日々記 観劇別館

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『レベッカ』帝劇初日感想(2010.4.7ソワレ)(中編)

引き続き『レベッカ』初日の感想です。長いので3記事に分けさせていただきました。こちらもネタバレ注意です。

キャストの感想にまいります。
シルビアさんは少しお疲れ気味なのか、歌声が所々弱っているように聞こえました。しかし雰囲気は、Wキャストの涼風さんとの違いを強調するためかは分かりませんが、初演時より相当に猛々しいミセス・ダンヴァースになっていたと思います。
これは演出の話になりますが、本物の火を使った分、終盤のミセス・ダンヴァースが乱れ髪で満足げな笑みを浮かべたまま炎の中に消えていく姿がかなりリアルになっていて、どう見ても屋敷と一緒に焼け落ちていることが明白な見せ方になっていました。あれはもう少し彼女の生死に対する想像の余地が残っていても良かったかもしれません。

禅さんのフランクは、何となく初演時よりも明朗快活さが増し、表情が豊かになったように感じられました。別に以前は表情に乏しかったというわけではないのですが、善意キャラ度合いがより一層強くなったようです。
登場した瞬間に観ていてのけぞったのは吉野さんのファヴェル。ハコが大きくなった分なのかは定かではありませんが、全身から醸し出されるエロティックオーラというか色悪の風格が3倍増し(初演比)ぐらいになっていました。少なくとも初演時に「わたし」の手に2回もキスはしていなかったように思うのですが。
ベンは初演の治田さんからtekkanさんに交替しています。治田ベンは2幕のボートハウスでのマキシム夫妻の一部始終を岩壁の上から目撃して微笑む姿が印象的でしたが、今回のtekkanベンは舞台の真ん中で抱き合う夫妻の手前を歩み去り、下手に引っ込む際に一瞬だけ何かを決意したような表情を見せる、という演出に変更されていました。この変更により、マンダレイに連れてこられた時のベンの言動が「ある強い一念」に基づいたものであるということがだいぶ明確になったと思います。ここら辺は好き嫌いが分かれそうですが……。自分は変更後の演出およびベンのキャラクターの方が分かりやすくて好みです。

そしてヒロインたるちひろちゃんは比較的安定していましたが、2幕の駅の場面でやや声が出にくそうでした。山口さんが心なしか力を込めてリードして歌っていたように聞こえたのは気のせいでしょうか?
でも、TdVの時に思ったのと同様、演技も歌も着実に良くなっていると思いました。今も十分上手いけれど、まだまだ伸びしろがたっぷりありそうな感じです。

その山口さんのマキシムは初日の常でやや様子見モード?な所もあったものの、流石、コンディションも整えていらして全体的に安心して観ることができました。
マキシムの感想はたくさんありすぎるので、後編にて語ります。