昨日『三銃士』の帝劇楽を観てまいりまして、本当はその感想を書きたいところなのですが、ちょっとこれを語らなければ自分として先に進めないので、楽日恒例カーテンコールでの報告から語りたいと思います。
吉野圭吾さんが8月21日公演中にアキレス腱を傷められ(所属事務所のブログによれば「アキレス腱断裂」とのこと!)、帝劇千穐楽限りでロシュフォール役を降板、博多座での代役は親衛隊員や、2幕の船長ほかの役を演じていた原慎一郎さんが務められるそうです。原さんが務められていた船長さん(ソロ歌唱あり)は松澤重雄さん、親衛隊士は青山航士さんが務められるということです。
(以下は心の叫び)
……というか8月21日、観ていて吉野さんの負傷はもちろん認識してたけど、義援金当番が事前に交替していたので、てっきり「怪我をしたから交替した」と思い込んでたよ!まさか私が観ていたその日に怪我していたなんて思っていなかったよ!気づけよ自分!休憩時間が通常の25分間より5分長くなっていたのはそういうことだったのかよ!
痛めたのは膝かアキレス腱?とは想像していたけど、段取りが多少減ったり変更されたりしたとは言え、一通りダンスも殺陣も美しくこなしていたから、まさか本当にアキレス腱の傷だったとは思いもよらなかったよ!(T_T)
(心の叫び終わり)
シングルキャストのこの作品において、かなり身体を張った演技を伴う役どころであるにも関わらず、アンダースタディを恐らく置いておらず(もしかしたら原さんがそうだったのかも知れませんが)、結果として怪我人の吉野さんがほぼ1週間勤め上げられました。
ロシュの動きが多少カットされ、クライマックスの階段落ちもなくすという演出変更を伴っていたとは言え、吉野さんのダンスや殺陣はとてもアキレス腱を傷めた方のものとは思えず、改めて吉野さんの実力と役者魂を感じ、客席でしっかり受け止めました。
しかし。同時に、ちょっと待て!これを当たり前にしてはいけない!美談に終わらせてはいけない!とも思うのです。
多分海外や、東宝ミュージカル以外の劇団など(具体的には四季や宝塚など)であれば、キャストに何かあってもアンダースタディがいて、即日交替できる体制になっている筈です。
だから本来なら、東宝は吉野さんが負傷して続行不能の診断が下った時点で、誰かに交替させていなければいけなかったと考えます。実際、レミゼやサイゴンのように全キャストがダブル、トリプル以上になっている作品はそのように対応してきたのですし。
しかもロシュはいつ負傷してもおかしくない山ほどのアクションをこなす役ですが、それを演じるのは技量の高いダンサーである吉野さん。そのダンサーの脚に一週間も無茶させて、後遺症が残ったら何か保障してくれるんでしょうか。
もちろん、技量の高い役者さんであるほど代わりが利かない、という言い分はあるでしょう。実際、今回のロシュは吉野さんが丁寧に役作りして仕上げた、敵役でありながら愛すべきキャラクターでもあります。
でも、本当はそれではいけないと思います。シングルキャスト自体はやむを得ないとしても、誰かが傷病を負ったら、それがプリンシパルかアンサンブルかに関係なく、さくっと交替して、後は任せた(引き受けた)!と信頼をもって言い切れるような体制が当たり前になっていて欲しいです。それが、1stキャストが安心して舞台を務められることにも繋がるのではないでしょうか。
ついでに申し上げますと、今回アンサンブルには補充人員がなく、従来キャストの方の役替わりで埋めるとのことですが、そこは補充して、従来のキャストの負担が増えないようにするのが本筋なんじゃないか?とも思うのです。
以上、今回思った所を記させていただきました。お目汚し申し訳ございません。