少し前からミュージカルファンの間で話題に上っていた、昔のTV番組「誰でもピカソ」の山口さん&井上くんゲスト回の映像。某サイトにアップロードされていたのを、本日ようやく全部観ることができました。
ミュージカルを見始めたのが随分遅かった私が知り得なかった時代(2001年7月放映だそうです)の映像です。どなたか存じませんが、アップロードしてくださった方に感謝します。
2001年の映像に素の姿で登場する山口さんは、現在より少し髪が長いこともあってか、やや鋭角的な美貌に見えました。体型は、肉付きにこそ40代と50代の微妙な違いはありますが、今とあまり変わらない感じがしました。この後2004年前後に一時期ややふくよかになられて、その後頑張ってまたこの頃の水準に戻したのかな、と思います。
そして、最も強く変化を感じたのは、歌い方です。
昔からのファンの方が良く語られているように、声量などは30〜40代の頃のほうがあるかも知れません。でも私は、今の歌い方の方が奥行きがあって好きです。あくまで昔を録音や映像でしか知らない者の印象ではありますが。
逆に、番組での立ち居振る舞いに象徴される、彼のつかみ所のない明るさと感受性の豊かさ、そして質問コーナーでの、
- 必要な資質は?:体力と健康
- 一流になる為には?:楽しんで続ける
と言った答えに見られる、根っこに脈々と流れる強かさは、ずっと変わっていないように見受けられます。
トークの内容で興味深かったのは、昨今のミュージカルでは、古典的なミュージカルにはなかった、音楽の一部として拍子に乗せて演技し、地の台詞から自然に歌に入るという段取りが求められる、という話です。と、こうして字面で書くととても真面目そうな話をボケ倒して爆笑トークで喋くるのが、山口さんなわけですが(^_^)。いっこく堂さながらの声色変化には笑わせてもらいました。
他のキャストとは別メニューで、歌いながらウォーミングアップするというエピソードも面白かったです。
そして、『エリザベート』の初演時の演出が現在の演出と随分違っているということも分かりました。各名場面での細かい立ち位置や演技のタイミングの違いはもちろん、マイヤーリンクでルドルフが自ら求めてトートとキスしていたんだ!等。
現在の上演版でのルドルフは、ママに見捨てられた時点で心こそ彼岸に移しつつも、トートに運命を突き付けられてようやく受け入れるような、かなり受け受けしい感じがします。しかし、映像の井上ルドルフは、キス〜自殺までの演技のタイミングが現在と異なっていることもあってか、もっとまっしぐらに死に向かっているように見えました。この場面は、舞台収録CDではもちろん何十回も聴いていますが、耳で聴いているだけだとやはり分からないものですね。
さて、しばらく舞台鑑賞から離れていましたが、来週少し復活の予定です。まずは『songs for a new world』初日を観にクリエへ。続いてエリザベート1000回記念公演を観に中日劇場に遠征を予定しています。
その後は、また2ヶ月近くしばらく予定が空きそうです。ただ、良いチケットとの出会いがあれば突撃するかも知れません。
現在劇場に掛かっている演目では、『スリルミー』や『ルドルフ』が気になりますが、どれも観ていません。特に『ルドルフ』はルヴォーさん演出が割と好評のようで迷ったんですが、結局観ないまま終わりそうです。これは、そこに山口さんがいないから、ではなくむしろ、何となく本業やその他個人で関わっている案件に気持ちが持って行かれて、観劇に今一つ気力が回っていかなかったというのが大きいと思われます。どうやら、無理やりでも予定を入れておくか、お尻を叩かれないと、劇場にお出かけできない引きこもり体質のようです(^_^;)。わが家から劇場は決して遠くはありませんが、とても近いわけでもない、という微妙な距離なのがまた何とも……というのは面倒くさがりの言い訳ですね、はい。