは入手しづらくなっていると推測されます。そのような状況下で、こうして自宅にて舞台を堪能することができるネット映像配信の技術にただ感謝するばかりです。恐らく様々な権利事情により、配信許諾が難しい演目もあると思われますが、このような観劇クラスタには厳しい情勢下、少しでもリモートで楽しめて舞台を応援できる機会が増えて欲しい、と願っております。