日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『レ・ミゼラブル』の一連の出来事に思う

帝劇で上演中の『レ・ミゼラブル』、キャスト変更に公演中止にと色々ありすぎて、ちょっと頭の整理がついて行けていませんが、以下、Twitterの方でちまちま書いた事を中心に繋ぎ合わせつつ、思った所を記してみます。
まず、最初、
「お稽古で負傷した福井さんに続いて、ジュンヒョンさんまでもしかしてレミゼ舞台で負傷?そんなに新演出のバルジャンってアクション激しいの?」
と思っていましたが、
「レ・ミゼラブル」ジャン・バルジャン役ケガで休演:芸能:スポーツ報知
によればジュンヒョンさんのお怪我はプライベートでのことらしいです。しかし原因は自分的には最早どちらでも良いです。

個人的に、プレビュー公演での配役調整や、キャストの体調に配慮した配役の変更については賛同する所もあります。実際それらは、海外の舞台だとごく当たり前に行われていることでもあるようですので。また日本でも、ミュージカル以上に突出した肉体表現で勝負しなければならないバレエやオペラでは普通のことだと認識しています。
ただ、プレビュー公演での配役調整は、多分、日本の、というか劇団四季以外の大手舞台興行のチケット販売システムに及ぼす影響を、東宝が初っ端に演出家に理解してもらっていなかったんだろうな、と想像しています。キャストのFC関係で捌くチケット枠や、カード会社やプレイガイド貸切チケット枠は、確定キャスト表ありきだと思いますので。そして、変更対象になったキャストのファンの方、とりわけプレビュー明け初日のマリウス出演を直前で変更された育三郎くんファンの方には心より同情いたします。
そもそも昨年秋に最初のバルジャンキャストが発表された時には、山口さんとジュンヒョンさんのお2人のみでした。この時点で四季退団の年季明け待ちだったと思われる福井さんが最初からバルジャンにキャスティングされていたかどうかは分かりませんが、彼を数に入れたとしてもトリプルバルジャン。
山口さんの降板後に吉原さんがバルジャンを兼任することになった時点でバル3名、ジャベ3名(うち2名はバルジャンと兼任)。福井さんがケガした時点でバル3名(4〜5月は2名)、鎌田さんがジャベ兼任に昇格してジャベ4名(4〜5月連休は2名)。
……何故バルキャストをクアトロにして置かなかったのか?と言うのは結果論なので言いません。確かに前演出のレミゼ初演の時は鹿賀さんと滝田さんがダブルバルジャンでジャベール兼任、ジャベールも佐山陽規さんを加えただけのトリプル体制だったわけですし*1、また、1人のキャストが連日連投するのは8公演が上限、ともレミゼ公式サイトに記載されており*2、それは何とか満たせる人数ではあったわけですし。
……まあ、「8公演が上限」については「だったら他の公演でも考えてやれよ東宝!山口さんの使い方とか!」とは少し考えましたが(←八つ当たり)。

しかし何故、プロデューサーと演出家がここまでこだわりにこだわって采配しておいて、アンダースタディを置かなかったのだろう?という点が疑問です。
もし、日本の役者層が薄すぎて、レベルを満たす役者も少なくて置けないと言うのなら、そのようなカンパニーで海外と同じように采配しようとするのはちょっと無理がありすぎたのではないかと思います。まあ、もしかしたら既にイギリス側からかなりダメ認定されていて、妥協しまくった上でなおこの状況なのかも知れませんけれど(>_<)。
公演が2回も中止になるよりは、知名度は低くとも力があるアンダーキャストにお目にかかれる方がまだ観客に取って幸せのような気がしますが、そう思うのは自分だけでしょうか。

ともあれ、当面は、シングルバルジャンになってしまった吉原さんのご無事を祈るばかりです。
まだ吉原さんを舞台で拝見したことはありませんが、何となく「気は優しくて力持ち」的なお方のようにお見受けするので、この重すぎるプレッシャーから1日も早く解放されるよう願ってやみません。ただ、ジュンヒョンさんにも無理して欲しくないですし、そこは複雑な所です。
そして連休中はシングルで登板する川口ジャベールも応援。川口さん、他の方のレポートを見る限りはかなり舞台度胸のある方のようですので、頑張っていただきたいです。

実は、現在まだ確定はしていないものの、5月下旬にこのお2人でレミゼを観ることができそうな見込みです。この調子だといつまたキャスト交替が行われても不思議はないので、もう中止にさえならなければ誰が出る公演でも淡々と受け止めるぞ、という心持ちで、静かに楽しみにしています。