日々記 観劇別館

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『レベッカ』帝劇初日感想(2010.4.7ソワレ)(前編)

キャスト:「わたし」=大塚ちひろ マキシム・ド・ウィンター=山口祐一郎 ダンヴァース夫人=シルビア・グラブ フランク・クロウリー石川禅 ジャック・ファヴェル=吉野圭吾 ベン=tekkan ジュリアン大佐=阿部裕 ジャイルズ=KENTARO ベアトリス=伊東弘美 ヴァン・ホッパー夫人=寿ひずる

レベッカ』帝劇初日を観てまいりました。以下、ネタバレだらけなので未見の方はご注意ください。

観終えてのトータルの感想としては、やっぱりフルオケだと演奏に厚みがあるとかキャストの皆さんが多少様子見モードだとかそういうのももちろんありますが、何故か、
「少なくとも舞台の『レベッカ』って、マキシムを皆が――「わたし」にフランク、ベアトリス、それからベンがよってたかって守る話だったんだ」
という初演では特段感じなかった印象を抱きました。
だって、マキシムから直接事情を聞いた「わたし」はともかくとして、ベアトリスは2幕でジュリアン大佐が来訪したというだけでマキシムが審問される、と心配するわ、フランクはレベッカの真実が分かってあんなに嬉し泣きするわで、皆絶対「マキシムが何かやった」と気づいていたに違いありません。もっとも、皆が気を揉みサポートしてマキシムが守られたのと引き替えに真実がさらされ、その結果マンダレイ炎上という高すぎる代償を支払うことになってしまったわけですが……。
まあ、途中で追及のポイントが「事件の真相」から「レベッカの死の動機」に上手いこと入れ替わったわけですし、検事を除いては誰も大領主様マキシムに深く突っ込む気は初めからなかったでしょうし、それに『レベッカ』の主軸は「わたし」の成長と変貌なのでどうでも良いと言えば良い話です。

閑話休題。公演自体の感想に戻ります。
初めての大劇場での『レベッカ』は何といっても舞台装置が、クリエの時のように高い壁や台をホテルの客室や階段に見立てるなどということもなく、階段は階段、ホテルの客室は壁も塗られドアもきちんとついた部屋として作られていました。クライマックスでも本火が使われており、これは事前に想像していた以上に鬼気迫る迫力がありました。
で、何でも中日劇場ではレベッカを匂わす女性のシルエット型照明が浮かび上がる場面があったらしいのですが、今回それを観た記憶がありません。ただ、本日1階O列の最上手という席でして、舞台の上手に一部見えない箇所がありました。もしその照明が上手の壁などに映し出されていたとしたら、そういう事情で見えておりませんのであしからず。
ちなみに2幕序盤で「わたし」が煙草をくゆらすマキシムの後ろ姿っぽいシルエットに呼びかける場面はしっかりありました。もちろん山口さん本人ではなくどなたかがダミーを演じているのだろうとは思いますが、アンサンブルさんに詳しくないので特定できず。
あと、レベッカの部屋。カトレアの鉢植えが置いてあるにとどまらず、壁の木彫りも窓のステンドグラスも全部カトレア、という徹底した造りになっていましたが、1幕では白かった鉢植えや窓のカトレアが2幕では何故か濃いピンクのカトレアに変わっていました。あれは一体何だったのでしょう?
感想を書いたら長くなってしまいましたので中編に続きます。