日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』感想(2015.11.7マチネ)

キャスト:
クロロック伯爵=山口祐一郎 アルフレート=良知真次 サラ=舞羽美海 アブロンシウス教授=石川禅 ヘルベルト=上口耕平 シャガール=コング桑田 レベッカ=出雲綾 マグダ=ソニン クコール=駒田一

帝劇で、今季2回目のTdVを観てまいりました。

今回初見のキャストは良知くんと舞羽さんでした。

良知アルフは基本、元基アルフよりも世慣れていて、年長者に調子を合わせることも知っている雰囲気です。キャラクター的には泉見アルフに近いと思います。もし彼が新入社員なら、少なくとも元基アルフよりは使えそうな感じ。ただし一方でお調子者な上そそっかしいので、やはり年長者にスットコドッコイ呼ばわりされることには変わらないわけですが。
そして良知アルフは結構細かい芝居を仕掛けて細やかにリアクションしています。表情もオーバーすぎるぐらい豊か。例えば口移しでウォッカをもらった後でぼうっとレベッカさんにロックオンするわ、マグダの胸元に顔を近づけてガン見するわと色々な表情を見せていました。
2幕でヘルベルトに襲われて客席に逃げた時には、
「何だよあれ!『履いてるから』って言ってるのにお尻丸見えだし!男か女かわかんねーし!」
と大きい声でぶつぶつ言うのが聞こえてきました。某アルフのように「●%*δ#□$&Φ!」という記号で表現するしかないような悲鳴は上げていませんでした。
ちなみに良知アルフが驚いたり気圧されたりするとこんな顔になります。→(@◇@)*1
歌は、R&Jの時も思いましたが、滑舌が良く声量もあって聞き取りやすいです。歌でお芝居ができる子。「サラへ」もドラマチックに情感たっぷりに歌い上げていました。

舞羽サラは沙也加サラに比べるとあまりこまっしゃくれていない、無邪気な箱入り娘。それでいてしっかり女性の武器は使いこなしているのが怖い所です。
声量が意外に凄くてびっくりしました。ただ、家出前のアルフとのデュエットで、高音域がかすれて出ていない箇所があったので、もしかしたら音域はそんなに広くないのかも知れません。その1カ所以外は特に問題なく歌えていました。
あと、終盤でドレスを着て階段を降りてくる時の動きが自然で、流石、元トップ娘役、と思いました。

伯爵は、今回は初っ端の『神は死んだ』から好調のご様子でした。 『神は死んだ』で演歌のショーのように退場する時に何かしていたかは、今回は2階席でしたので未確認です。
『お前を招待しよう』は、クレーンで飛び去るまでの時間制限があるためか、段取りを気にしながら歌っている感じです。ただこれは通常運転なので気にしません。
それにしても、伯爵が1幕フィナーレでアルフレートに投げるスポンジ。これまでアルフレートが取り損ねた所を見たことがなく、歴代アルフレート凄いなあ、といつも感心しています。今回の良知くんもしっかり受け止めていました。
2幕の『愛のデュエット』では、サラを迎えに来た時の笑顔が実に良いお顔で。本心は獲物を手中にした喜びに満ちている筈なのですが、伯爵の妖魔ではない部分の感情ではサラをエサとしての感情以外に純粋に可愛いと思っている所もあるのかな?と少し思いました。ただ、今回の伯爵は果たして人間だった時代があるのかどうか不明です。
『抑えがたき欲望』は、冒頭で、あれ?ちょっとリズムが崩れた?という所はありましたがすぐに持ち直して、あとはいつものように伯爵の「感情」をしっとりと聴かせてくれました。舞踏会も華やかに盛り上げたまま、最後まで走り抜けていました。
カーテンコールの振付も、きちんと正しく踊られていました*2。「モラルもルールも」の振りで、片手を頬の近くにかざして小首を傾げる伯爵さんが可愛いのです。

それから、幕間恒例の「クコール劇場」。クコールさん、スマフォを片手にヘッドフォンをして、掃除をしながらノリノリでダンス、そしてクコール声でシャウトしていました。さんざんダンスを決めた後に「ああ、やっぱりいいねえ、志ん朝の落語は!」と台詞を残して去っていくオチでした(^_^;)。
なお、本演目の指揮者、西野淳さんのTwitterによれば、ソワレのクコールさんは、ドラゴンズネタを大いに語られていたそうです。劇場売店(上演期間は「シャガールの店」!)では初日前にアルバイトしていたそうですし、クコールさん大活躍されています。

あと気になった(いい意味で)をいくつか。

  • 上口ヘルベルトの客席向けセクシーダンスアピールの一言は日替わりのようです。確か初日は「For You!」と言っていた筈ですが今回違うことを言っていました。
  • 今回のシャガール、2幕で棺桶から抜け出した時、ちゃんとサラのことを覚えているのですね。もちろんヴァンパイア化しているので、サラを魔の手から守るなどの心は失われているのですが、うちの娘可愛いでしょ?の親バカ心だけは残っている所に何だか哀愁を覚えました。
  • ルフレートの年齢設定、20代前半〜半ばぐらいかと思っていたのですが、今回パンフのWアルフレートとWサラの対談を読んだ所、良知くんの発言に「20歳」と出てきて少々意外でした。大学の「助手」なのでもう少し上かな、と思っていたのですが……。

なお、帰路、ついでに日比谷シャンテのTdV写真パネル展示を見てきました。現在展示されているのはプリンシパルキャストの特別カットの扮装写真ですが、11月11日からは舞台写真に変更されるとのことなので、次回再度確認に行きたいと思います。

次回のTdV観劇は、少し間が空いて、11月21日ソワレの予定です。良知アルフ、沙也加サラ、阿知波レベッカ、開次V.D.の組み合わせで観るのは初めてなので、楽しみにしています。

*1:大阪豆ゴハン』の松林くんのような表情と言って分かる方は何人いるでしょうか?

*2:ええと、プロの役者さんに本来わざわざこういうことを特記するのは失礼かも知れませんが、つい特記せずにはいられない……。