日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『麦わら帽子のシンデレラ』

1987年初版の講談社X文庫です(asin:406190115X)。著者は神戸あやかさん。以前から「これ、あの方がモデルよね?」というネタ本として存在は知っていたのですが、amazonマーケットプレイスでポチッとして今週入手いたしました。

ダンス講師の母親を亡くした女子高生しいちゃん(16)が、母親の教え子にして年下の恋人で、父兄のように慕っていたミュージカル・スター、「ヒコさん」こと彦坂祐一郎さん(30)に引き取られるお話。
30分で読んだひとこと感想。とにかく可愛らしくてドリームな物語でした。
色々とあり得ないんだけど、まあ、あってもいいんじゃないか、な設定や展開が楽しいです。最近のケータイ小説みたいに、キャラクターを肉体的、精神的にざっくり傷つけることでドラマを展開するようなこともないですし。

そう言えば、10代の頃にこういうラブリィなコバルト・X文庫系(今で言うところのラノベ)をあまりきちんと読んでおりません。氷室冴子さんや新井素子さんは何冊か読みましたが、有名どころの『クララ白書』やら『星へ行く船』やらは手つかずでしたし。
数少ないはまったと言えるラノベ藤本ひとみさん。職場のメールアドレスにキャラの名前を使う程度には物語世界に浸りました*1

  1. キャラクターの美形&ゴージャスぶりがあり得ない。
  2. 展開があり得ない。
  3. 寸止めながらお色気もあり。

の三拍子揃ってましたが、あまり「可愛い」要素はなかったような気がします*2
大人向け小説に転身されてからは3の要素が寸止めではなくなり、むしろえげつなくなってきたので離れてしまいましたが、あのキャラクター作りのセンスとドラマの構成力は素晴らしいと今も思います。

話を『麦わら』に戻しますと、ヒコさんの性格付けとか、下戸であるとか、そういう設定はかなりモデル(と思われる方)に準拠して作られているのに*3、ダンサーの足首をしているという描写がある等、あえて踊れる設定にしたのは何故?と変なところが気になってます。
やはり著者の方として、「やっぱりミュージカル・スターは踊れなければ」と思ったのか、それとも「あれで踊れればカンペキ」という理想を盛り込んだのかは分かりませんが、笑えたのでまあ良いことにします。

*1:ちなみに未だに使っていたりします。10数年使ってるので今更変えられず。

*2:作者的に要素を盛り込む努力をしている形跡はありましたが……。

*3:トワレを愛用してるのか?とか、料理上手なのか?とかは知りません(笑)。